筆者は1970年生まれ。先輩から、情報技術者を目指す若い方へ生きてゆくためのコラムです。

フィールドエンジニアの原点

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 1974(昭和49)年――北九州市小倉南区。山の手の新興住宅街に、ひとりのナショナルのお店の人が、出張サポートに訪れました。映りが悪くなった、横尾家のカラーテレビを直しに来ました。せいじ電器(現:せいじ電器徳力店)というナショナルのお店(まだ、パナソニックのパの字もなかった頃)の若きサービスマンさんは、いつも重い鞄に工具類を詰めて持ち歩いていました。当然、作業着姿です。

■ナショナルのお店が感動を分けてくれた

 木製のテレビの裏側に回っては、謎めいたふたを開け、ふーふー汗をかきながら、あーでもない、こーでもないと独り言を言いながら、それでも、ドンピシャ直すのです。わあ、すげえ!! カラーテレビを見事に直しました。ひらけ、ポンキッキが見られる!!(母と子のフジテレビ、というキャッチフレーズだった頃の幼児番組)それから、我が家の、調子が悪くなった、もうすでにガタが来ている洗濯機も、あっという間に見事に直しました

 かっこいい!! ヒューヒュー!!

 また、サービスマンさんは、当時としてはトランジスタ式として画期的だった、4型の白黒ポータブルテレビ受像器(当然のことながら、地上波アナログで、滅茶苦茶高いお値段)を、お試しレンタルしてくれたり、僕がよく壊す、緑色のミニレコードプレイヤーも直してくれたり、こちらも、店舗に出向き、ラジカセを新しく購入したりもしました。ちなみに、MAQという名の、英語リスニングテープ付きのラジカセ(RQ-535)でした。当時としては、キュー(頭出し)などなど、これはもう画期的だったかもわかりませんね。

 ……僕が修理好きだというルーツは、こんなところから来ているのかも知れませんね。だから、あんなにお客さんの喜ぶ顔が好きで、例え、自分が職場でめげそうになっても、お客さんの表情がぱあっと明るくなる。そんな瞬間が好きで、フィールドエンジニアを長く続けて来られた訳なのです。僕の原点は、北九州の「せいじ電器」にあるのかも知れませんね。……ちなみに、工業高校時代、「NHKテレビジョン教科書」(放送原理から受像器までを網羅的に扱った書籍)を図書館から借りてむさぼり読んだのは言うまでもありません。

■弱冠18歳でフィールドエンジニア

 また、1989(平成元)年、第一家庭電器DAC千葉店(整理統合の上、ハゲタカファンドにみんな持って行かれて倒産)でバイトしていた時。バイトの同僚が「オレんちの一太郎、入れてくんないかなあ」というわけで、人生初のフィールドエンジニアをしてまいりました!! そこは、割烹料亭の2階で、目標のマシンはPC9801VM!! そして、ソフトウェアは、なんと一太郎3.1!! もろにテキストベースな時代のお話で恐縮なのですが、それを入れて、操作指導をやってあげました!!

 なんと、ご褒美には、割烹料亭特製の天丼が!! サポートして、ご褒美に、天丼食わしてもらった時には、思わず涙が出そうになりました。嬉し泣きしそうになりました。現在では、たぶん、ご主人になられていると思います。千葉市中央区、セントラルプラザ裏の「割烹料亭 とみ本」、今でもしっかりと覚えています。みんな、どうしてるかなあ……千葉市中央区にお立ち寄りの際は、割烹料亭 とみ本を、ぜひよろしくお願いします。なお、予約で宴会もできるそうです。鮮魚がうまい!! ちなみに、米のとぎ汁には栄養がない、と教えてくれたのも、この方でした。

 ……というわけで、文字通り味をしめた訳なんです、はい。あれから、どの会社にいても、たいがい、パソコン周りのサポート(というか、会社代表)は、僕がつとめていました。出たがり、じゃないですが、他に知っている人がいないので、仕方がなく、必要に応じて、という訳なのです。今では、パソコンも行き渡りすぎて、サポート系のお声もかからず(というか、労働の対価に見合わず)、徳島県から届けられた、一太郎25周年限定パッケージを見るたびに、「時の流れって言う奴は……」かなんか言いながら、じっと、手のひらを見るのでした。

Ichitaro
景気がいい時も、悪いときも、運命を共にした一太郎

 一太郎も25年。僕のサポート人生も22年。PC98の頃からやってきた。我がフィールドエンジニア人生に悔い無し……とは言いたいんですが、そうは言い切れない、残尿感が残るのです。まだまだ、何か出来るはずだ。まだまだ、学び足りない。……そう言いながら、薄毛になるのは嫌ですが(苦笑)。あー、20歳代から、薄毛予防に育毛剤入りのヘアトニックが習慣だからねー。薄毛だけは勘弁な。

 ……今でも、調剤薬局で、プリンタの調子が悪い場合に遭遇したとき、思わず、オペレーターさんに向かって、「スタートボタンの中の、デバイスとプリンターの中の、プリンタを右クリックして、プロパティの中の、プリンタのテストページ印刷をクリック!!」などと思わず障害の切り分けをしてしまうという、これはもう一種の病気かもわかりませんね。ちなみに、薬局のプリンタは、その後調子を持ち直したようで、お役に立てて何よりです。

 ではでは~。

 (困ったことがあったら(お金以外)、相談せよ!!)

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