システム導入時のユーザ教育に関するノウハウを書いていきます。

第14回 展示会に出す理由

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 こんにちは、エル・ティー・エスの忰田です。久しぶりのコラム更新です。更新をサボっている間何をしていたか? というと、「システム展開支援サービス」を展示会に出展していました。

 ということで、今回のコラムはこれまでと少し内容を変えて、展示会出展レポートを書きたいと思います。

■展示会って……

 いわゆる「展示会」というイベントは、主として分かりやすい「形」のある製品を展示して来場者にPRする場です。製品をたくさん売るには、幅広い購買層を得ることが第一で、そのために展示会に出展する企業はいろいろな販促品を配って来場者の興味を引く作戦に出るわけです。

 ITサービス・システム開発関連の展示会でも同様で、形のあるハードやパッケージ製品が出展商品の主流です。ただし、ソフトウェア開発の業界では、エンジニアの派遣やテストの代行などの明確な「形のない」サービスも一部出展されています。

 そんなIT関連の展示会に「システム展開支援サービス」を出展しました。出展内容は「システム導入時のユーザー教育」です。非常にニッチなサービスを出展したため、来場者の反応は様々でした。

■なんで展示会に出てみようと思ったのか?

 システム導入時のユーザー教育のサービスを展示会に出展して、果たして人は集まるだろうか? という、素朴な疑問がスタートでした。私が持っていた仮説は「(システム導入時のユーザー教育で)困っている人はいるはず。だが、それを専門的に支援するサービスの存在を知らない」でした。であれば「人が集まる展示会という場に出てみて、世の中の反応を見てみよう」ということになり、展示会出展を決めたのです。

 出展の主目的は「調査」なので、コストは最小限に抑えました。販促物を配ったり、コンパニオンのおねえさんを使ったり…… などは一切なし。また、やたらとブースに人を呼び込むのも目的に反するので、会場でブースに来てくれた人から話を聞く、を基本スタイルとして「過剰な営業はしない」というルールのもと、サービスを説明できる社員を集めて展示会に臨みました。

■出展してみてどうだったのか?

 ブースには人だかりができて大盛況…… なんてことにはならず、「システム導入時のユーザー教育支援」と書かれた看板を見て興味をひかれた人がポツポツと立ち止まる…… という状況でした。

 来場者の反応で一番多かったのは「こんなサービスがあるなんて知らなかった」で、わざわざ立ち止まってくれた人の多くは、過去にユーザー教育で失敗したり、苦労したりという苦い経験のある人ばかりでした。ここまでは予想どおりです。

 その他、多く聞かれた反応として「ベンダーの作るマニュアルは分かりにくい。ベンダーに操作研修をやってもらっても分かりづらい。教育部分は専門家に頼んだ方がいいのかも」など、システムを導入するユーザー企業側の声がありました。

 また「もう少し前に知っていれば……」とのコメントは、昨年に基幹システム導入で苦労した情報システム部の部長さん。ユーザー企業側で、自社のシステム導入に関わった人であれば、一定の割合でユーザー教育の課題を認識しているようです。

■ITエンジニアも問題意識を持っている

 ここまではユーザー企業側のコメントをいくつか書きましたが、終わってみればシステム開発・導入を行っているITベンダー・ITコンサルタント企業の来場者のほうが多かったです。

 ITエンジニアを抱えている会社の経営者の方は「社員は開発に専念させたいので、マニュアル書きやユーザートレーニングは外注できればしたいと思っていた」とのコメント。他には「開発は自社でできるが、ユーザー教育は自分達ではうまくできない。パートナーとして協業できれば……」という声が多かったです。

 実際のところ、システム展開支援サービスはITベンダーなどのパートナー協業・役割分担してプロジェクトに入ることがほとんどなので、実はこれも予想どおりでした。

 ということで、どうやら「サービスを求めている人」はユーザー企業側・ITベンダー側それぞれで、一定数存在する(っぽい)、ということが分かりました。なので、出展目的の「調査」は一定の結果を得られたということです。

■まとめ

 今回は展示会出展レポートとしてコラムを書きました。まだまだ「システム導入時のユーザー教育」の専門サービスは認識されていないと思います。なので、これからはどんどん宣伝します! …… というつもりはないのですが、ユーザー教育にも課題があり、これを解決しないとシステム導入は上手くいかない、ということをもっと発信できれば、と思っています。

 次回のコラムからは、また前回のコラムの続きを書いていきたいと思います。それでは。

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