ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。

魔女の刻 (36) 沢渡レナのナラティブ

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 不意に鳴り響いたサイレンに、沢渡レナは驚いて立ちすくんだ。手にはビニールに包まれた三色ボールペンを掴んだままだ。狭い店内には3、4 人の客がいたが、レナと同じように驚いて周囲を見回している。とっさに連想したのは火事だったが、火の手も煙も見当たらない。不思議に思っていると、頭が禿げ上がった初老の店主が、レジカウンターの方からレナの方に向かって来るのが目に入った。いつも不機嫌そうな顔だが、このとき浮かんでいたのは怒りだ。その表情に怯えたレナはボールペンを棚に戻そうとしたが、その前に店主の太い手に、手首をがっしりと掴まれていた。
 「やっと尻尾をつかんだぞ」店主は低い声で唸るように言った。「ちょっと来な」
 「あ、あの......」
 反射的に手をふりほどこうとしたが、店主は怒りの色を濃くしてレナを睨んだ。気が弱いところのあるレナは、それ以上抵抗ができないまま、半ば引きずられるように店主に続くしかなかった。店主はレジ脇のアコーディオンカーテンを開け、バックヤードにレナを連れ込んだ。休憩室も兼ねたそのエリアには、レナが学校の進路指導室で目にするような長テーブルとパイプ椅子が置いてあり、伝票の束やダンボール箱が整理という言葉とは無縁な様子で散乱していた。奧の壁際にはデスクトップPC とモニタが乗った事務机があり、モニタには4 分割された防犯カメラのモノクロ映像が映っていた。
 パイプ椅子に座るよう言われたレナは、わけがわからないまま、その指示に従った。
 「おい」店主は出口を塞ぐ位置に座りながら言った。「いつまで持ってるんだ」
 そう言われて、レナは自分の右手に視線を向け、まだボールペンを握っていることに気付いた。4 人のイケメン男子高校生が、それぞれの優しい表情でレナに微笑んでいる。レナの大好きなアニメのキャラクターグッズで、今日、入荷していると聞いて、ここ加藤文具にやってきたのだ。
 「あの、すみません......」
 ひょっとすると、非売品か何かだったのか、とレナは考え、おずおずとボールペンを差し出したが、店主は怒りが収まらないようで、それをひったくった。
 「あんた、学校、どこ。南中?」
 「あ、東中ですけど......」
 「店にも貼り紙してあるけどね」店主はカーテンの向こうに親指を向けた。「うちは万引きは警察に通報することにしてるから。金額の大小に関わりなくね。知ってるな」
 「万引き......」レナは愕然として店主を見た。「あたし......そんな、何も......」
 店主は立ち上がると、レナを見下ろしてせせら笑った。
 「とぼけなさんな。ちゃんとシステムに警報出てるんだ」
 「システム?」
 「まあ、話はおまわりさんの前でするんだな」店主はスマートフォンを取り出し、どこかに電話をかけた。
 どうやら自分は万引きしたと思われているらしい。得意げに話す店主の声を聞きながら、レナはそう推測した。否定しようと口を開きかけたが、興奮して喋っている店主は、とても話を聞いてくれそうにない。
 「すぐにおまわりさんが来るぞ」
 通話を終えた店主は満足そうに言ったが、レナはむしろホッとしていた。今はこの人に何を言ってもムダなようだ。警察官に調べてもらえば、すぐに真実が明らかになるだろう。
 10 分後に2 人の警察官が到着した。若い方の警察官が片手をあげて店主に言った。
 「なになに、やっと捕まえたんだって」
 「この子だよ」店主は憎々しげに顔を歪めた。「ふざけやがって」
 「ふーん」警察官は手帳を出して、レナをじろじろと見た。「じゃ、君、中学生だね。生徒手帳出して」
 レナはカバンから生徒手帳を出して差し出した。受け取った警察官が、無線で何かを話ながら外に出て行く。残った年輩の警察官は、店主と入れ替わりにレナの前に座ると、落ち着いた口調で訊いた。
 「で、何を盗ったのかな」
 「あ、あたし」レナは勢いこんで言った。「何も盗んだりしてません」
 警察官は店主に顔を向けた。
 「と言ってるけど」
 「これこれ」店主は先ほどレナから取り上げたボールペンを振り回した。「これを盗ったんだよ、これ」
 「確認したんですか」
 「確認?」店主は警察官に驚いた顔を向けた。「確認って何ですか」
 「つまり」警察官は辛抱強く説明した。「この子がこれを持って、お金を払わずにお店の外に出たんですか」
 店主の表情に迷いが生じた。
 「あ、いや、そういうわけじゃ......ないんだが」
 「じゃあ、どうして万引きだと」
 「システムだよ」店主はPC の方を指した。「システムに警報上がったんだ」
 若い警察官が戻ってきて、レナに生徒手帳を返してから、小声で言った。
 「S1 なしです」
 年輩の警察官は頷いてから、また店主を見た。
 「システムって」
 「ほら、あれだよ。<Q-FACE>。万引き防止の、顔を見分けるやつ」
 「えー、おじさん」若い警察官が呆れたような声を出した。「あれはさあ、単に顔認識が一致したから気を付けろ、って警報出すだけでしょ。ぼくが聞いた話だと、認識率はまだ低いってことだしさ。それで、犯人扱いしちゃったわけ?」
 「いや、でも、警報が......」
 「だからさあ......」
 言いかけた若い警察官を、年輩の方が制した。
 「防犯カメラの映像、見られますか」
 「あ、ああ」店主は救われたように頷いた。「見られますよ」
 「確認しろ」若い警察官に命じておいて、年輩の方はレナに向き直った。「ちょっと話を聞かせてもらえるかな。心配しなくていいから」
 店主と若い警察官が防犯カメラの映像を確認している間に、レナは問われるままに、さっきあったことを話した。年輩の警察官は、無愛想ではあったが、中学生のレナに対しても丁寧な言葉遣いで誠実に対応してくれたので、レナの不安感はかなり和らいだ。
 「何もないですね」若い警察官が報告した。「ちょうどこの子が背中向けてるんですけど、棚からボールペンを取って、そのまま持ってただけで。ポケットとかカバンに入れたわけでもないですね」
 「あー、その」決まり悪そうな顔の店主が進み出た。「すまなかったね、お嬢さん。ここんとこ、万引きが多くて、つい誤解しちゃったみたいだ」
 「<Q-FACE>の話は聞いてますが」年輩の警察官が諭すように言った。「あまりシステムを盲信しないように。さっきこいつも言ったけど、万引き犯を見つけるもんじゃないからね」
 「いや、本当に申しわけない」店主は頭を下げると、先ほどのボールペンを差し出した。「おわびの印ってわけじゃないけど、これ、プレゼントするから」
 年輩の警察官が問いかけるように見たので、レナは頷いた。怒ってもよかったのだが、何事もなかった安堵感の方が強かった。レナはボールペンを受け取った。
 「じゃ、もう帰っていいから」警察官は言いながら立ち上がった。「あんたの方は、一応、調書を取らせてもらうから、もう少し時間もらうよ」
 「はい、本当にお手数おかけして......」
 若い方の警察官が、早く帰りな、と囁いて、レナを裏口まで送ってくれた。
 「悪かったね。まあ、勘弁してやってよ。ほんとうにこの店、万引きが多くてさ。よく相談受けてたから。じゃ、気を付けて」
 店を出たレナは自転車を置いてある場所に歩きながら、安堵のため息をついた。腕を掴まれたときには心臓が飛び出るかと思ったが、何事もなくて本当によかった。ボールペンもただで手に入れることができたし。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 翌日の朝、登校したレナは担任に呼び止められた。
 「沢渡さん」担任の顔は厳しかった。「授業終わったら、ちょっと指導室まで来てもらえるか」
 「あ、はい」
 昨日のことかな、とレナは思ったが、それほど心配しているわけではなかった。誤解だったことは明らかになっているからだ。
 だが、放課後、進路指導室に入ったレナは、担任の他に、学年主任と教頭、それにスーツ姿の見知らぬ男性が同席しているのを見て戸惑った。
 「沢渡さん」学年主任が硬い声で言った。「昨日、君が加藤文具店で万引きをしたと連絡が入っている。これは事実かね」
 「いいえ、違います。誤解だったんです」
 レナは昨日のことを簡単に説明した。警察を呼ばれた部分を話したとき、3 人の教師は揃って動揺を見せ、最終的に店主の早とちりだったことを話しても、その表情は変わらなかった。
 「つまりシステムの不具合だということかね」教頭が確認した。
 「はい」レナは頷いた。「そう言ってました」
 「なるほど」学年主任が頷いた。「ありうる話ですね」
 「だが、<Q-FACE>はHSSJ が出してる製品だよ」教頭は不審そうに言った。「国際的な大企業だ。そんな不具合なんか起きないと思うんだがね。違うかね、弓削さん」
 「ええ、もちろんですとも」弓削と呼ばれたスーツの男性が大きく頷いた。「うちのテストでも、そんなことはほとんどありませんでしたから。何ならエビデンスをお持ちしますよ」
 「いやいや」教頭はへつらうような笑い声を上げた。「それには及びませんよ。沢渡さんだったか。君、本当のことを言ってるんだろね」
 「教頭!」「何を言うんです」担任と学年主任が同時に声を上げた。
 「私は確認してるだけだよ」教頭は探るような視線をレナに向けた。「どうなんだね。間違ってないということかね」
 さすがのレナも腹を立てて答えた。
 「私は何もやっていません! 警察の人もそう言っていました」
 「本当かね。君がそう言っているだけじゃなくて?」
 「違います」
 レナの口調に含まれる怒りを感じ取ったのか、教頭は頷いた。
 「ああ、わかった。確認しただけ、確認しただけだから。君、教室に戻って待っていてもらえないか。ちょっと打ち合わせがあるから」
 レナは担任を見た。担任は教頭に抗議してくれそうな顔だったが、仕方なさそうにレナに言った。
 「教室で待っていなさい。すぐ呼びにいくから。心配しなくていい」
 レナは立ち上がって一礼すると、進路指導室を出た。平静な顔だったが、心の中は不安が満ちている。担任は心配するな、と言ってくれたが、その言葉を文字通りに受け取ることができなかった。
 担任が呼びに来たのは30 分ほど経過した後だった。担任の顔は強張っていた。進路指導室に向かう途中、担任はレナと視線を合わせるのを避けていて、足を進めるごとにレナの不安はますます高まった。
進路指導室に入ると、先ほどのスーツの男性はすでにいなかった。
 「沢渡レナさん」教頭が告げた。「とにかくシステムの不具合が確認できるまで、校則に従って、君には自宅待機を命じます」
 レナの周囲が急に暗黒に包まれたようだった。
 「自宅待機......ですか」レナはかろうじて細い声を絞り出した。「でも、昨日のは誤解だったんです。お店の人も警察の人も......」
 「だから、それを確認するまでのことだよ」教頭は苛立たしそうな声で言った。「君が本当に何もやってなければ、すぐに学校に来られるようになる」
 「でも......」
 「これは規則だからね。だいたい、そんな疑われるようなことをした君にも責任があるんだよ」
 「......」
 「大丈夫だ」担任が安心させるようにレナの肩をぎゅっと握った。「せいぜい、明日一日ぐらいのものだ。授業の動画は配信させるから、勉強が遅れる心配はしなくていい。お家の方には、私から連絡しておくから」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「どうなっているんですか!」レナの母親は泣きそうな顔で、担任に抗議した。「もう一週間以上になるじゃないですか。一体、いつになったら学校に行けるんですか」
 「私も何度も上に言っているのですが」玄関に立ったままの担任は、深々と頭を下げた。「<Q-FACE>の方にアラートが上がりっぱなしになっているとかで、それが解除されないと、自動的にレナさんのアカウントがロックされたままになるんです」
 「でも、レナが何もやってないことは、学校の方だって警察の方だってわかってるんですよね。加藤文具の方もお詫びに来てもらいました。なのに、レナが自宅待機のままって、どういうことなんですか」
 「HSSJ とQ-LIC から、正式にバグ報告が上がってこないんです」
 「そんなの知ったことですか!」母親は叫んだ。「とにかく授業を受けさせてください。中学 3年生の冬なんですよ。これで受験に失敗したらどうするんですか。授業の動画だって、途切れ途切れだし」
 担任はできる限りのサポートをすることを懸命に説明していたが、母親の怒りはエスカレートするばかりだった。リビングのドアの脇に立って、話を聞いていたレナは、涙をこぼした。
 「レナ」優しい声とともに、レナの肩を2 つの手がそっと包んだ。「大丈夫?」
 「うん」レナは涙をぬぐった。「何とか」
 「お茶淹れたから座ろう」
 「ありがとう、ワーニャ叔母さん」
 ワーニャ叔母さん、というのは、レナと叔母の間だけに通じる呼びかけだった。「おばさん」という呼称に抵抗を感じた叔母が、レナと2 人で考えたのだ。その元ネタは、2 人で観に行ったチェーホフ原作のお芝居だった。
 「姉さんももっと早く話してくれればいいのに」叔母は香り高い紅茶をカップに注ぎながら言った。「こんなことになってるなんて」
 「うん」
 2 人はソファに座って紅茶で身体を温めた。玄関からは、レナの母親がすすり泣く声が伝わってくる。
 「ね」叔母は明るい声で言った。「気分転換に映画でも行かない? それとも水族館とか。で、何か美味しいものでも食べようよ」
 「ワーニャ叔母さん、お仕事忙しいんじゃないの?」
 「まあね」叔母は肩をすくめた。「でも、たまには気分転換しないとね。どう?」
 「うん、ありがとう。でも、勉強したいから。彼氏さんと行ったら?」
 「そっか。じゃあ、まあ、落ち着いたらね」
 「うん」
 玄関のドアが閉まる音が聞こえ、母親が足音荒く戻ってきた。
 「まったくあの学校ったら」母親は罵った。「あれこれ言い訳ばっかり。ふざけてるわ、ほんとに。先生も頼りないし」
 「先生は悪くないよ」レナは部活の顧問でもある担任をかばった。「いろいろ気を遣ってくれるもん」
 「役に立たなきゃ意味ないわよ、そんなの」
 「私もちょっと調べてみたんだけどさ」叔母が言った。「その<Q-FACE>ってのは、市長が導入を推進したのね。だから、バグ......欠陥があったってことは、なかなか認めたくないんじゃないかって話らしいわね」
 「そんなの知ったことじゃないわよ、全く。あたしたちの税金使っといて」
 「ネットメディアが、この件、取材してるらしいから」叔母はカップに口をつけた。「そうなったらさすがにQ-LIC も非を認めて謝罪するんじゃないかな」
 「誰が謝罪しようが、そんなことはどうでもいいのよ」母親は涙をこぼした。「どうしてレナが学校に行けないのよ。どう考えても異常じゃない、こんなの」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「推薦がダメって、どういうことですか」母親はヒステリックに叫んだ。「あれだけ大丈夫だって仰ってたじゃないですか!」
 「落ち着いてください、沢渡さん」教頭は汗をかいていた。「説明しますから」
 レナと母親は校長室のソファに座っていた。レナの自宅待機が解けた数日後のことだった。
 「例のシステムのバグが原因です」怒りを隠せない様子の担任が説明した。「<Q-FACE>が沢渡さんを万引き犯だと誤認した際、文房具屋の店主は規定通りの操作を行いました。学校情報システムへの連繋と、警察への通報です。学校情報システムの内申書データに、その2 つの履歴は自動的に記録されます。本来なら<Q-FACE>側でアラートが解除された時点で、学校情報システムにも反映されなければならないのに、それがされていなかったそうです。Q-LIC はその不具合を認識していて修正対応中だったのですが、修正されるまでの間、学校情報システム側の操作で履歴削除処理を実行しなければならないことを伝えていませんでした。結果として沢渡さんの内申書には『万引き警告』と『警察へ通報』のデータが残ったままになったんです。それが影響して、高校の方から......」
 「説明して下さらなかったんですか」
 「もちろんしました」担任は頭を下げた。「ただ、高校側としては、事実確認をしなければならなかったらしく、Q-LIC とHSSJ にも事情を問い合わせたんです」
 「それで?」
 「どんな回答だったのかはわかりませんが、<Q-FACE>の非を完全に認めたものではなかったのかもしれません」
 母親がひとしきり学校とQ-LIC に罵声を浴びせたが、レナはほとんど聞いていなかった。希望していた横浜市内の高校は、レナがずっと行きたかった学校だった。そこへの進学の道は、事実上断たれたようなものだ。一般入試で受験することはできるが、推薦が蹴られたのと同じ理由で不合格になるのは確実だ。
 「それで」何とか気を静めた母親が訊いた。「これからどうするおつもりですか」
 「志望校を変えて、一般入試で受験されるのが最善ですね」教頭が言った。「この件に関しては、学校は最大限の協力を惜しみません。なに、沢渡さんは元々、成績がいい。普通に受験しても、まあ合格するんじゃないですか」
 おべっかを使ったつもりであれば、それは逆効果だった。母親は冷たい視線を向けただけだった。
 「とにかく」担任が言った。「明日から受験対策をしましょう。放課後、特別に補習の時間を設けます。力を合わせて乗り切りましょう」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「よお沢渡。お前、万引きやったんだって?」
 レナの全身が硬直した。呼吸が停止したようだ。声をかけてきたのは、クラスの男子だった。普段は、ほとんど会話をしたことがない。
 「あ、あたし」レナは震える声で言った。「やってないよ」
 「でも警察に連れて行かれたんだろ」男子はニヤニヤ笑った。
 「違う。あれは誤解だったの」
 「警察に話聞かれたんだろ」
 「......うん、まあ。でも、それは......」
 「おーい、みんな聞いた?」男子は大声で周囲に言った。「こいつ、認めたぞ。警察に話聞かれたんだってよ」
 「だから、それは......」
 「ここんとこ、毎日、補習授業とか何とかやってるよな」別の男子が言った。「あれって、なんか、そういう関係のアレかよ」
 「アレばっかで、何言ってんのかわかんねえよ、お前」
 「いろいろLINE に流れてきてっぞ」男子は、本来なら持ち込み禁止のスマートフォンを自慢そうに見せた。「お前が万引きで捕まって、身体で許してもらったとかよ」
 「えー、本当かよ」
 「俺はウリやってるって聞いたな。おい、いくらでやらせてんだよ」
 「推薦ダメになったから、担任にコビ売って、何とかしてもらおうってのか」
 「売ってるのはコビだけじゃないかもな」
 「げ、ロリかよ」
 いたたまれなくなったレナは、カバンを掴んで教室から飛び出した。背後から、容赦なく無責任な言葉が投げつけられてきた。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「どうだった?」
 問いかける母親の声は優しさに満ちていた。レナは、すでに母親が結果を知っているのだと思った。
 「ダメだった」
 レナは受験票を丸めて捨てると、自分の部屋に入ってドアを閉ざした。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「やっと会えた」叔母は心配そうな顔で言った。「どうして連絡くれなかったの」
 「別に」レナは顔を背けた。「話すことないし」
 ドアが開き、警察官が入ってきた。
 「もう帰っていいですよ」
 「ご迷惑をおかけしました」叔母は頭を下げた。
 2 人は黙って伊勢崎警察署の階段を降りた。
 「何か食べよっか」叔母は笑顔を向けた。「お腹空いたでしょ」
 レナは答えなかったが、叔母は気にせずに、近くのファミレスに入った。
 「好きなもの頼んで」
 午後から何も食べていなかったレナは、カレーとドリンクバーを注文し、届いた途端に猛烈な勢いでスプーンを口に運んだ。叔母は紅茶をゆっくり飲みながら、姪の顔を眺めている。
 「補導されるの、これで4 回目なんだって?」レナが食べ終わると、叔母はさりげない口調で言った。「高校も辞めちゃって」
 「あんな高校、どうだっていいよ。バカしかいないし」
 「まあ、いいけどさ。レナの人生なんだし。でも、お母さん、心配してるよ」
 レナは顔を背けた。心労で入院している母親のことを思うと胸が痛んだ。
 「そう」
 「どこに泊まってるの?」
 「友だち」
 性別を付けなかったのは、まだ幾ばくかの良心が残っていたからだろうか。
 「ねえ、レナ」叔母は手を伸ばして、レナの右手を包み込んだ。「自分をもっと大切にしろとか、そんな月並みなことを言うつもりはないけどさ。こんな生活してて楽しいの?」
 突き放したような言い方だが、そこに姪への愛情がこもっていることはわかった。不意に涙をこぼしそうになり、それを見られないようにレナは立ち上がった。
 「もう帰る。来てくれてありがと」
 「わかった。身体を大事にね。いつでも連絡をちょうだい。待ってるから」
 レナは背を向けてファミレスを出た。1人で。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 レナは道路の反対側から、加藤文具店を見つめた。記憶にある限り、正月を除いていつでも開店していたはずだが、今はシャッターが下りている。シャッターに「閉店しました」の紙が貼ってあるがかろうじて見える。
 レナの件が広まった後、この文具店は誹謗中傷の波に襲われたと聞いた。無言電話や投書に加えて、投石などの被害もあったらしい。店主の家族は実家に逃れ、今では店主が1人で住んでいる。
 立ち去ろうとしたとき、通りの向こうから1 人の男性が歩いてくるのに気付いた。禿げ上がった頭で、あの店主だとわかった。薄汚れたジャージ姿で、手にスーパーの袋を提げている。
 じっと見つめていると、店主がこちらに気付いたのがわかった。最初は訝しげな表情だったが、立っているのが誰なのかわかったらしく、その顔が強張った。髪の色も服装も、目つきさえも最後に会ったときから大きく違っているのに。
 店主は怯えたように立ち尽くし、レナを見ていた。何か言おうとするように、口が開いたものの、言葉は出てこない。レナの方もあえて言葉をかけようとは思わなかった。この店主が悪人でないことはわかっているし、すでに十分すぎる罰を受けていることもわかっている。それでも、許しを与えてやる気にはなれなかった。
 やがて店主は小さく頭を下げると、のろのろと歩き始め、店の裏手の方に消えていった。レナはしばらく自分の運命を狂わせた場所を見つめた後、ゆっくりとその場を立ち去った。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 ワーニャ叔母さん。ごめんなさい、ずっと連絡しなくて。
 もう終わりにすることにするね。
 本当は会ってさよならを言いたかったけど、ワーニャ叔母さんの顔を見たら、泣いてしまいそうだったから。
 お母さんをよろしく。助けてあげて。私にはもうできないから。
 受験に失敗したぐらいで、と思うかもしれないけど、このままだと、あたしはずっと誰かを憎んだまま、恨んだままの人生を送ることになっちゃう気がして。そういうのって、性格的に無理なのよね。ワーニャ叔母さんならわかると思うけど。
 もっといろんなことを書きたいけど、やっぱり泣いちゃいそうだから、これぐらいにしておく。
 さよなら。

 レナ

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 私はゴーグルをむしり取り、激しく喘いだ。いつの間にか目から涙がこぼれている。
 白川さんが作ったイマージョンコンテンツは、以前に見た教材用とは比べものにならないほど、リアリティのあるものだった。没入している間、私は自分と沢渡レナの人格が統合しているような不安感に襲われていた。ゴーグルを取ったのは、その境界を再認識する必要があったからだ。
 細川くんも弓削さんも、すっかりコンテンツの世界に入り込んでいて、身動きひとつしない。私は涙を拭い、ゴーグルをかけ直すと、次のコンテンツを再生した。

(続)

 この物語はフィクションです。実在する団体名、個人とは一切関係ありません。また、特定の技術や製品の優位性などを主張するものではありません。本文中に登場する技術や製品は実在しないことがあります。

Comment(62)

コメント

ありい

いつも楽しく拝見しています。

誤字の指摘です。

> 「いやいや」教頭はへつらうような笑い声を上げた。「それには及びませんよ。沢渡さんだったか。君、本当のことを言ってるんだろね」
> 「教頭!」「何を言うんです」担任と教頭が同時に声を上げた。

担任と「学年主任」ですね。

> 担任はできる限りのサポートをすることを賢明に説明していたが、

賢明 → 懸命

この後の展開、楽しみにしています!

匿名

年をとったかな…

匿名

これはちょっときついね

通りすがり

初っ端がこれ。まだあと二話もあるんだよな。。。

VBA使い

>店主はスマートフォンを取り出し、どこかに電話をかけた

句点が抜けてます。

ワーニャ叔母さん=白川さん? って思ったが、川嶋さんが何も言ってないから、違うのかな?
それとも、そんなの気づかないくらい、沢渡レナになりきってたのかな。

あと2つのナラティブの主人公は、誰と誰なんだろう? 楽しみ。

匿名

>あまりシステムを盲進しないように
この場合「盲信」の方がふさわしいでしょうか。

user-key.

「ワーニャ叔母」視線で作ってるから、鏡でも覗かないかぎり、誰か解らないってこと?

匿名

このコンテンツの主役がもうこの世にいないなら、外から観たり聴いたり
した事実を元にして作ってるから、真実とは限らないけど、月曜の朝からすっごく辛いよ!

でも、真実がもっと酷いものだって可能性もあるんだよなー・・・

行き倒れ

ついに真相が語られる、か?

にしても、白川さんの健康が心配だ。
どのみち「プロジェクト」の行く末は
見届けたいに違いないから、
死にたくはないはず。

で、逮捕ないしは社内左遷で休養かな、、、
SE職に関しては間違いなく殉職、、、

匿名

月曜の朝から腸煮えくりかえるようなお話で…
残り2つのコンテンツも、キッツいパンチを楽しみにしてます。

kemi

なんかイマージョンコンテンツとかいうのだけ未来っぽくて現実味がないです、、
どうやって白川さんがこんなの作れたかも謎だし、違和感しかないなぁ

SQL

これは・・・。
 
弓削さんみたいな人はこれを見てどう思うんだろうか。
何も思わないのかなぁ。

コタエハイツモ

> 最終的に店主の早とちりだったことを話しても、その表情変わらなかった。

月曜朝からツラァ…でも読まずにはいられない。

aoi

これに似た話、実際にあったような

匿名


>否定しようと口を開きかけたが、興奮した喋っている店主は、とても話を聞いてくれそうにない。
興奮して喋っている店主は、でしょうか?

毎週楽しみにしています。

匿名

やはり関係者だったのか…

匿名

oh...

匿名

以前の話だと社会復帰を目指してなんやかんやしてるって書いてあった気がするけど、
本当は自殺しちゃってたってことなのかな

atlan

警察に状況説明の書類作って貰って必要になった都度見せる・・とかって出来ないのかなぁ・・・

匿名D

コンピューターはプログラムされた範囲で無謬であるが、人間は間違いを犯す、とか、
ネット死刑のタチの悪さとか、鉄板ネタですよね~。
それにしても、システムに人間が振り回されるとは悲しいし恐ろしい。
たらればはキリがないからいちいち書きませんが。


弓削は、どんな言い訳をするんでしょうね。
この作者のことだから、弓削が非を認めるようなことはないでしょうけど。


残り2つのは、ハッカー君と、担任の先生かな。

匿名D

>本当は自殺しちゃってたってことなのかな


駆け引きで下手な誇張をやるのはよくない手です。
それを逆手に取って、是非論に持ち込まれたりしますから。
自殺を図ったが死に損なって、現在は療養中というところじゃないかな。


>警察に状況説明の書類作って貰って必要になった都度見せる・・とかって出来ないのかなぁ・・・


判断するのは相手の高校ですからね。
たられば言っても仕方がないが、Q-LICとHSSJに問い合わせるた時に、
少なくとも中学校関係者も同席、文房具店店主、可能であれば警察も同席させるべきだった。
繰り返しになりますが、高校がそっぽを向けばそれまでです。

匿名

弓削さんのことも、弓削と呼ばれた男性は…みたいや表現だし、やっぱりワーニャおばさんは白川さんかな?

コメダ

未来ある若者の人生がめちゃめちゃに...本当に気の毒な話。
弓削はどんな思いで見ていたのか...。

残りの話は若宮さん(&白川さん?)絡みと、あと何だろう。
個人的に「関が原の戦い」は若宮さんっぽい。では「江戸城無血開場」は...?

のり&はる

レナ「彼氏さんと行ったら?」の彼氏さん=ハンバーガー屋を教えてくれたヒト?
出てくるんとちゃうかぁ?

のり&はる

連投申し訳なし。↑教えてあげたヒトでしたね。

foobar

>警察に状況説明の書類作って貰って必要になった都度見せる・・とかって出来ないのかなぁ・・・

おそらく、警察は民事不介入を盾に協力を拒んだと推測。こんな状況なら、出番になるのは警察ではなく弁護士ではないかと。

匿名

「システムの不具合で不幸になった人がいる」を、単なる設定として流してたけど、
当事者にしたら、こういうことだよね...
テストを真面目にしようと思った(小並感)

匿名

今回の話ほど極端じゃないにせよ、
AIの適用範囲が広がっていくとこうした事例も増えていくのかもね
「システムがこう言っているじゃないか!」とか言って

匿名

どんな企業が作ったシステムであれ、不具合の起きないシステムなんてありえないから、最終的に人間の手で操作してるんだよね。結局、システムを妄信した店主が一番悪い。

匿名D

アラートそのものも、システムが自動的に発信したもの。
店主が発信したんじゃない。
ちゃんと読みましょうよ。


登場人物の中で、教頭先生は明らかに丸め込まれてそうだね。

リーベルG

ありいさん、VBA使いさん、コタエハイツモさん、匿名さん、ご指摘ありがとうございます。


ゲーム屋

> どんな企業が作ったシステムであれ、不具合の起きないシステムなんてありえないから
ところが一部で不具合が起きると、不具合起こす奴が悪い勢が大勢を占めるんですな。
メインエンジニアが何度も確認して結果は同じだったにもかかわらず、自分の環境だけ不具合起きまくってクビになりましたw

匿名

導入先に夢膨らませた話吹聴して回ったんだろうな。死活問題に光明が見えりゃ、飛びつくのは無理もない
店主へのネットリンチだって矛先を逸らそうという何者かの意図があったかもしれんよ

…よもや次の話はそれかな…

テリー

"バトル"と"タトル"を間違えて捕まえちゃったんですね。
そうすると、白川さんはジルですね。
この後の、サムの活躍に期待!

匿名

場合によっては、「クラスの男子」のくだりを誰かがこっそり録画してて
それがきっかけで炎上・・・なんて未来も有り得たかもしれん
火種なんてあちこちにあるもんだ

匿名

弓削さんも教頭も、人でなしでなしですね。

やわなエンジニア

本来の開発作業をしつつVRゴーグルで見るようなイマーシブ(没入型)コンテンツをここまで作りこめるなんてどこまで化け物なんですか白川さん


・ルーカスフィルムさえ『スター・ウォーズ』エピソード1~6のデジタル3D化を当初「フィルムに映っているものをすべてモデリングし、CGで再現する」という方針で行おうとし、あまりのコストに断念している
・カメラが移動するシーンではかなり気を使わないと視聴者が映像酔いする
・VRコンテンツなら視点移動が自由だから、これがレナの視点だとしたら「レナが文房具屋を見つめた」ことが視聴者に伝わるだろうか


「再現ドラマを360度カメラで撮影する」なら簡単かもしれませんが、それを秘密裏にできるとは思えないし、実はアドベンチャーゲームみたいな1枚絵+テキストの画面が目の前に出てるだけだったりして……。(ただ、そこまで簡略化してもフルボイスならだれかに読み上げてもらわなければならないわけで、厄介さはあまり変わらない気が)

satrex

関ヶ原は、新美と永尾…かな

じぇいく

「私も何度も上に言っているですが」
口語としてはありえなくはないですが、「いるんです」「いるのです」ですかね。

匿名D

ビジョンはリソースをつぎ込めばクリアできるとして、
(リソースをどうやって確保するのかって? んなもん現場の努力と根性で♪)
モノローグとかどうやってるんでしょうね。
本当に登場人物の思考に引き込めるのなら、これは立派な洗脳(ry

匿名

まんまと足止めされ、映像に夢中で本部への連絡もしていない白川さん追跡隊。白川さん逃げ切れるか!?

foobar

これだけの VR コンテンツをどこから用意したかは、順当に行くなら白川がエースシステムのコネと権力で制作リソースを調達したって考えるべきかな。
(社内でも極秘プロジェクトという位置付けで)

もしくは、 Press Enter 世界のジョーカーこと高村ミスズあたりにコネがあったか。
白川も高村も同じく女傑属性持ちだし、仮に同席したらかなり意気投合するのでは。

匿名D

あれ、高村ミスズって、♀だったっけ?

通りすがりのエンジニア

>あれ、高村ミスズって、♀だったっけ?
「鼠と竜のゲーム(21) まっ白な嘘」に、
「主催した神代記者は、地味なスーツを着た中年女性を伴っていた。産業技術総合研究所の情報セキュリティ研究センターの、高村ミスズ研究員である。」とあります。
http://el.jibun.atmarkit.co.jp/pressenter/2013/02/21-b217.html

foobar

匿名D氏

そもそも「ミスズ」って名前自体が、日本語圏だと女性名と扱われるし、
それ以外に高村ミスズが女性だと分かる記載がいくつかある。

以下、 "高村ミスズ女史の事件簿 結婚詐欺篇 (1)" より抜粋。

> ...(前略) そうして完成したのが、「高村ミスズ女史の事件簿」です。
>
> タイトルは変更しましたが、「ベテランの男性研究員に扮した高村女史が、自宅から結婚詐欺事件を解決する」というストーリーはそのままいただきました。

全文は、以下リンク先を参照。
http://el.jibun.atmarkit.co.jp/pressenter/2013/04/2-9581.html

作者が前書きのメッセージ内で「高村女史」と言っているし、続く第 2 話でも、

> 私が性別を偽ってこの副業をしている一番大きな理由は、探偵まがいの仕事をするには、男性である方が信頼を得やすいためだ。あるイギリスの女流作家は探偵のことを「女には向かない職業」などと言っているぐらいだ。システム開発の世界でも、すぐに結婚して辞めてしまうとか、深夜残業ができないとか、デスマーチに立ち向かう体力がないとか、女性エンジニア=腰掛けエンジニアとして語られている。少なくとも、私がこの世界に足を踏み入れた時代はそうだった。

などの描写があるから、女性で間違いないかと。

# 「高村女史(高村ミスズ自身の性自認に問題が無いとは言っていない)」、「高村女史(作者は前書きで虚偽を書かないという約束はしていない)」みたいな読み方をしないなら、という但し書きは付く。

リーベルG

じぇいくさん、ありがとうございます。
「いるのです」ですね。

匿名

確認しないで思い込みで書き込む匿名D

匿名

ナラティブって書いてあるし、人物が動いたりの映像はないんではないかなーと初見で思いました
下手したら声すらなく、文章表示とサウンドだけなのかなと

映像云々どうやって作ったんだーってこだわるのは、どうかなぁ?

とか言っといて来週とか再来週に映像はこの人に頼んだ!
とか出てきたら、私の意見はめっちゃナンセンスですがw

匿名

あ、読み返してみると、リアリティがあるって書いてありますね!
失礼いたしました

白川さん、すごいな。執念かなw

匿名

システムを盲信というかなんというか
一人の女の子がシステムの不具合で学校にいけない、そんなことあっていいわけないって真剣に取り合う大人が一人もいなかったことが一番の問題な気がする…。
同じ親の立場で考えるにSNS拡散する(影響力のあるライターに頼む)とか、○○党系議員やメディアに持ち込むとか、そのくらいしないといけないときもあるんだろうなぁ。弱いものは泣き寝入りするしかないって現実にある。
あ、高村ミスズさんに持ち込めばよかったのか。

匿名D

そういえば、高村氏は性別を騙っているということだったか。


真剣に対処しようとする大人は、何人もいたと思いますよ。担任を始めとして。
それがなんで「一人もいなかった」になるのか。

nang

初コメです。

リーベルGさんの他作品も含め、大好きで何度も読んでいます。(業界外ですが)

無暗に煽らずに淡々と無情と悲劇を表現するスタイルはどの作家であっても個人的に好きですし
その作家の冷めた眼差しを感じるほど、書かれている事の裏も考えてみたくなるもの楽しみです。


「確認したんですか」
「確認?」

何だか今だからこそ起こっている(起こりつつある)事象のように思えて
大昔からある、愚衆(私自身もその一人)の姿を見せつけられているようで苦しいです。

匿名

匿名Dさん
担任は上に言うだけ&母親を宥めることしかせず、システムが使えなかろうととりあえず学校に来いと言うこともできたはずです。
結局、関わる大人がみな、自分の持つ権限の範囲でできること、やらないといけないことはやった、あとは結果を受け入れるのみ、という姿勢であったから、こういう結末をむかえてしまったのでしょう。現実でもよくあることです。
このお話だと、東海林さんなんかはいつもそれを軽々越えていってかっこいいですよね。

匿名D

>システムが使えなかろうととりあえず学校に来いと言うこともできたはずです。


私も、ゲストアカウントくらい用意しておけよ、と考えないでもないですよ。
しかし、現時点で、たられば言っても仕方がない。


>あとは結果を受け入れるのみ、という姿勢であったから


そして、Q-LICがいかに強力にシステムを支配していたか、
という前提が抜けています。
努力以前に、Q-LICがそっぽを向いたらそれまでなんですよ。


>現実でもよくあることです。


ご指摘のとおりです。
そして、社会というものは人間が回すもの。
哀しいことではありますが、
努力すれば、良い結果につながるというものでもないのです。
逆に、良い結果につながらなかったからと言って、
努力が足りなかったと糾弾するのも正しくないです。


今回は学生。
じゃ、次は、学生とシステムの板挟みになる立場。
個人的には、残りのナラティブに担任かそれに近い視点が含まれると思って、
楽しみにしています。
私の予想では、もうひとつはハッカー君。
セレモニーで披露する予定でしたから、若宮さんの出番はないだろうな。

Dora

最後はQ-LIC時代の開発センターが舞台かな?
若宮さんナラティブで。

匿名

すごく今更ですが...

誤:高校も止めちゃって
正:高校も辞めちゃって

でしょうか?

リーベルG

匿名さん、ありがとうございます。
辞めちゃって、ですね。

匿名

「抵抗感を感じた」
個人的には「抵抗を感じた」の方が自然な気がします。

リーベルG

匿名さん、ご指摘ありがとうございます。
「抵抗を感じた」ですね。

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