シンガポールでアジアのエンジニアと一緒にソフトウエア開発をして日々感じること、アジャイル開発、.NET、SaaS、 Cloud computing について書きます。

プログラマへの職種変更の仕方

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 わたしは48才ですが、プロのプログラマとしての経験は10年以下。プロのプログラマになる前は、コンピュータ関係の仕事ではありましたが、別の職種でした。事情により、前の職種で仕事を続けることができなくなったため、約10年前に、一念発起して前からなりたかったプログラマに職種変更したのです。

 わたしが就職した1985年ごろ、そうです、今は昔、”Japan as Number 1” の時代です。今でも、日本のソフトウエア開発の現場だけが、まだその呪縛から完全に抜け切れていないようなのですが、その当時のソフトウエア開発では、実際にコードを書く人はコーダと呼ばれ、詳細設計書に書かれた内容をコードにほぼ1対1で書き写すだけの、かなり単純な仕事だったようです。単純だが、仕事はきついということで、プログラマ30歳定年説がまかり通っていました。そうい噂を真に受けて、わたしは就職で、プログラマ職を避けて就職したのでした。

 しかし、もともとは、やはりプログラムをするのが好きでして、別の職種に従事している間でも、趣味程度でプログラムをしていたのでした。その夢をもう一度と、38歳になったころ、前の職種を続けることができなかったタイミングで、職種変更したのでした。

 しかし、プログラマになるためには転職しなければなりません。ところが、職業としてのプログラマ暦未経験の38歳のわたしに、プログラム職を与えてくれる転職先はそんなにありませんでした。職務経歴書送り続けて、“申し訳ありませんが、貴殿の意向にそうことができません。”の返事を受け続けること、20件目ぐらいで、ようやく面接にたどりつけたところで、受けた企業が、イギリス人のプロジェクトリーダーのとあるベンチャー企業の職場。たぶん、英語を話せて、そういうベンチャーに職を求める日本人ディベロッパーなど、そうそういるはずがなく、経験はなくとも仕方がないと、いうことでわたしが採用されたのでしょう。

 入社してみて、分かったのが、そこで行われている開発のめちゃくちゃさかげん。半年ぐらい前に、人を集めて当時ASPと呼ばれていた開発、つまり今では名を変えてSaaS、を始めてみたものの、まったくと言ってよいほど、完成したものがない。作っているものは、まったく見当違いの方法を採用したもので、アーキテクチャ設計なぞ、まったくなし。

 もともと趣味程度の開発経験しかないわたしでしたので、そういうめちゃくちゃな開発にも対応できたのですが、日本の普通のソフトウェアエンジニアのキャリアを積んでいた人だと、すぐに嫌になってやめただろうと思います。そんな環境ですから、何か難しいことを実装するとしても、人を選べません。

 未経験なわたしにも難しいことを依頼するわけです。わたしの方は、もちろん経験はないので、まかされた後が大変です。必死でこなすしか仕方がありません。とにかく必死で勉強した毎日でした。幸い、前の職種の経験で必要だったこともあり、英語の書籍を読むことに不自由しなかったので、amazon.co.jpから洋書のソフトウェア関連書籍を購入しまくり、毎日それらの書籍を通勤の行き帰りに読むことを習慣として、どんどん技術力を身につけていきました。

 1年後には、マネージャ職に抜擢され、プロジェクトを全部任されることになり、最終的に職種変更に成功し、今に至ったというわけです。

 わたしの経験から考え、プログラムが好きだけど結局別の職種につくことになってしまった人。まだまだチャンスはあります。特に今がチャンスではないかと考えてます。なぜなら、SaaSがついにITの世界でブレークしそうだからです。

 ということで、わたしが提案する、プログラマへの職種変更の方法。

 まず絶対必要なことはプログラムが好きであること。どんなものでもよいので、趣味でプログラムを自宅でたまにやるほどの好きさがないと、うまく行かないでしょう。

 好きなだけでは、やはりプロにはなれません。実際に経験しなければなりません。Malcolm Gladwellの “Outliers”なる本によると、どんな分野においても、その道の第一人者になるためには、1万時間の経験が必要だそうです。

 その本は、世の中で世界を変えた人がどういう軌跡を経て、それを達成したかを書いているのですが、それによると、例えば、Bill Gatesは、たぶん高校生のころ通っていたシアトルの学校に、そのころはまだ珍しかったコンピュータが導入されており、しかも、それにTime Sharingの機能が入っていたのです。Time Sharingとは、コンピュータがまだPersonalでなかった時代、1台の巨大なコンピュータを、複数の人で共有する仕組みです。それがあったおかげで、高校生のGateは、コンピュータのプログラミングに1日のうちの大部分の時間を没頭させることができたのです。その時代でそういうコンピュータへのアクセス環境を持っていた人は、ほんの一握りでした。

 そうして、コンピュータのプログラミングの経験が1万時間に達したころ、Personal computerが世界に登場、一気にMicrosoftを巨大企業に育て上げることに成功したのです。成功の原因に彼の卓越した能力もありますが、1万時間の経験を得てプロになっていた人が非常に少ない時期に、彼がそのプロになっていて、そのタイミングで、パーソナルコンピュータ革命が起こったことが重要だったと言うことです。

 話がそれましたが、必要な経験を得るためには仕事が必要です。ここで、わたしが薦めたいのは、ベンチャー企業です。有名なベンチャー企業では、たぶん未経験者を採用しないので、弱小のベンチャーです。

 お金があまったので、別の事業、たぶんSaaSをはじめてみようかと、経営者が気まぐれで思って、開発者を集めているようなところです。そうです、いつ潰れるか分かりません。しかし、能力があって、努力を怠らなければ、すぐに開発のすべてを任せられるようになります。そうなればしめたもの、自分でどういう技術を使うか自分で決め、自分でエンジニアを選んで採用して、開発を進めることができるようになります。必死でその開発を進めて1年も経って1万時間を越えたころ、職種変更は成功です。

 SaaSがブレークしそうな昨今、そういうベンチャー企業はけっこうあるのではないかと思います。チャンスにかけてください。

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