@ITドラマ「残業課長 和久原アトム」最終話:和久原のケジメ

2009/08/14 21:00:00

2009年8月10日~14日 毎日夜21時 O.A!


[最終話]和久原のケジメ

 オレは、和久原アトム。小さなシステム会社で課長をしている。

 人はオレのことをこう呼ぶ。

「残業課長、和久原」

 へなちょこ新人の朝田ススムに無理やり(でもなかったんだが)残業させたら、会社に来なくなった。直接話を聞こうにも電話には出ない。部長命令で、あいつの家に行ったら、辞めちまった。

 その数日後、会社に脅迫状が届き、おれはあいつの元にもう一度行った。

 そうしたら、なんか本の投げ合いようなことになって、あれ? オレはなにしにいったんだっけ……あ、そうだ、そこで衝撃の事実を知ったんだ。

 その帰り道で、オレはある決心をした。そのまま会社に戻って、社長のスケジュールを見ると、ちょうど今ならいるようだ。

 社長の内線、かけてみるか。2、4、0っと。

 「金武社長、ちょっとお話があります。いま伺ってもよろしいでしょうか?」

 次の訪問先に行く前の15分だけ、時間をもらえた。

 「いろいろ大変だったね」

 パソコンから一瞬、こちらを見て、またパソコンに社長の目は戻った。

 「朝田の件といい、脅迫状の件も含めて、大変ご心配おかけしました。これらは、すべてオレ、いや、わたしの責任です」

 「まぁ、いずれも円満には解決できたようだし、これからのがんばりに期待するよ」

 「申し訳ありません、その期待に応えることはできません」

 社長がこちらを見た。

 「え?」

 「ちょうど、子会社で新規プロジェクトを立ち上げる話があったと思います。そこにオレを入れてください」

 「いや、入れろって、課長のポストはないよ、あそこは」

 「だからいいんです」

 社長が立ち上がった。

 「いや、だからダメでしょ?」

 「今回の件で、オレは課長として全然ダメだっていうことが分かりました。なので、一から現場で出直したいんです!」

 「いやいや、和久原課長、何も君がそこまでしなくても……」

 「いや、これがオレのケジメなんです」

 「じゃあさ、残されたキミの部下はどうなるんだね?」

 「……」

 「ね、だから、そうすると、みんな困るんだよ、だから、今の話はなし、いいね?」

 「社長! オレはいままで、気合い・根性でやってきました。それでこの会社を成長させてきたという自負があります。でも、堀のやり方をみて、朝田の件を考えて、それを今の部下に押しつけてはいけないことが分かりました。だからといって、残業しないワークライフバカンスがいいとも思えません。会社にとっては、その中間が必要だと思うんです。だから、もう一度、現場に戻って学んできたいんです!」

 「うーん」

 「社長!」

 「あのさ、話は分かるんだけど、ワークライフバカンスっていうのは何? ワークライフバランスっていうのは聞いたことあるけど」

 「あ、それだった。間違ってました」

 「……」

 「……」

 数カ月後。

 運用本部 アイちゃん へ

 ねぇねぇ、聞いた?

 和久原さん、あれから課長になったんだってさ。

 あたしから、あの会社に出向で課長のままで行けるように手はずしたんだけど、

 「うるせえ、余計なことするな!」

 だって、ひどいと思わない? (T。T)

 まぁ、本人は一から出直したいっていうことみたい、別にいいんだけどさ。

 そうそう、サラちゃんがね、応援で和久原さんのところに行っててね。

 教えてもらったんだけど、課長になっても、全く変わってないって(^^;)。

 相変わらず口が悪いし、残業もしているみたい。

 でもね、昔とはちょっと違うみたい。

 サラちゃん、なんか、そんなこといっていた。

 (詳細を知りたければ、ランチをおごってくれっていうから、今度、アイちゃんがおごって聞いてといてね)

 でもさ、和久原さんのビミョーな違いなんてさ、部下だったサラちゃんしか分かんないのかもね。

 それじゃあ、今日も仕事がんばろー!

 追伸:いまの和久原さんのチームには朝田君がいるんだって。驚きだとおもわない?

 kumikumikumikumikumikumi

 総務 クミチョこと久実 より

 kumikumikumikumikumikumi

※このドラマは、作者の体験を元にしたフィクションです。

@ITドラマ「残業課長 和久原アトム」第4話:対決!和久原アトムVS朝田ススム

2009/08/13 21:00:00

2009年8月10日~14日 毎日夜21時 O.A!


[第4話]対決!和久原アトムVS朝田ススム

 オレは、和久原アトム。小さなシステム会社で課長をしている。

 人はオレのことをこう呼ぶ。

 「残業課長、和久原」

 へなちょこ新人の朝田ススムに無理やり(でもなかったんだが)残業させたら、会社に来なくなった。直接話を聞こうにも電話には出ない。部長命令で、あいつの家に行ったら、辞めちまった。

 その数日後、会社に脅迫状が届き、おれはあいつの元にもう1度行くことにした。

 まずは、ちゃんと運用本部の上司に一言いわなくちゃな。運用本部でのオレの上司は川場田アイ部長。周りからは「アイちゃん」なんていわれているぐらい信頼されているリーダー。

 そして、昔のオレの部下でもあった。

 「アイちゃん‥‥いや、今は部長だから、川場田部長っていわないとな」

 「はは、別にアイちゃんでもいいですよ」

 「悪いんだけど、今日、お休みもらっていい?」

 「え? 今日は和久原さんの歓迎会しようと思っていたのになぁ」

 「ごめんごめん、ちょっと体調悪くてな、この厳粛な雰囲気に酔ったのかもしれねぇや」

 強引に休みをもらって、オレは朝田のところに向かった。

 ピンポーン

 ドンドン!

 「おい、朝田! オレだ、和久原だ! お前に聞きたいことがある」

 カチャ。

 「……」

 「入るぞ、いいな」

 「……」

 朝田はなぜかスーツを着ていた。

 「お、転職先見つけたのか?」

 「違います、これから面接に行くところです」

 「そ、そうか。あの、じつは、お前に聞きたいことがあってな」

 「……」

 部屋に入ってから、朝田は1度も目を合わせようとしない。

 「これ、お前見覚えないか?」

 「!」

 「なんだ、知ってるのか?」

 「し、知りません」

 「中、見てみろよ」

 朝田は震える手で脅迫状を開いた。

 「で、これだけど、お前……だな?」

 「……」

 「オレにはな、お前が出したっていうのは分かってんだよ!」

 「みみみ、みんな、こここ、困ればいいんだ」

 手紙を床にたたき付けて、朝田は踏みつけた。

 「なんだと、おまえ、なんでこんなことしたんだ!」

 「う、うるさい! うわぁーーーー!」

 「や、やめろ!」

 朝田は、本棚にあった本を全て和久原に投げつける。投げつける本がなくなったところで、和久原は1冊の本を拾って、朝田に渡した。

 「オレはな、別にお前を怒りにきたんじゃねえよ。お前がこういうことをしたのが事実だったら、そりゃあ、頭にくるけど、まぁ、そういうことを話にきたんじゃねぇ」

 「じゃあ、何しに来たんですか!」

 「謝りに来たんだ」

 「あれだけのバグを発見できたっていうことは、お前は誰よりも努力したんだろうよ。それは、この部屋にあるこんだけの本が証明しているよ」

 「課長……」

 和久原はさらに、もう1冊本を拾った。

 「でも、やり方が卑怯なんだよ! あと、本、いてーじゃねぇかよ!」

 持っていた本で朝田を思いっきりぶん殴った!

 「お、また本投げつけるなよ、これで、チャラなんだからな」

 「で、お前どうする? 辞表はまだ取り消し可能だから、戻ってくるか?」

 「いや、もう戻れないですよ」

 「本当にいいんだな」

 「はい、そういう覚悟でこれを書いたんだから」

 朝田はしゃがみ込んだ。

 「朝田、おれは負けたよ、お前のワークライフバカンスに負けたよ」

 「和久原課長……」

 「朝田……」

「ワークライフバカンスじゃなくてワークライフバランスですよ! もう帰ってください!」

 「う、うるせえ、バカヤロウ!」

■次回予告:最終回!「和久原のケジメ」■

 「いやいや、和久原課長、何もキミがそこまでしなくても‥‥」

 「いや、これがオレのケジメなんです」

 「じゃあさ、残されたキミの部下はどうなるんだね?」

 「……」

8月14日夜9時放送!

※このドラマは、作者の体験を元にしたフィクションです。

@ITドラマ「残業課長 和久原アトム」第3話:狙われた和久原!

2009/08/12 21:00:00

2009年8月10日~14日 毎日夜21時 O.A!


[第3話]狙われた和久原!

 オレは、和久原アトム。小さなシステム会社で課長をしている。

 人はオレのことをこう呼ぶ。

 「残業課長、和久原」

 へなちょこ新人の朝田ススムに無理やり(でもなかったんだが)残業させたら、会社に来なくなった。直接話を聞こうにも電話には出ない。部長命令で、あいつの家に行ったら、辞めちまった。

 「和久原課長、総務の久実本部長がきてほしいそうだ」

 朝、会社に到着した途端、鋼野部長からいわれた。

 総務の久実本部長。本名は久実チヨ。「クミチョ(組長)」なんてカゲでは呼ばれている。威厳もあり、それでいて面倒見がいい。しかも、美人というから、就活では彼女にあこがれて来る人が多い。最近は、“ワーク・ライフ・バカンス”とかいうのを推進しており、まぁ、残業はダメだとかいうもんだから、残業課長和久原としては、かなり苦手だ。

 「和久原さん、朝田くんのことは大変だったわね」

 「まぁ、仕方ないですね」

 「仕方ない? それだけ?」

 「……」

 「まぁ、いいわ。実はね、こんなものが会社に届いたの」

 「!」

 それは脅迫状だった。

 うちの課で作っているソフトの欠陥がびっしり書かれており、公開しない代わりに、名指しで指名したオレを辞めさせろっていうガビーンな内容だ。

 「率直にどう感じた?」

 「ガビーンって感じです」

 「ふ、ふざけないで!」

 「……(ふざけてないのにな)」

 「会社としてはまずこれらのバグ対応を早急にすること。そして、その指揮は堀くんにしてもらうことにしたわ」

 「あの、オレは?」

 「しばらくは開発から運用に回って欲しいの」

 「……わかりました」

 「そんなにがっかりしないで。これは、あなたの身の安全を守る意味でもあるのよ」

 「?」

 席に戻ると、同期の堀ちゃんがいた。

 「堀ちゃん、あとよろしく頼むわ」

 オレは堀ちゃんの肩をたたいて、運用本部に挨拶いこうとしたところ、廊下で、敏腕プログラマの紅サラに呼び止められた。

 「課長! 大体の話は堀課長から聞きました。それにしても、ここまで詳しい内容の指摘は、明らかに内部犯行ですよ。これって、もしかしたら……」

 「うるせえ、ぺちゃくちゃ話している暇があったら、バグフィックスしろよ」

 「でも、もし、もしですよ。辞めた朝田くんが指摘したのだとしたら……」

 「だとしたら?」

 「我々にも問題があったのではないでしょうか?」

 「……」

 「か、課長?」

 「辞めるべきはオレだったのかもしれない、な……」

 「そ、そんなことありません!」

 「あいつが残業もしないで、ここまでこのシステムのことが分かっていたのだとしたら、課長のオレはあいつの何を見ていたんだろうな。いや、きちんと見ていなかったんじゃなく、あえて見ようとしなかったんだ。オレの責任は……重いよな」

 「課長……」

 「ま、お前は堀課長の下で、ばっりばり頑張ってこい。じゃ、オレはもういくぞ」

 運用本部のあるデータセンターは、セキュリティの厳しい場所にある。誰かが殴り込みにきたとしても大丈夫、なるほど、それで「身を守る」場所なわけだ。どうせ、運用本部にきてもしばらく仕事はないだろう。

 オレは、あいつにもう一度だけ会いにいくことを決めた……。

■次回予告「対決!和久原アトムVS朝田ススム」■

 「そうですよ! ぼくが指摘したんですよ!!」

 「なんだと、おまえ、なんでそんなことしたんだ!」

 「う、うるさい! うわぁーーーー!」

 「や、やめろ!」

 8月13日夜21時放送!

 ※このドラマは、作者の体験を元にしたフィクションです。

@ITドラマ「残業課長 和久原アトム」第2話:お前はそんなことで会社辞めるのか?

2009/08/11 21:00:00

@ITドラマ 「残業課長 和久原アトム」

2009年8月10日~14日 毎日夜21時 O.A!


[第2話]お前はそんなことで会社辞めるのか?

 オレは、和久原アトム。小さなシステム会社で課長をしている。

 人はオレのことをこう呼ぶ。

 「残業課長、和久原」

 へなちょこ新人の朝田ススムに無理やり(でもなかったんだが)残業させたら、会社に来なくなった。連絡もなく、今日で3日目だ。

 鋼野部長から、連絡を取るようにあいつの連絡先をもらった。まったく、めんどくせえ話だ。電話しても、出ないし、仕方なく、あいつの家に行くことにした。

 それにしても、遠い。1人暮らしして、会社から家賃補助も出てるのに、なんだって、こんな郊外にアパートを借りてんだ。

 ふぅ、ようやくついた。あいつ、2時間以上かけて会社に通っていたのか、オレには無理だな。

 ピンポーン

 ちぇ、いねぇのかよ。

 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン

 「はい……」

 「おぅ、オレだ、和久原だよ」

 「……」

 「あのよ、ちょっと話そうぜ」

 「……」

 ガチャ

 「どうぞ……」

 「おぅ、すまねえな」

 「(ん、結構本があるな、あいつ家でちゃんと勉強してたのか)」

 「あの、今日は?」

 「おまえ、なんで、会社来ないんだ?」

 「……いいたくないです」

 「(このやろう……)あ、こないだ、無理に残業させたからか?」

 「それもあります……」

 「(はっきりしねえ奴だなぁ)でもな、残業はしないとダメだろ?」

 「なんで、残業しなくちゃいけないんですか!?」

 「うるせえ! いいから、会社に来い!!」

 「こ、こんな会社、辞めます!」

 「な、おまえ、そんなことで、辞めるのか?」

 「もう帰ってください!」

 そして、次の日、あいつは会社を辞めた……。

■次回予告■

 「我々にも問題あったのではないでしょうか?」

 「……」

 「か、課長?」

 「辞めるべきはオレだったのかもしれない、な……」

 8月12日 夜21時放送!

 ※このドラマは、作者の体験を元にしたフィクションです。

@ITドラマ「残業課長 和久原アトム」第1話:オレは残業課長、和久原だ!

2009/08/10 21:02:31

@ITドラマ 「残業課長 和久原アトム」

2009年8月10日~14日 毎日夜21時 O.A!


[第1話]オレは残業課長、和久原だ!

 オレは、和久原アトム。小さなシステム会社で課長をしている。

 人はオレのことをこう呼ぶ。

 「残業課長、和久原」

 しっかし、いまの奴らは軟弱だ。オレの時は、先輩に怒鳴られて毎日終電。でも、そうやって一人前になったんだ。同期の課長の中には、

「これからは、褒めるマネジメントだ」

なんていう奴がいるが、そんな甘っちょろい考えは不要だ。それに、そんなモンを希望するやつは、うちの課には、いらねぇ。

 気合い・根性・勘

 この黄金法則の「3K」でこなせない仕事は、この世に存在しない。

 そうそう、うちの課にも新人が入ってきた。朝田ススム。6月から着任した新人だ。

 オレはコイツが大嫌いだ。着任してから、まったく残業しない奴。飲みに誘っても断るし、チームの和を乱す問題児だ。しっかし、とにかく、早く帰る。

 「おい、まだ仕事終わってないだろ?」

 「でも、定時だし、どうしてもなら、明日、早く来てします」

 「はぁ?」

 「それでは失礼します」

 とまぁ、こんな感じだ。

 ん? ちぇ、岑次長からのメールだ。週末締め切りの資料を今日中に作ってほしい? だったら、直接頭さげろってんだよ。

 「じゃ、じゃあ、お先に失礼します」

 「お、おい、ちょっと待て朝田、急ぎの仕事が入ったら今日は帰っちゃダメだ」

 「でも、予定があるので、自分は無理です」

 「じゃあ、誰に頼めばいいんだ?」

 「知りません」

 「お前なぁ、他の連中はいつも残業して忙しいんだよ。だから、お前がやるしかねえだろ?」

 「……」

 「バカヤロウ! 残業しねえやつは仕事ができねぇんだから、今日は帰るな!」

 「……」

 そして、次の日からあいつは来なくなった……。


■次回予告 「お前はそんなことで会社辞めるのか?」■

 「なんで、残業しなくちゃいけないんですか!?」

 「うるせえ! いいから、会社に来い!!」

 「こ、こんな会社、辞めます!」

 「な、おまえ、そんなことで、辞めるのか?」

 8月11日 夜21時放送!

※このドラマは、作者の体験を元にしたフィクションです。

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