社内SEの実態を公開

業務システムの最後

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 お久しぶりのコラムです。約1年半ぶり。さぼっていたと言われればそれまでですが、昨年子供が産まれて、ライフワークとも言えるシステム再構築の真っ只中でして……。ようやく最近落ち着いたところです。そのあたりは別の機会に書くこととします。今回はあまり皆さん話題にもしないような話、システムの終了について、です。

 システムを作る理由はいろいろあります。システムを使わなくなるということにもいろいろな理由があります。古くなった、時代に合わない、ランニングコストがかさむ……などなど。

 今回はサポート切れになったシステムについてお話ししていきます。開発側がサポートできないとか、打ち切りと宣言することがあります。開発元が事業規模を縮小したり倒産してしまったようなことも……。大体こういったときは、代替案がまったくなくなったときに私に話が来ます。もうちょっと早く言ってくれればと思いながらも、利用部署は「使えなくなると困る」と言い放ちます。困ったものです。

 まず開発元に電話します。開発元の特定も困難であることもあります。昔の手書きの議事メモの参加者から会社名を割り出し……みたいなことも。で、ようやく当時の担当者に接触できて言われるのは

 「いやー、もう難しいですよ。サポートできる体制は無いのですみません……」

 そこから身元引き受けベンダさんを探し始めます。知り合いの会社に頼みますが、こういうサポート切れのシステムは、VB 5.0とか、Access 97とかで作られていて、少しバージョンアップしないとメンテナンスもできないことが多いのです。大手開発会社に声をかけるといきなり数千万のリプレイスを提案される、小さな開発会社は「別のシステム作ったほうが早いですよ」と言われて相手にされません。

 こういったケースにはもう1つ特徴があります。利用部署がケチ! なのです。もともと、正規なルートで導入していないから、相場より安く導入できたのに、いざ使えなくなったり、サポート切れになると、「その当時はたったこれだけで買えた」、という具合にゴネまくるんです。

 で、ゴネる利用部署は使えるだけ使い倒そうとします。情報システム部門は阻止しなくてはなりません。不具合が発生してもサポートできないからです。元SEとしては面倒を見てやってもいいかなと思ったりもしますが、組織で面倒みれないので無理なんですね。

 昔とあるサポート切れのシステムに障害が出て、私に泣きついてきたことがありました。ちょっと原因を調べることに。Accessでできているシステムで、キーがオートナンバーになっているテーブルがありました。そのテーブルのデータを格納するときにキー項目の変数や関数をすべてInt型にしていて、オーバーフローして障害になっていました。「おー、時限爆弾だ!」と心の中で叫び、直してあげたいと思いながらも……。

 「残念ですが、これ以上利用できない仕組みになっています」

 最後通告です。そしてシステムには引退してもらいます。

 今度は身元引き受けシステムを探すことになります。ここまでくると利用部署もあきらめて基本的には私たちに従ってくれます。推奨するのは会社の基幹システムです。利用部署でもシステムを古くから使っているユーザーは最後まで抵抗します。新しく来た方は結構Welcomeな感じ。何でこんなボロいシステム使ってるんだ、くらいのことを言ってくれます。さらに上司は、自分の部署でシステム管理の負担がなくなるので、後々は感謝してくれたります。

 最後の作業です。サーバを使っていればデータ消去と撤去の手続き。償却が残っていれば除却します。固定IPを持っていればリリースし、ドメインからも削除します。サーバの管理台帳からも消え、どんどん影が薄く、過去の存在に……。

 そこで私はいつも思うのです。このシステムだって、はじめは業務が困って導入することに決め、多くのエンジニアの方々が携わって、10年以上近く使われたはず。さまざまな苦悩・困難を乗り越えて作られ、いろいろな人が使い、情シスも運営サポートしてきました。人から人へ、システムと共に時代を歩んできたのです。ちょっぴり切ない思いで、業者がサーバを撤去していくまで、私はいつも見守ります。これも情報システム部署の仕事の1つ。10年もいると「ゆりかごから墓場まで……」そういう現場に出くわします。

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