「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

そんなんじゃ、ヒトは動かないよ

»

■携帯ショップの旗振りって意味あるの?

 携帯ショップの店頭で、バイトや店員が旗を振る。よく見かける光景だ。しかしあれは実際のところ、どのくらい効果があるのだろうか?

 私自身を振り返ってみると、店頭の旗振りに誘われて店に入ったという記憶はまったくない。旗を振ろうが振るまいが、必要な時には行くし、必要のない時には行かないのだ。

 とはいえ、バイトを雇ってまでやっているということは、やり方によっては効果があるということなのだろう。例えば、新装開店とか新製品発売とか、キャンペーンの一環として明確な戦略の元に実施しているに違いない。そして、おそらく統計的には来客数や売上に好影響を与えているからこそ、旗振りは店頭で繰り返し続けられているのだろう。

■だけど、のぼりを振るのはやりすぎだろ?

 まぁそんなわけで、バイトを使った旗振りは百歩譲って意味があるとしよう。しかし、先日私が見かけた光景は、絶対に意味がないと言い切れる。どんな光景かというと、どう見てもバイトとは思えない男の店員がたった1人で、国道沿いの店頭でのぼりを振っていたのだ。いくらなんでも、それはないだろ。ドン引きするって。

 「あぁ、かわいそうに。この店、なんか体育会系のノリなんだろうなぁ……」「こんな店で、買いたくないよなぁ」なんて思ってしまう。

 そもそも、のぼりは風がなくても内容が見えるようにできているのだ。だから置いておけばいいのだ。それをワザワザ振りまわして、何が書いてあるか分からなくするなんて、意味が分からないではないか。

■それを初歩的な戦術ミスという

 上にも書いたように、新製品のキャンペーンで繁華街の携帯ショップの店頭に、バイトの女の子を配置する。そして小さな旗を振りながら道行くヒトに声を掛けて、興味を持ってくれた客を店内に誘導する。これは戦術としては悪くはないと思う。華やかで楽しげな雰囲気を作れば、ヒトも引き付けられるだろう。

 しかし、国道沿いの店頭で、男の店員がぽつんと1人、自分の身長より高いのぼりを面白くもなさそうに振っているのを見て、わざわざクルマを止めて店に立ち寄ろうとする酔狂な客などいるだろうか? 完璧に戦術を間違えているとしかいいようがない。

■成功体験はヒトを盲目にする

 おそらく、店長の指示なのだろう。店長としては、旗振りはキャンペーン等でよく使う手でもあるし、実績もあるから、いつでも誰でも旗を振れば客が集まると勘違いして、手の空いている店員にのぼりを振るように指示したに違いない。しかし、戦略もなしに、以前成功した戦術の一部だけを切り出して同じ結果を得ようなどと、そんな都合のいいハナシがあるわけがない。

 一度でも成功すると、それを絶対的な永久不変の真理と勘違いして、いつまでも過去の成功体験から抜け出せない、ということはよくある話だ。しかも、成功したときの、表面的に目立つ部分だけにしがみついて。

■まず、正しい旗を探すことから始めよう

 だから、「俺はいつも頑張って旗を振っているのに、周りがちっとも動いてくれない」と感じているヒトは、旗を振る前に、まずは振るべき正しい旗を探してみることをおすすめする。でなければ、いつまで経っても、誰も動いてくれないだろう。

Comment(3)

コメント

仲澤@失業者

会社又は上司が部下に対して(旗振りも含めて)不毛な作業を延々とさせるのは、
あれは教育ですね。この場合、命令する側が期待しているものは当該の作業の
実質的効果(集客など)ではなく、その作業者の思考能力の変更にあります。
旗振りを命じた上司は、その効果が皆無であることは百も承知であり、むしろ
作業者がその命令に無批判に服従することを教育しているのだと考えます。
アルビン=トフラーの言葉を借りると、そもそも学校教育の当初目的とは、
 1.時間の厳守
 2.権力者への服従
 3.単純反復作業への慣性強化
の3つであり、産業革命時に農民を工場作業員にするための訓練であった。
とあります。あたりまえですが、知識を学ぶために特定の時刻に特定の場所に
全員が集まり、先生の言いなりになる必要は、まったくありません。
あれが調教訓練なので必要だったのですね。
現在の若者は産業革命以前の農民より粒ぞろいが悪いかもしれないので、
まぁ再教育は必要なのでしょう。
また、小さなコミュニティではそこにローカルで固有のコンセンサスが
共有されねばなりません。上司は作業者の熱意と効果について絶賛し、
昼飯どきはその話題で盛り上がってもらえば狙い通りです。
そのあたりの二面性への理解が深まると管理職への扉が開かれるのかも
しれませんねぇ、自分には絶対に無理ですけど(大笑)。

Anubis

いつも楽しみに読んでおります。今回は着眼点が良いです!

onoT

> 仲澤さん
ご指摘のような管理職=教育という名のもとに、命令への無批判な服従を求める古いタイプの管理職って、今でも結構はびこってますよね。「お前は何も考えるな。手だけ動かせ!」みたいな(笑)
そういうタイプの管理職には、仲澤さんと同じく私自身もなりたくないですし、近寄りたくもないです。

> Anubisさん
ありがとうございます。
先日たまたま見かけた旗振りのおにいさんから、これまで色々な会社組織を渡り歩く中で目にした情景とダブって見えたので、勢いで書いてしまいました(苦笑)

コメントを投稿する