社内SEの実態を公開

納期と品質

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 光陰矢の如しといいますが……。今年度もあとわずかですね。組織変更対応とか、フロアの移動とか、社内SEは忙しい時期です。年度末の決算もありますし。

 システム開発の仕事をしていると、月日はあっという間に過ぎていきます。

 ・プロジェクトがスケジュールどおりに進むわけない

 ・システムにバグはつきもの

 上記2点は良く言われます。遠からず真実に近いですが、これを当たり前と考えてはいけないのですね。分かっているものの、究極の選択を強いられる場合があります。

 1年超のプロジェクトに携わっていたときです。20XX年1月からスタートして、20XX年10月稼動予定。安定稼動の11月~12月に検収する予定でした。10月稼動なので、受入テストを8月のお盆明けから初めて1カ月位で完了し、9月中旬から1カ月間でユーザへの説明会を行う予定だったのですが……。

 ある日、ベンダからの進捗報告に違和感を感じ初めました。現場のSEさんから聞いた話とギャップがあるな……と思ったのです。隔週の進捗報告なのですが、段々と「そんな訳ねーだろ! 」というような中身のない報告になりました。「予定どおり、多少遅延しているがリカバリ可能」とか……。実際、我々と仕様の確認している中で、想定できていない、認識の甘い部分など発覚しているのにもかかわらず。いくら指摘しても「大丈夫」としか言わず……。

 とうとう受入開始ギリギリになってベンダ側からギブアップの連絡がありました。8月の受入テストは不可能どころが、10月のリリースも無理との事。再三指摘してきた私の怒りはMAX! なぜこんなにギリギリになって連絡してきたんだぁ!!!

【ベンダ側(営業サイド)の思惑】

 とにかく契約書にあるスケジュール通り納品して、検収してもらい、売り上げるのが目的。品質? 多少バグがあっても、稼動後に直せば良いじゃん! システムにバグはつきものだろ! 進捗会議は「大丈夫」ってとりあえず言っとけ! うちの決算に関わるので、とにかくリリース。納期重視!

【私(情報システム部門として維持運営する立場)の主張】

 やはり品質。稼動後重大なバグがある・まともに動かない状態でリリースなんてありえない! ユーザからは不具合を責められ、上司からはテストしたのかと責められ、関係各所に謝罪しながら対応するなんて嫌だ!バグ0とは言わないまでも、主要機能の稼動が担保されないとリリースなんかさせない……。とは言うものの、リリース延期の謝罪と社内調整はしなくてはならない……。そっちでボロクソ言われるのは耐えられるかな……。やっぱり品質重視!

 と相反しているわけで、ベンダ側経営・営業サイドからは真実の報告が遅れたのです。問題があるような報告をすれば、検収時期が翌年度に持ち越されれ、最悪今年度の売上立てられなくなりますので。

 では何故、ギリギリになって真実が告白されたのか……

【ベンダ側(開発者サイド)の姿勢】

 プロジェクトリーダー以下、開発者の皆さん、デスマーチ状態の中で一生懸命頑張っているのですが、プロマネ・営業の思惑により、デスマが悪化の一途。帰るに帰れず、体調も崩し、モチベーションもなくなり……ただバグがなくならない。というか結合テストにならない! でも、彼らにもプライドがあります。こんな状態で納品して良い訳もなく、開発者とプロマネ・営業の間で相当な口論に……。

 そんな中、1人の救世主が現れたのです。Aさん(部長よりも上の役職の方)。Aさんは開発者側の立場に立って、プロジェクトの見直しとともに、真実の品質状況を報告し、リリース時期を延ばすことをベンダ側の経営会議でおっしゃったそうです。

 私とAさんは長いこと話し合いをして、リリース日の調整とプロジェクトの再立ち上げ、再発防止策などを綿密に打合せをしました。関係各所に遅延のお詫びと説明にまわりました。リリース日は半年ほど延期し、バグがない! とまでは行きませんでしたが、まずまずの品質でリリースすることができました。稼動後は我々とベンダ一丸となって乗り切り、安定稼動させることができました。怒涛のような日々を一緒に過ごしました……。

 安定稼動して1週間ほどたったある日……Aさんが異動の挨拶に来ました。地方の支店へ異動との事。突然……いや、私にとって突然だっただけで、本人はわかっていたのでしょう。Aさんが真実を明るみにして延期したことにより、年度内の売上ができなったので、Aさんは責任を取らされたのです。

 Aさんが「自分が全責任をとる」と言ったと後日、別の方から伺いました。我々からすると功労者なのですが……残念です。もし納期を優先させていたら、私がどこかの地方に異動していたのかもしれません。

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