常駐SEはつらいよ!
2009/04/23 16:00:00
突然ですが、みなさんは職場に自分のデスクはありますか?
わたしはいわゆる「常駐」型のエンジニアなので、自社ではなく客先に常駐して仕事をします。つまりプロジェクトのたびに別の現場(客先)に出社することになります。したがって、自分のデスクというものはなく、一時的に協力会社用のデスクを間借りしています。
●零細企業の実態
IT業界に転職する前は別の業界で仕事をしていましたが、転職した当時、わたしはこの客先常駐というスタイルにとても戸惑ったものです。新しく転職した会社は数十人程度の零細会社です。事務所には60歳くらいの社長と事務の女性がいるだけで、数十人いるはずの技術者たちが事務所にはいません。技術者だけでなくコンピュータも見当たりません。いったいどこで誰がシステム開発をするのだろうと不思議な気持ちがしたことを覚えております。
しばらくしてこの会社のシステム開発の実態が分かってきました。どうやら数十人いる技術者はお客さんの会社に派遣されて仕事をしているとのことです。零細会社では自社内でシステム開発を行わず、技術者を大企業のお客様先に派遣し、そこで開発作業を行うということでした。自社で仕事をせず、お客さまの会社内で仕事をするスタイルにとても違和感を覚えましたが、それがこの業界の常識とのことでしたので、「そういうものか」と自分に言い聞かせていました。
●客先へ派遣
入社前に聞いていた話では、入社直後はしっかり研修し、プログラミング技術を身に付けてから開発現場に派遣されるとの話でした。しかし、プログラミング技術を身に付けるどころか、入社してすぐ面接、そして即日、現場常駐ということになってしまいました。しかも面接時にお客さんに提出する経歴書には「開発経験3年」と書かれております。面接の時にお客さんから「SQLはできるの?」「詳細設計書を書いたことはあるの?」といったことを聞かれます。当時のわたしは、SQLという言葉も分からず、設計書なんて見たこともありません。未経験・未研修なので当然といえば当然です。正直に「できません。知りません」と言ってしまいたいのですが、言ってしまったら会社が虚偽の経歴書を書いたことがばれてしまいます。吹き出る汗を拭きながら「ま、何とか大丈夫です」と言ったものの、お客さんと目を合わせられませんでした。
結局、技術面で不安はあるものの、人手が足りないとの理由で何とかわたしも開発現場に常駐することになりました。ド素人なのに本当に仕事が務まるのか? と面接に同行した営業の方に聞きましたが、「何とかなるから大丈夫だよ。もし何かあったら電話して」と言われ、「そういうものなのかな」と自分に言い聞かせていました。
●無茶な仕事
そして、ド素人の「経歴3年のエンジニア」が開発現場で仕事をすることになりました。開発現場では当然、経歴3年相当の仕事が割り当てられます。詳細設計書を読みプログラムを作成するのが与えられた作業です。が、設計書に書いてある単語がよく分かりません。わけの分からない記号も出てきます。そして、サンプルプログラムを見ても何がなんだかまったく分かりません。幼稚園児に因数分解を解かせるくらい無茶なことです。できるはずがありません。
しかたなく、わたしは同じ客先で別のプロジェクトで働いていた自社の先輩に聞いたり、近くの書店で本を買ったり、同じ開発チームの人の良さそうな方に教えてもらったり、なんとかごまかし取りつくろいながら仕事をしていました。なんとかわたしの「ロースキル」がばれないように頑張りました。どれだけ冷や汗をかいたでしょうか? きっと疑惑の渦中にある国会議員はこんな気持ちなのだろうな、と思っていました。
ところで、面接に同行した営業の方ですが、その後何度も「助けてコール」をしたにもかかわらず、現場にくることは一度もありませんでした。これぞ現代の野麦峠です。
●常駐SEは孤独
小さな会社に所属しているエンジニアは客先常駐というかたちで仕事の場を与えられますが、常にお客さんに監視されているような状態で仕事をします。自社の上司や先輩が一緒に常駐するケースもありますが、最悪な場合、1人で常駐することもあります。その場合、1人でプレッシャーと闘うことになるのです。
派遣されて孤立した技術者がどれだけ精神的につらい気持ちなのか、自社の方には十分理解してもらいたいものです。派遣で送り込んだから、あとはエンジニア任せ、という会社が多いのはとても残念でなりません。派遣した後のエンジニアの活躍が、すなわち自社のサービスであるわけですから、しっかりとエンジニアの精神的なメンテンナンスを行ってほしいものです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
次回もお楽しみに。

高田善教
