ハッカソン等のIT創発イベントを企画するための基礎知識

第04回 企業が目指すxTechのあり方

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 第1〜2回で述べたITビジネスコンテスト又はビジネス向けハッカソンの中心は「FinTech」に刺激を受けた金融機関でした。FinTechの解説はすでに多くの方が試みていますので、詳細はWebや書店で文献を見つけて下さい。FinTechはFinance(金融)とTechnology(IT技術)との掛け合わせですが、もう少しこれについてふれます。

FinTech企業自体になるわけではない

 FinTechを通じてイノベーションを実践する「FinTech企業」という言葉がありますが、ハッカソンの主催社は通常FinTech企業そのものではありません。FinTech企業はハッカソンの参加者にはなり得ます。既存金融機関は、社内に特命担当であるFinTech担当者を抱え、FinTechを研究するようになりましたが、FinTech企業とは呼ばないことが多いようです。
 
 FinTech企業は破壊者になる可能性を秘めていますが、これまでの金融機関はイノベーションを実践する「イノベーター」止まりで、今まで会ったお客様には破壊者を目指すという方はいらっしゃいませんでした。
 FinTechの他業界版として、HealthTech、EduTechなどがあり、総称としてxTech(クロス・テック)と本連載では呼ぶことにします。金融以外のどこからの業界では既存企業が破壊者を目指す可能性は否定しきれません。
 しかし、前回挙げたように破壊者として認められるためには様々な要件を満たす必要があります。
 
 長い歴史の中で時流に乗って業種業態を自ら変えてきた企業は数多く存在します。しかし、その変革まで担わされるほどの予算も権限も給料ももらっていないというのであれば、まずは「既存ビジネス」「新しいアイデア」そして「普通のIT」の掛け合わせから始めてみることを直近の目標にすることがお勧めです。
 そもそもしがらみあって、サービス品質を下げられない既存企業が破壊者になるには多くの利害関係者の同意が必要です。でも、ビジネスとITの掛け合わせは特に新しいことではありませんので比較的理解を得られやすいでしょう。

従来のビジネスを生かす

 破壊者は既存業界に突然参入して来ますが、既存の業務を持っている企業がxTechに挑戦する場合、一般的には既存業務の信用やイメージを壊さないことが求められます。
 破壊者は場合によっては従来の法令が想定していないようなサービスを展開することがありますが、これまでのお客様から不信を買うようなビジネスをすることは経営者や、従来の稼ぎ頭である部門の方々からは許されないでしょう。
 
 xTechのビジネスを始める場合、何をするか考え始めるのもいいですが、何をするか一緒に考えてくれる人を探しましょう。その際は、既存業務で培って来た信用や知名度も役に立ちます。
 もしxTechに取り組まなさそうなイメージを持たれているとしたら、意外性をアピールしましょう。
 
 xTechに取り組んでいない企業にも内部の人には気づかない貴重な資産が眠っています。信用も無形の資産ですが、それだけではありません。例えば、スタートアップの方に伺うと、ある企業が持っているデータをぜひ使いたい、という声をよく聞きます。でも同時に「そんなデータは使わせてもらえないだろうな」とも思っています。
 もしそういうことを考えている人たちと巡り会えたら、おもしろいアイデアが出るのではないでしょうか。

リスクは小さく

 業務拡張や多角化のために、企業を買収したり合併したりすることも考えられます。ただしリスクが大きいですし、大きな変革には痛みも伴うため、何度もトライすることができません。
 
 一方、xTechでしたら小さく始めることもできますし、その場合は、もし失敗に終わっても撤退のダメージが小さくてすみます。
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