ハッカソン等のIT創発イベントを企画するための基礎知識

第10回 企画を社内と調整する

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 前回、公開イベントの開催には時間がかかることを書きました。その中で最も時間がかかるのが調整です。

 こういった企画が、たいていトップダウンから始まっています。部内で熟議を重ねた結果「イベントを開催することに決定した」という例はあまり聞きません。

 会社の中で、組織人が新しいことを始めるにあたっては各社それぞれの工夫をなさいます。今までやったことがあるものと同じだと言い張って始める、とか、誰がやっているのかわかりにくくして始める、などです。

何を調整するか

 ただのイベントなのに、何を調整しなければならないか。

  1. 予算を得ること:結構お金がかかります。
  2. 社名が出ること:社名を外に出すことについて、仕切っている部門がたいていあります。
  3. 新たな協業構築:今まで接点のない相手との付き合いや、付き合い方が発生することがあります。
  4. 新たな契約形態:知的財産権の取扱い、あるいは秘密保持契約が、既存の他社協業と異なる場合があります。
  5. 既存のプロジェクトと重複をしないか:他の部署、系列内の他社でも似たようなことを考えているかもしれません。

 そして、現行のITシステムや、IT構築ポリシーとどこかで対立することがあります。IT部門では中長期計画を立て、時間と手間をかけて承認を受けています。また、特命担当の方が思っているのとは異なる方向に投資が行われている、又は行われようと計画されていることがあります。IT部門の仕事に影響を与えることがあります。

外部の意見を聞きましょう

 お客様の中にはわたしたち支援業者と会話するより先に社内合意をまとめてしまわれる方がいらっしゃいます。しかし経験者の目から見ると参加者目線よりも社内事情を優先していることが少なくありません。

 意見が固まるのに時間がかかるので、社内調整を先に開始したという場合もありました。

 

「それだと参加者が集まりません。修正してください」と進言することになりますが、社内調整がやりなおしとなり、担当者はがっかりなさいます。支援業者の助言を聞いてから社内調整をすることをお勧めします。経験豊富な支援業者はアンチパターンにも熟知しています。

 
 また、イベントのトレンドは常に変わります。従来のIT企画で定番だった「他社さんの成功事例をそのまま実施して」というご要望がもしあれば断ります。特に同業他社のやり方を真似ても同じようなアイデアしか出てきません。それはスポンサーが望んでいないことです。
 よって毎回はじめてのことを試すことになります。支援業者としても、イベント企画パック一山いくらで提案できればとても楽ですが、毎回イベントのやり方を改善し、毎回都度見積もりになるのがつらいところです。
 

 そして毎回新しいことを提案する度に、他社に前例がない企画における予算請求の仕方を助言しなければなりませんし、お客様社内調整が長引けば支援業者側の工数もかさみます。
 お客様の社内事情がわからなくても、最初に全体スケジュールを立てる必要があります。支援業者がお客様から助言を求められた場合、既存システムを運用きている業者に対してお客様のプロセスを軽くヒアリングし、同業種の事例を踏まえて提案します。ただ一番大事なのは担当者の決裁権限や、スポンサーやエグゼクティブとの関係です。

 

 どんなにプロセスが複雑でも担当役員が「1箇月で企画をまとめよ、抵抗する部署があれば闘う」と言ってくだされば実現できてしまうものです。

 
 さて、事務局が味わう社内調整の苦しみはその企業が変革を行うために必要なプロセスです。1回成功すれば慣れますから成果は企業の貴重なノウハウになります。
 次回以降はどのような作業があるのか、より分解して説明します。

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