いつも心は穏やかにと思っている私ですが……

スマートフォンでペコポン侵略! であります

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 このタイトルの元ネタは、ケロロ軍曹『ケロロ お得な携帯大作戦!』というアニメの話である。ケロロ軍曹を知らない読者の人のために、このアニメの概要を説明しておく。ケロロ率いるケロロ小隊は、ケロン星からやってきたカエルの姿をした宇宙人である。ケロン星では、地球のことを「ペコポン」と呼んでいる。ケロロたちは軍人であり、彼らの任務は地球侵略なのだ。しかし、地球人との友情が芽生えたために、ケロロは戦争ではなく間接的な方法で、地球の覇権を握るためのさまざまな作戦を実行するのだが、ことごとく失敗する。

 『ケロロ お得な携帯大作戦!』ではケロン星の技術を使った、何でもできる携帯電話「Kフォン」を地球に普及させ、地球人を「Kフォンなしでは生きていけない体質」にしてしまう作戦である。

 Kフォンを使えば、いたずらメールが受信された場合に送信者を爆撃することができたり、圏外でもKフォンを振れば電波が増幅できたりしちゃう。はたまた、やかんを乗せてお湯をわかしたりすることもできる。

 なんでもできちゃう携帯Kフォンについて、ケロロは「何でもできちゃうんだから、侵略もできちゃうんじゃね?」ってことで侵略を実行したところ、失敗。理由は、冬樹君がKフォンで「防衛」を実行したからである(笑)。

 インターネットは、もともとは学術交流の目的で作られたもので、やがてNCSA Mosaic、NetscapeなどのWebブラウザの普及によって、さまざまなジャンルのWebサイトが作られるようになった。マイクロソフトは「インターネットの覇権を握るものが世界を制する」という、まさにケロロと同じような幻想を抱いてしまったともいえる。

 侵略や覇権掌握には、麻薬のような常習効果のあるものを普及させる手段が付きものだ。古典的なものとしてはアヘン戦争が有名だが、若者にとっては音楽を楽しむことは常習効果がある。しかも、好きな音楽をダウンロードし、どこでも聞けたらいい。これを利用したものが、iPodといえるかもしれない。

 アジア振興国のブロードバンドインフラが整備されるようになりつつある時代、IP電話の技術で、音声や動画などのマルチメディア情報をリアルタイムかつグローバルに情報交換できる。まさにスマートフォンは、コミュニケーションの「どこでもドア」となりえる。

 世界各国への電話が、携帯電話という手軽な手段で、しかも低料金で利用できるようになる。日本企業の弱みは、アジア諸国の中でも英語が得意な国ではないということだ。言語が壁になってしまう。「社内公用語」の取り組みは、事前にこの壁を排除させる先手なのかもしれない。

 いずれにせよ、人の生命線、弱みにつけこんだ覇権狙いは、ケロロ軍曹のペコポン侵略的な発想であり、お笑いアニメだけなら許される。

 グローバルコミュニケーションの覇権をある1社が握ってしまうことは危険だ。かつてのブラウザ戦争のような事態は、二度と起こしてもらいたくないものである。
 

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