これまでの経験で感じたことを、つらつらと述べていきます。

特急料金の価値

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特急料金の価値

東京から大阪に、普通料金のみで移動する場合に比べて、
新幹線(自由席)で移動した場合の料金は1.5倍以上になります。

移動距離は同じでも、料金に差があるということは、
そこに「価値」があるからです。
そう、当たり前の話ですが、スピードに「付加価値」が
認められているからです。

ところが、ソフトウェア開発の業界においては、
このあたりが正当に反映されているとは思えません。

例えば、とある企業に勤務しているAさんが、
同期で同年齢で同一ポジションのBさんよりも概して2倍の開発効率だったとしても、
AさんがBさんの2倍の報酬であるケースは極稀でしょう。
それは年齢や役職等の報酬テーブルから算出されたり、
年度ごとの人事評価による報酬上昇率に上限があったり、いろいろでしょうが。
※もちろん、企業の資金リソースは有限ですので、
上限があるのはその通りなんですが。

これが「納得がいかない」のであれば、
フリーになるという手もあります。
当然リスクもすべて背負うことになりますし、
美味しいことだけではありません。

ただ個人的には、企業組織で働くか、それともフリーで働くか、
現実的にはその二択に絞られる状況を歯がゆく思っています。
例えば、フリーのエンジニアが私的な組合を作って活動するであったり、
企業内で働くにしても、労働時間の拘束をゆるくしたり、
インセンティブを締結するであったりですね。
※一般労働者にも経営的資質が求められる時代になってきているとも思っていますが、
これはまた別の機会があれば。

そもそも企業と労働者を結びつける現行の労働基準法は、前時代の
「人間が機械」
であった頃を前提としています。
つまり、作業時間に比例して生産量が決定されるというパラダイムですね。

ですが、ソフトウェア開発は、その真逆のはずです。

大量生産するものではなく、
基本的にすべてがユニーク生産なわけですから、
開発スピードが早ければ早いほど、価値は跳ね上がります。

にもかかわらず、「早く開発できる人」を正当に評価しないならば、
その人のモチベーションが下がっていく一方になります。

20年前であれば、労働力が今に比べて潤沢にあったわけですから、
「文句があるなら辞めろ」が通じました。
しかし現在はどの企業も採用自体に四苦八苦しています。
ですので、「能力のある人」を如何にキープできるかに
企業の存亡がかかってきているわけです。

であるなら、その報酬体系についても、
「これまでの常識」を取り払って、再考すべきでしょう。

翻って腕に自信のある人は、
どんどん自分の価値をアピールして報酬を上げていって欲しいですし、
それが使命であると思います。
そして、そういったムーブメントが、
ソフトウェア業界の発展にダイレクトに繋がっていくと考えています。

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