夫の転勤により正社員歴たった2年のCOBOLプログラマーが、ITコンサルタントになるまでの物語。

【書評】IT業界で生き残る道を考えさせられる「レッドビーシュリンプの憂鬱」(元題:罪と罰)

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 皆さま、こんにちは! 転勤族協会TKT48代表/ITコンサルタント/産業カウンセラーの「おくちゃん」こと 奥田美和です。

 リーベルGさんの著書「レッドビーシュリンプの憂鬱」を読了したので、感想を書いてみようと思います。

 

■ 今の立ち位置で、感情移入するキャラが異なる

 「レッドビーシュリンプの憂鬱」は、エンジニアライフの大人気小説「罪と罰」を書籍用に編集したものだ。

 私が初めてエンジニアライフのHPを見つけて「罪と罰」を読んだのは、ちょうど第1話が投稿された2013年の7月前後だったような気がする。

 

 当時、立ち上がったばかりの部署で、企業としても初めてのWebシステム開発のPMをやっており、Webアプリの次はiPad用ネイティブアプリ!という話になって泣きそうになっていたから、プロジェクトリーダーの箕輪レイコの苦悩は他人事だとは思えなかったことを覚えている。

 

 しかし、ITコンサルタントをしている今。

 読んでみたら、コンサルタントの五十嵐さんに共感してしまった。

 一方で、スーパー人妻プログラマー・星野アツコに「本当は私も星野アツコのようにRubyを究めて、フリーランスでも、夫の転勤で日本全国どこに行っても仕事ができるようになるはずだったのだけど、おかしいなぁ」と頭を抱えてしまった。

 

 さて、ここで、登場人物の整理をしよう。

 

●H&Gコンピューティング株式会社(関東の自治体元請け、大企業の子会社の元請け)

<Web開発についていける組>

・箕輪レイコ:30歳独身SE→PL→副課長、Java、モバイルアプリ開発経験有

・守屋・木下・足立(3バカトリオ)+本郷:若手プログラマー、Java

・藤崎クミ:Flash、PHP

・曽我マサル:Photoshop

・飛田:DBが得意

<やる気になった組>

・村瀬:C言語

<レガシー組>

・瀬川部長:AS/400

・中村課長:AS/400

・武田副課長:仕様書星人

・久保

・進藤カスミ:世話好きでにこやかな40代のお母さんSE、VB6

●外部

・五十嵐:コンサルタント&ベンチャー企業社長、実装力のないSE嫌い

・星野アツコ:フリーの、スーパー人妻プログラマー

 

 VB.NET止まりの私が、7年ブランクが空いたからWebスクールに通ってHTML・CSS・Flash・PHPを勉強し、Web制作会社でコーダーを経験した後でWebシステム開発の現場に戻れたのは、実はラッキーなことだったのだ、と小説を読んでいて思った。

 そうでなければ、レガシーSEのままPMをやっても、武田副課長の二の舞になっていただろう。

 

■ レガシーSEの行く末

 私がWeb開発のPMになった時、技術力の無いSEはいらない、と思った。

 中途半端なSEではなく、スーパープログラマーが欲しい、と思った。

 ――だから、技術者選定の際に40才過ぎのレガシーSEの職務経歴書に×をつけ、Java経験のある若手プログラマーに〇をつけた。

 

 逆に私の経歴では、内部設計~実装を行う2次請け以降のSIでは「使えない」と評価されるだろう。何故なら、実務経験があるのはVB.NETまでだから。

 

 「SE」=「ITエンジニア、技術者」との定義が一般化されている現状では、私のような「元レガシーSE」が当小説を読み終えた後、モヤモヤとした気持ちを抱えることになるだろう。

 ――いつからだっただろう。

 若手プログラマーたちのソースを見て、技術力もないのに「SE=システムエンジニア」を自称している自分に恥じてきたのは。

 私が「ITコンサルタント」として起業したのは、「顧客対応・業務分析」が得意である以上に、「エンジニア=技術者」を名乗れるほどの技術力はもはやないことに気が付いたからだ。

 

 だけど、PMをやって「エンジニア=技術者としての挫折」以上に得たことがある。

 それが、小説の後半で、「役立たずの技術者は排除」しようとする五十嵐さんにスーパー人妻プログラマー・星野アツコが反論した時に言った言葉だ。

 

 ――コミュニケーションスキルも、立派な技術。

 

 正社員歴たった2年のコボラーでも、9回転職して15社経験してきた私が一番習得していた技術は「コミュニケーションスキル」で、それこそがPMやコンサルタントに必要なことだった!

 だから、小説の最後で、世話好きでにこやかな40代のお母さんSE・カスミさんが、そのコミュニケーションスキルによって絶大の信頼を得ていた取引先の紹介で、取引先の下請け的な会社の事務部門に転職した、というくだりを見た時、ほっとした気持ちになった。

 

■ 本日のまとめ:システムエンジニアは、いつまで「技術者」でいられるか

 ドラフトをもらい、最初に読んだ時は、何だかショックで「書評なんて書けない」と思いました。

 

 でも、2回目に読んだ時は、小説には描かれていない、レガシーSEなりの答え......

 「Webエンジニアにはない元ユーザー系コボラーSEの強みは、金融系巨大システムの250業務全てを把握した視野の広さと、協力会社の方をまとめてきたコミュニケーションスキルだ!」

 と、開き直れました。(だからこそ今、全国1200名の転勤族の妻をまとめることができています。)

 

 そんな風に、読む人のSE人生経験により、深く味わい考えさせられる箇所が異なる、奥深い有意義な小説でした。

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