プロジェクト「今年こそは」

2013/02/04 13:00:00

 さて、月が変わって、いよいよ2013年も残すところあと11ヶ月となった。まさに光陰矢の如し、といったところだが皆様はいかがお過ごしだろう。そろそろ年の初めに決意した今年の目標も忘却曲線の彼方へと飛んで行ってしまったのではないだろうか?

◆母さん、僕のあの決意どうしたでしょうね?

 毎年毎年、「今年こそは!」と思ったことをやり遂げられる人はどれだけいるのだろう。そもそも年初の気持ちを、年末になっても覚えている人がどれだけいるか。

 思いは思っているだけでは前に進まない。行動が伴わなければ。しかし、やみくもに行動したからといって、前に進めるとは限らない。計画が伴わなければ。

 そして何事も計画通りにはいかないものだ。敷かれたレールの上を走るのはつまらない、などというヒトもいるけれど、レールの上を走っている電車にだって事故は発生するのだ。

 計画し、行動し、確認し、調整していかなければすぐに思いは忘却の彼方へと去ってしまう。これは家でも職場でも同じことだ。

◆課長、僕のあのタスクどうしたでしょうね?

 もしも仕事上のチームメンバーが、毎年「今年こそは!」を繰り返している人ばかりだとしたら、そのプロジェクトはかなりヤバいのではないだろうか。

 たくさんのタスクやマイルストーンが忘却の彼方へと飛んで行く。考えただけでもゾッとする。しかしよくよく思い返して見たら、それが日常茶飯事で、職場で繰り返し見られる光景だと気がついて、余計にゾッとするヒトもいるに違いない。

◆仕事のスイッチなんて働きマンしか持っていない

 プライベートの目標が進まないのを「仕事が忙しくてなかなかねぇ。。。」という人は、仕事が進まないときにも「急ぎの仕事が入っちゃっってさぁ。。。」などといいがちだ。オフィスのデスクが整理整頓されているひとは、自宅のデスクも綺麗だろうし、逆もまた真だろう。

 仕事とかプライベートとかは関係なく、その人はそういう人なのだ。仕事のスイッチが入ると別人になる、なんて働きマン的なヒトはそうそういない。

◆案件は待っていても動かない

 そんなわけで結局のところ、毎年我々は「今年こそは!」という漠然とした案件を抱えて一年をスタートするわけだが、その案件をしっかりとプロジェクトとしてスタートさせられない人も多い。

 そして年の終わりになって、頭の中の未処理のタスクトレイの一番下から、「今年こそは!」と書かれたメモを発見することになる。これが年末の風物詩のひとつとして定着している人もいるのではないだろうか。

◆そしてマーチがはじまる

 仕事なら納期があるのでデスマーチになるが、プライベートでは納期を意識することはあまりない。するとどうなるか。いつまで経っても終わらない、死ぬまで終わらない「デスまでマーチ」がはじまるのだ。

 このエンドレスなマーチを止めるにはどうすればいいのだろうか?

 まぁ、すでに答えは上の方で書いてしまっているのだが。「計画し、行動し、確認し、調整していかなければすぐに思いは忘却の彼方へと去ってしまう。」と。

 結局のところ、モノゴトはPDCAで回していかないと進まないという話だ。しかし考えてみたらこの「今年こそは」プロジェクトは自分の管理能力を高める絶好の素材ではないだろうか。思いを実現できる上にそんなオマケまで付いて来るのだ。一粒で二度おいしいとはまさにこのことだ。

 はじめに私は「あと11ヶ月しかない。」といった。しかし大丈夫。もしもあなたが去年までと違って計画し、行動し、確認し、調整をして進めたならば、11ヶ月もあればかなり多くのことができるのだから。

 さぁ、今年こそは、年末に凱旋マーチを高らかに鳴り響かせよう。まずはタスクを洗いだすところからはじめようか。

週末プチ・スマホ断ち

2012/11/27 17:00:00

 土曜の朝、iPhoneが水没した。ちょうど1泊2日の箱根行きの途中でのことだったので、そのまま週末まるまるスマホ断ち、SNS断ちをすることになった。今回はそのとき感じたことを書いてみよう。

■何が私を縛っているのか

 私がまず痛感したのは、自分がどれだけ時間に縛られているのか、ということだった。時間を確認するために、私はどれだけ頻繁にスマホをチェックしていることか(私は携帯を持つようになってから腕時計をしなくなった)。

 時間を気にするのは、予定が決まっているからだ。

 「9時から客先で打ち合わせだ。ということは、7時の電車に乗らなければならないな。そのためには遅くとも8時45分までには家を出なければならないってことか。」

 「今日の待ち合わせは10時半だ。そろそろ行かないと間に合わないぞ。」

 このように、我々はさまざまな予定を立てて、それを消化するために走り回っている。では、この状態から解放されたければ、予定を立てない生活をすればいいのだろうか?

■予定を立てないとどうなるか

 事前に予定を立てないと、リアルタイムで刻々と変化する状況に的確に対応する必要がある。そのためには、判断材料となる膨大な情報の収集が不可欠となる。では、どうすればいいのだろうか。

 いやいや、心配ご無用。ここに最適なツールがある。スマホとSNSアプリだ。

 「いまどこ?」

 「何してる?」

 「これからヒマ?」

 友達のタイムラインを見れば、相手の大体の状況がわかる。これでリアルタイムに調整し合って、めでたく仕事帰りに仲間と街に繰り出せるというものだ。

■綿密な計画は情報の流量を低減するか?

 予定を立てれば時間に縛られ、予定を立てなければ情報に縛られる。いずれにしても、縛られる運命なのか。ひょっとして、私は縛られるのが好きなM体質ということなのかも知れない。

 まてよ。予定を立てても時間に縛られず、予定を立てなければどこまでも暴走するラテン系のノリに、私が激しく共感し憧れを感じるのは、その裏返しということなのだろうか?しばらくはラテンのノリで生活してみるか?

 いやいや、そういうオチではない。私が言いたいのは、予定をしっかりと立てていれば、時間にさえ気を付けていれば大抵の場合、物事を滞りなく進めることができるが、予定が大雑把だと調整のために必要な情報量が増大し、そのためにリアルタイムでの状況をトレースしやすいスマホ&SNSによるコミュニケーション量が増加するのではないだろうか、ということだ。

 こういうことを考えていくと、色々とアイデアも湧いて来るではないか。

■プチ・スマホ断ちのすすめ

 巷ではダイエットや健康のために「プチ断食」というものが流行っているらしい。スマホ断ちやSNS断ちも、いきなり1ヶ月とか言い出すと敷居が高いので、まずは週末のプチ・スマホ/SNS断ちをやってみるといい。

 きっと、スマホやSNSとの関わり方や度合いによって、それを2日断った際に感じるものは人それぞれで違うだろう。私がラテンのノリに救いを見出したことに失笑する人も多いだろう。しかしそれは当然のことだ。答えは本人の中にしかない。

 だから、まずはやって、感じて見ることだ。必ず、新たな発見ができるに違いない。

知的エンジニアライフの方法 (4)伝え方

2012/03/29 17:00:00

■あなたは普通ですか?

 学生時代、バイト先の仲間内で「異常か?」「普通だ!」という掛け合いが流行ったことがある。これを翻訳すると、「おまえ、アタマおかしいんじゃね?」「んなこたねえよ!」というニュアンスになる。「異常か?」は、相手に対して、常軌を逸した言動をしていることを咎める言葉だ。それに対して「普通だ!」は、自分が異常でないことを主張しつつ、言外には「お前の方こそおかしいんじゃないのか?」という気持ちを込めている。

 このようなシチュエーションは学生時代のバイト先だけの話ではなく、日常茶飯事だ。皆さんだって、口にするしないの違いはあっても、1日に1回くらいは「コイツ異常だ!」とか「普通こうだろ?」とか叫んでいるはずだ。叫んでいないとしたら、あなたはよほど幸せな人生を歩んでいるに違いない。

■普通はユニーク

 「皆さん」というのは、1人の例外もなく全員という意味だ。つまり全人類が、自分は普通で相手が異常だと考えているということになる。どうやら「普通」は人の数だけ存在するらしい。

 にもかかわらず、だ。

 なぜかわれわれは仕事を頼むときにはそのことを忘れてしまう。相手が自分と同じ普通の人間だと思ってしまう。そして、あとになって仕事の結果をみて、相手の異常さを思い出すのだ。逆にいうと、仕事を受ける側も自分自身の普通な感覚に従って解釈し、作業を行う。それなのに、なぜかそれが評価されないばかりか、口汚く罵られることすらある。

 では、自分の普通がユニークだということを忘れてしまった人の伝え方について、いくつか例を見てみよう。

■その伝え方は普通じゃない

 まず、口頭だけで作業を頼むことを考えてみよう。これは何のエビデンスも残らないので、最悪のパターンだ。指示された側がメモを取ったにしても、指示を出す側の言い間違いに気づくことはできない。単純なルーチンワークを経験者に依頼するなら口頭だけでも十分かもしれないが、それ以外では最も避けるべき方法だろう。

 メールで指示や依頼をすることも多いと思う。しかし、メールを投げただけで作業を頼んだ気になっているとしたら、それは大間違いだ。ある意味これは口頭だけより性質が悪い。口頭なら、相手も確認したり復唱したりするし、表情などから理解度を推し量ることもできるだろう。しかしメールの場合には、それができない。特に単純な作業の場合に危険度は高まる。なぜなら、単純であるがゆえに依頼された方は確認もせずに自分の解釈で突っ走りやすいからだ。

 文字ばかりで埋め尽くされた分厚いドキュメントも危険だ。長い文章は、本当は必要なのにそこに書かれなかったことを隠してしまいがちだし、読む側にしてみれば、自分に関係のあるところだけしか確認せず、全体の整合性まで気にしないで済ませてしまいがちとなる。書いた側にしてみれば、ドキュメントは厚ければ厚いほど言葉を尽くして説明しているように錯覚してしまうわけだが、それは作成者の「普通」を前提としたものでしかない。

■自分の「普通」の異常さを自覚しよう

 「好奇心駆動」なライフスタイルを楽しんでいると、仕事だけではなく、他のエンジニアとの交流の機会も多くなる。チームを組んで、手分けして新しい技術の調査をすることもあるだろう。勉強会でお互いの専門分野の知識を情報交換し合うこともあるだろう。そんな中で、ひょっとしたら新しいサービスを立ち上げたり、アプリを作ったりすることになるかもしれない。

 そんなとき、相手になにかを伝えようとしたときに、自分の「普通」が如何に普通でないかを自覚することができてさえいれば、正しい伝え方を心がけることができるだろう。

 つまり、伝える側は、正しく伝わったかどうかを必ずフォローアップし続けること。伝えられた側は、自分の解釈をフィードバックし続けること。

 普通すぎる結論だが、異常な意見ではないはずだ。

知的エンジニアライフの方法 (3)食べ方

2012/03/15 17:15:00

■あなたは何でできている?

 黒木メイサは、ちょっとだけアロエでできているらしい。人間の細胞が入れ替わるスピードは、部位によって差はあるものの、1カ月でかなりの部分がチェンジしているという。少なくとも皮膚は、1カ月ですべて入れ替わる。そう考えると、われわれの身体は、だいたい直近1カ月に食べたものでできており、黒木メイサがアロエを常食しているのなら、あのCMもあながちウソとは言えないわけだ。

 さて、今回は食べ方がテーマだ。といってもテーブルマナーの話ではない。皆さんは、どのような食生活を送っておられるだろうか。

 例えば10年以上前のわたしは、それはもうひどいものだった。その頃のわたしは、30%はバーガーセット、30%はコンビニ弁当、30%は牛丼、残りの10%は缶コーヒーとスナック菓子でできていた。デフォルメはしてあるものの、当時の食生活の特徴はつかんでいる思う。バーガーセットの比率が50%を超えていた時もあったかもしれない。いずれにせよ、何とも冴えない食生活だったと、われながらあきれてしまう。

 食は健康に直結する。健康は知的エンジニアライフを支える基礎の基礎だ。というわけで、エンジニアとしてどう食べるべきかを探っていこう。

■エンジニアはエコな職業だ

 まず、食べる量を考えてみる。日本医師会のサイトに、身長を入力すると適正体重と1日に必要なカロリーを計算してくれるページがある。ここをみると、職業によって必要なカロリーには大きな差があることが分かる。

 「からだは資本」とは言うものの、エンジニアは基本的に頭脳労働者だ。従って肉体労働者と同じものを同じだけ食べていたら、確実にメタボ一直線である。定食屋のメニューやコンビニの弁当も、もう少しその辺りに配慮していただきたいものだ。カロリーを表記するより「エンジニア弁当」とか「エンジニア定食」としてくれた方がよっぽど分かりやすい。そういえば「海軍カレー」なんてものがあったが、あれはやはり軍人向けのカロリーたっぷりなメニューなのだろう(そんなことはないか)。

 まぁ、この適正体重という指標が唯一絶対のものではなく、いろいろな数値から総合的に判断しなければならないのは当然のことではある。だが、とにかくわれわれエンジニアは、消費カロリーが少ないエコロジーでエコノミーな職業だといえるわけだ。

■われわれはガソリンを消費するために走るのか?

 さて、それでは振り返って、皆さんの食事のボリュームはいかがだろうか。実は、わたしは数年前まで年々体重が増え続けて、一時は75キロを超えていた。特に大食いしていたわけではない。大盛りとか特盛とかではなく、普通に出されるものをおかわりもしないが、残しもせずに食べていただけだ。バーガーとコンビニ弁当と牛丼の日々を反省して、栄養のバランスを考えた食事を心がけるようにしてからというもの、体重は増える一方となったのだ。どうもこの国の一般的・標準的な量のメニューは、エンジニア向けではないようだ。

 75キロを超えたときに、さすがにこれはヤバいと感じて、一日の食事の中で一番ボリュームがあった夕食の量を減らしたところ、2カ月で8キロほど体重が減った。家族からは栄養が足りるのかとかバランスは大丈夫かとか、いろいろと言われたが、体調は明らかに改善した。それまでのわたしは、春夏秋冬、季節の変わり目には必ずひどい風邪を引いて医者に通っていたのだが、それがほとんどなくなったのだ。

 ところで、お腹が空かないなら、外で運動して来いという人がいる。しかし、それは少しおかしくないだろうか。食べるためにお腹を空かせる必要などあるのか。まずお腹が空いて、それから食べるというのが自然な流れではないか。正午に給油するからと言って、午前中に意味もなく車を走らせてガソリンを消費する人などいないだろう。われわれは燃費のいい職種なのだ。わざわざ過剰に消費して燃費を悪くしなくたっていいではないか。

 もちろん、運動を否定するわけではない。前回も話題にしたように、エンジニアは一日中座っていることが多いため、運動不足になりがちなのは確かだ。だから適度な運動は必要だろう。しかし、食事の時間になってお腹が空いていないのなら、それは食べ過ぎの証拠だ。まず、食べる量を減らしてみるべきだろう。

■眠くならないために

 食べ過ぎにはもう1つ問題がある。特に昼食後に多いことだが、眠くなるという奴だ。これはエンジニアの生産性を大きく左右する重要な問題だろう。

 仕事中に眠くなる原因はいろいろあるが、昼食後の眠気は、大抵は血糖値の変化によって引き起こされると考えていい。炭水化物や脂質の摂取によって血糖値が上がり、休息ホルモンと呼ばれるインスリンが分泌されて眠気を感じるわけだ。

 ではどうすればいいかというと、日本糖尿病学会の機関誌「糖尿病」2010年2月号に掲載された論文で一躍話題になった、食べる順番で血糖値の上昇を抑えるのが第一歩となるだろう。TVでも紹介されていたのでご存じの方も多いだろう。つまり、まず野菜を食べて、炭水化物は最後に食べるというやつだ。これはダイエット効果もあるようなので、試して損はないだろう。

 ただし、女性の場合はダイエットなどで炭水化物を控えすぎていると、逆に血糖値が下がって眠気を感じる場合もあるので、注意が必要だ。その場合は、とにかくしっかり食べることだ。

■いつ食べるか、何を食べるかは身体に聞け!

 さぁ、ここまで食べる量についていろいろと見てきた。われわれエンジニアは燃費のいい職種であることが分かった。では、いつ何を食べればいいのだろうか。

 わたしはその点に関しては「好きにすればいい」と思っている。わたしが夕食の量を減らした際には、夕食以外はまったくそれまで通りだった。朝も昼も、いつも好きなものを食べていたし、その中には甘いものやカップ麺など、あまり健康に良いとは思えないものも多かった。にもかかわらず、体重は減ったし体調は良くなったし、風邪も引かなくなった。

 結局、お腹が空いたときに頭に浮かんだ食べ物が、たぶんその時自分の身体が欲しがっているものなのだ。だから栄養のバランスなどあまり気にせずに、食べたいものを食べればいい。食べ過ぎにさえ注意すれば。

知的エンジニアライフの方法 (2)座り方

2012/03/06 14:00:00

■エンジニアは人生の大半を座って過ごす

 ITエンジニアに限ったことではないが、一般的にホワイトカラーは1日の大半を座って過ごす。肩や首の凝りは慢性化するし、腰痛にも悩まされる。いうまでもなく、長時間座り続けることがこれらの原因の少なくとも1つであることは、ほぼ間違いないだろう。

 そう考えると、われわれは座り方にもっと目を向けてもいいはずだ。つまり、知的エンジニアライフの第1歩は、座り方に気を使うことなのだ。

■人生いろいろ、座り方いろいろ

 少し職場を見渡してみよう。世の中にはさまざまな座り方があるものだと感心してしまう。足の組み方1つとっても、多様な流派があるようだ。片足であぐらをかくような、まるで広隆寺の弥勒菩薩像のような座り方をしている人も見かける。思わず、火のついたプロジェクトをお救いくださいと拝みたくなるではないか。

 腰かける位置もいろいろで、浅く掛ける人もいれば、深く掛ける人もいる。イスからずり落ちそうなほど浅く掛けて、向かいの席からはまったく姿が見えないのに、キーボードを叩く音だけが聞こえるなどという人もいる。

 そうやって長時間座って疲れるのを、イスのせいにする人が多いが、それは間違いだ。いや、確かにそういう面もあるのだが、しかし、イスだけのせいにできないことは、職場の同僚たちの座り方を観察すればすぐに気が付くはずだ。あなた自身の座り方も、ひょっとしたらひどいものかもしれない。

■重力を意識しよう

 皆さんは自分の頭の重さをご存じだろうか。個人差はあるだろうが3~4kg、あるいは5~6kgともいわれている。また、腕の重さも片方3~4kg以上はあるという。3kgにしたって結構な重さだ。それだけの重さのものを、首や肩で支えているのだ。そして、上半身は全体重の60%の重さを占めているとか。65kgの人なら39kgを腰で支えていることになる。

 手で3kgのダンベルを持つことを考えてみよう。腕を肩から斜め上に伸ばした状態で3kgのダンベルを持ち続けると、どうなるだろう。わたしなら、すぐに筋肉がプルプルといい始める。しかし、前かがみでノートPCに向かっている時、首はまさしくそれをやっている。そしてキーボードを叩いているとき、もしも肘や手首が空中に浮いた状態なら、肩は左右それぞれ3kgの重さに耐え続けているというわけだ。ムリな姿勢で座っているときの腰の負担を考えると、気が遠くなるではないか……。

■ラクなポジションを見つける

 ヨガの根本経典といわれている『ヨーガスートラ』によると、「座法(アーサナ)は安定していて、快適なものでなくてはならない」と記されている。もともとヨガは座って瞑想することが中心だったらしいので、長時間座って瞑想を続けられるように、安定して快適な状態が求められたのだろう。

 達人は、悟りの境地に到達するために、まず快適な座り方を求めているのだ。われわれも、座り方が定まって安定して快適なものになってこそ、知的エンジニアライフをエンジョイできるようになるといっても過言ではない。

 しかし、王侯貴族でもないわれわれがオフィスのイスの座り心地に文句を言ったところで、召使がアーロンチェアを買って来てくれたり、座り心地の調整をしてくれることはあり得ない。そんなことより、自分の頭や腕や上半身の重さを意識して、それを少しでもラクに支えられるポジションを自分で探してみる方がよっぽど生産的だ。

■バランスを感じよう

 重いものを持つとき、最もラクなのはバランスが取れた位置でそれを支えている状態だ。例えば、バケツを持つなら手を前に突き出して地面と水平にしているよりも、真下に下ろしている方がラクに決まっている。バランスが取れている時には、そのポジションを維持するのにあまり力は必要としない。

 バランスが取れているかどうか分からないときには、肩の力を抜いてみるといい。脱力してみてはじめて、自分が今までどれだけ力を入れて緊張していたかに気づくし、バランスが取れていなければ力を抜くこと自体ができない。モニターの端にでも「脱力!」と書いた付箋を貼っておいて、それが目に入ったら脱力するようにしてみるのもいいだろう。
 また、アームレストやイス用のクッションなど、ちょっとしたサポートによって驚くほど効果を発揮するものもあるので、それらも検討してみるといい。

■1つのポジションにこだわらない

 最後に1つ。快適なポジションを見つけたからといって、それにこだわるのは良くない。じっとしていると、どうしても身体が固まってしまってコリが生じる。

 目が疲れるのも、長時間モニターを見続けていると目のピントを合わせる毛様筋という筋肉が緊張したまま固まってしまうからだ。「たまには窓の外を眺めろ」と言われるのは、この毛様筋を動かしてコリをほぐすのが狙いなのだ。

 同様に、肩や首や腰を守るためにも、バランスに気をつけながら、適度にポジションを変えて筋肉が固まるのを防ぐことが肝心だ。皆さんも、ぜひとも自分にとって快適な座り方を追究して欲しい。

知的エンジニアライフの方法 (1)生き方

2012/02/24 11:00:00

■知的エンジニアライフとは?

 中学生の頃、父親の書棚から「知的生活の方法」という新書版の本を借りて読んだことがある。そしてその本は、その後のわたしの行動規範に大きな影響を及ぼすことになった。

 「知的生活」というと、研究に明け暮れる学者や思索に没入する哲学者などを思い浮かべてしまいがちだが、この本のテーマはもっと親しみやすいもので、「知的好奇心を満たすことを最優先させるライフスタイル」というようなものだった。

 わたしたちエンジニアにとって、これはなんとも魅惑的な響きではないか!

 そこで、わたしはエンジニアにとっての知的生活、つまり「知的エンジニアライフの方法」をテーマに書いてみようと思い立った。いつもの通り思いつきのままに書くので、どのくらいの頻度で書いて、全体がどのくらいのボリュームになるかは自分でも見当もつかないが、気長にお付き合いいただければありがたい。

■それは「好奇心駆動」なライフスタイル

 さて、わたしが「知的エンジニアライフ」という時、それは知的好奇心を満たすことにもっとも重きを置くエンジニアのライフスタイルということになるわけだが、これをもう少しエンジニア的な表現で言い直してみよう。

 「好奇心駆動」というのはどうだろう。Curiosity-Driven。好奇心はネコを殺すそうだが、エンジニアは好奇心を失うと死んでしまう生き物だ。

 死んでしまうというのは大げさだが、少なくともエンジニアとしての輝きを失うのは確かだ。そんな例をわたしはいくつも見て来た。そういう意味では、「好奇心駆動」はエンジニアにとってもっとも重要な行動規範の1つと言えるだろう。

 わたし自身は、その行動規範を中学生の頃に、ITとはまったく関係のない書籍を読むことで得た。思えば、わたしのエンジニア的な素養の出発点は、そこだったのかもしれない。

■「働く」のではなく「生きる」

 ところで、ここでわたしが「生活」や「ライフ」という言葉を使っていることに注意して欲しい。エンジニアとしてどう働くかではなく、どう生きるか。それが問題なのだ。

 職業を選ぶとき、多くの人はそれを単に、収入を得る手段を選択しているだけだと考える。しかし、それは非常にもったいない話だ。本当は、それは自分の人生を選択していると考えるべきなのだ。

 学校を出てから定年退職まで約40年もの年月。24時間を仕事とプライベートと睡眠を三等分したとして、月曜から金曜までの平日の1/3もの時間を収入のためと割り切って過ごすのは、あまりにも不毛ではないか。実際には、残業や通勤時間も含めると1/3以上になるだろう。

 仕事の時間と眠る時間は自分のコントロールが効かないものとしてあきらめてしまったら、残りの時間は、たった1/3だ。それとも、楽しみは定年退職後の第2の人生までお預けということか。それにしたって犠牲にするものが大きすぎるのではないか。

■エンジニア的に生きる

 何よりも、単なる収入の手段と割り切って働いていては、そこからプロ意識というものは生まれて来ない。結局それは、自分の時間を売って金に換えているだけなのだ。

 それに対して、プロあるいは職人と呼ばれる人たちは、自分の人生をスキルの向上に捧げている。すべての時間はそのために使われる。そうやって手に入れたスキルが生活の糧となるのだ。

 とは言え、本当に100%の人生を自分が選んだ職業に捧げられる人はあまりいないだろう。わたしだって、そんな完璧な状態からは程遠い。しかしこのIT業界は、わたしの知的好奇心を刺激するものが次から次へと現れて、わたしを楽しませてくれる。ここが重要なところだ。

 ストイックに道を追究するのは難しいが、楽しむことなら簡単にできる。せっかくエンジニアを職業に選んだのであれば、エンジニアとしての人生を少しでも楽しく過ごしたいではないか。

 では、わたしたちエンジニアがエンジニアとしての生活を楽しむためには、いったいどうすればいいのだろうか。エンジニアとして起床し、エンジニアとして食事をし、エンジニアとして歩き、エンジニアとして電車に乗る。生活の中に、エンジニア的なエッセンスを取り入れるには、どうすればいいのか。

 次回からは、そういったエンジニア的な生き方について、具体的に考えてみよう。

「失敗のもと」を探ってみよう

2011/11/30 15:15:00

■緊張は失敗のもと

 スポーツにしろ、楽器の演奏にしろ、プレゼンにしろ、初めてのデートにしろ、緊張してガチガチになると、ロクなことは起こらない。

 試合ではミスを連発して負けるし、演奏では音程を外すし、プレゼンでは話す内容を忘れ、デートでは相手の名前を間違えて修羅場を呼ぶことになる。

■焦りは失敗のもと

 時間がないときや急いでいるときにも、やはりロクなことは起こらない。

 忘れ物をして家に取りに帰って結局電車に乗り遅れたり、駅の自動改札でSuicaをタッチミスしてゲートが閉まったりする。プログラマなら、バグを見つけて慌ててソースコードを修正すると、別のバグを埋め込んだりソースをデグレードさせたりしてしまう。

■怒りは失敗のもと

 さらに、頭に血がのぼったときも、同じくロクなことはおこらない。

 喧嘩中に怒りにまかせて、ついついいわなくていいヒトコトを口走ってしまって、それが相手にとっての「会心の一撃」だったりすると、友達なら絶交だし恋人ならその場でお別れだ。上司に殴りかれば降格や解雇が待っている。

■熱中は失敗のもと

 熱中するのは基本的にはいいことだが、限度というものもある。限度を超えると、そこにはやはり罠が待っているのだ。

 恋はヒトを盲目にするし、趣味に熱中し過ぎて本業がおろそかになったり、カラオケで盛り上がって終電を逃したりもする。エンジニアの場合、技術ばかりに目が行ってしまって顧客をないがしろにするような状況だ。

■成功は失敗のもと

 「おいおい、お前はどうしてそうやってすべてを否定したがるんだ?成功まで否定するつもりか?じゃぁ成功するなっていいたいの?」という声が聞こえてきそうだが、そうではない。

 過去の成功体験にしがみついて、そこから先に進めなくなるのが危険だといっているだけだ。昨日成功したやり方が明日も通用するという保証はどこにもない。しかし、過去の成功体験を捨て去るのはとても難しいものだ。

■心は、どこにある?

 さて、ここまでいろいろと書いてきたが、上に挙げた話に共通するものはなんだろうか。

 ひとことでいうと「心ここに在らず」だ。

 過去とか未来とか、今やるべきことと関係ないこととか。要するに、失敗は心を「今ここ」以外のどこかに飛ばしているときにやってくる。

 だから我々は、常に自分の心を「今ここ」にとどめるように努めなければならないのだ。週末に買った『禅マインド ビギナーズ・マインド』(鈴木俊隆著)を読みながら、そんなことを感じた。みなさんにもぜひ、じっくりと繰り返し読んでいただきたい一冊だ。

『来年こそ手帳を活用するぞ!』と思っているヒトへ

2011/10/19 9:00:00

■我々は、いつまで手帳を活用する夢を見続けなければならないのだろうか。

 毎年恒例のことだが、この季節になると「来年の手帳はどうしようか?」と考え始めている自分に気づく。「来年こそ、手帳を活用するぞ!」と決意を新たにする自分を発見する。そういう方も多いのではないだろうか?

 大型の書店、文具店、雑貨店などでは、かならず手帳フェアが開催されるし、ビジネス系の雑誌では、各界で成功したヒトの手帳術が毎年紹介されている。そういった情報に接するにつけ、手帳をカッコ良く使いこなす『できるビジネスパーソン』になった自分を妄想して、いやが上にも気分は盛り上がり、手帳選びにも熱が入ってしまうというものだ。

■手帳、使いこなしてる?

 雑誌ではさmざまな手帳術が紹介されているが、多くのビジネスパーソンが参考にするのは、タスク管理、スケジュール管理的な使い方ではないだろうか。

 でも、ちょっと待てよ。ビジネスパーソンにとって「手帳を使いこなす」とは、どういうことなのだろう。スケジュール欄を365日、ダブルブッキングしないように注意しながらぎっしりと埋め、それを滞りなく処理していくことだろうか。

 確かに会社に行けば上司から、家に帰れば親や妻子あるいは恋人や友人から、さながらテトリスやぷよぷよかのように、タスクは色を変え形を変えて頭上から絶え間なくふって湧いてくる。それら1つ1つを瞬時に見極めて、神技のように隙間時間に詰め込んで、順序良く消化していくことが、手帳を使いこなすということなのだろうか。

■戦術的勝利をかさねても戦略的勝利にはつながらない

 そうやって、降り注ぐタスクを各個撃破すれば、少なくとも周囲から文句はいわれずに済むだろう。しかしそんな戦術的勝利をいくら積み重ねていても、雑誌で紹介されるような成功者になることはできない。

 なぜか。その理由は明白だ。与えられたタスクしかやっていないからだ。ではなぜそうなるのか。それは、戦略を持っていないからに他ならない。もちろん、そこには戦略を立てるためのビジョンもない。戦略とかビジョンといったものは、タスク消化の積み重ねでは出てこない。まとまった時間をとって、じっくりと考えることが必要になる。

■できるヒトはタスクをこなしているだけではない

 与えられたタスクをバリバリとこなしていく姿は、一見カッコ良く見えるものだ。しかし、それを目的にしているかぎり、我々は成功者にはなれない。タスクは無限に降り注ぐ。そこに達成感などあるはずもない。いずれはエネルギーを使い果たして失速してしまうだろう。

 だからこそ成功者は「夢」や「ビジョン」を重視するのだ。彼らがバリバリとタスクをこなすのは、そこに戦略があるからだ。自分のやりたいことをやる時間が欲しいからだ。あるいは、やっているタスク自体が与えられたものではなく、戦略的に自分で生み出したものなのだ。

■手帳を変える前に、マインドセットを変えよう

 もちろん、夢をかなえると謳った手帳を何冊買っても、かなえるべき夢が見つからないのでは話にならない。そして、夢を見つけるために必要なのは、手帳のスケジュール欄を、与えられたタスクで埋め尽くすことではない。むしろ、いかに埋めないかが勝負の分かれ道となるだろう。

 もうお分かりだろう。我々に必要なのは自分の時間をつくることなのだ。手に入れた時間で、自分の未来としっかり向き合うこと。それこそが、最初にやるべきことなのだ。

 来年はもう、どんな手帳にしようかと思い悩むのはやめよう。変えるべきは手帳ではない。我々自身のマインドセットなのだから。

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コラムニスト プロフィール

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「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

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