海外IT企業で働いていた純日本人エンジニアがいろいろと考えてみる。

海外ITエンジニアのメリット(英語編)

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■はじめに

 どうも、鹿島和郎(かしまかずお)です。

 前回の記事にコメントをいただきまして、わたしが「『海外 IT エンジニアのメリットはほとんどない』と考えて」いるとの印象を持った方もいらっしゃるようですので、少し補足します。

○海外ITエンジニアのメリット⊇海外で住むメリット

 海外でITエンジニアとして働くと、当然海外生活のいろんなメリット(やデメリット)を受けることになります。

 「海外で住むメリット」に関しては、いろいろな本なりWebページにも書かれているように、「新たな文化に触れられる」「国によっては税制面のメリットがある」など、いろいろあると思いますし、業者とかも盛んに喧伝しています。ですのであえて触れませんでした。

 ただ、これに関してはそれなりに興味深い話題でもあると思うので、機会があれば少し書いてみたいと思います。

○隣の芝生は青い

 で、海外ITエンジニア「限定」のメリットに関してですが、前回はどうでも良い軽い話を中心に書きました。その理由ですが、「海外って素晴らしいよー」みたいなことは書きたくなかったというのがその1つです。

 前にも書きましたが、隣の芝生は青く見えるんです。どっかのブログで「『海外』は『ユートピア』のメタファーになってる」みたいなのを読んだことがありますが、当然ながら海外はユートピアでも何でもありません。当たり前ですが、何事にも良い面もありますし悪い面もあります。こと「海外」という話題に関しては良い面ばかりが強調されがちですので、いきなり良い面から書くのもどうかなと思い、前回のような内容になりました。

 実際には海外ITエンジニアに関するメリットは、今回書く「英語」もそうですし、待遇に関しても日本より恵まれている部分もあります。待遇に関しては別の機会に書こうと思います。

 ちなみに「隣の芝生は青い」は英語だとこんな感じらしいです。

 The grass is always greener on the other side of the fence.

 日本語の「青」って「緑」を指す場合もあるんですよね。青信号はgreen lightって言いますし。

■ITエンジニアと英語

 さて本題。前回の予告通り今回はITエンジニアにとって英語ができるとどのようなメリットがあるのかについて書いていきます。

 今回の話もITエンジニア限定ですので、「海外旅行に行った時に困らない」とか「英語の映画が字幕なしで見られる」とかそんな話ではありません。そもそもわたしの場合、映画は字幕がないとちょっとつらいです。

○英語の技術文書が読める

 やっぱりこれが一番大きいです。

 オフショア開発が以前より一般的になってきていたり、海外進出するユーザー企業が増えているのは確かですが、仕事で実際に英語を話す機会というのはまだまだ少ないと思います。わたしも日本に戻ってきてから1年半くらい経ちましたが、仕事で英語を話す機会というのは1カ月に1度有るかどうかです。それに対して、英語の技術文書を読む機会というのはかなり頻繁にあります。

 英語の技術文書が読めるかどうかで、手に入る情報量が違いますので、技術力にも差が付きやすいです。英語の読めない人はある意味「情報弱者」に近いのではないかと個人的には考えています。

 以下、いくつかの実例を挙げたいと思います。

 まずはマニュアル。Microsoft、 Oracleなどの大手ベンダのソフトであれば多くのマニュアルが日本語訳されていますが、そうでない場合にはマニュアルが英語しかないというのは意外に多いです。また、ある業界特化のニッチなソフトとかの場合、トップシェアのソフトであっても日本語のマニュアルが存在しない(あるいは一部のみ)と言うケースが多く、わたしが今までに関わったプロジェクトでも結構そういうことがありました。

 また、大手ベンダであっても必ずしもすべての情報が日本語化されているわけでは有りません。あるプロジェクトでは大手ベンダの製品を使っていて、そこの会社のサポートにも加入していました。サポートとのやりとりは当然日本語なのですが、サポートからの回答ではよくこういうことがありました。

 「詳細は以下の情報をご参照ください。http://www.example.com/foo/bar (英語)」

 ちなみにこの例に出てきたベンダは、ITエンジニアであれば誰でも知っている会社です。

 また、オープンソースのソフトやライブラリとかは、日本語リソースは有志の方々によって作られていますので、有名・人気なものはそれなりに充実していてますが、それ以外のものはあまり日本語の情報はありません。

 オープンソースに関して言うと、有償サポートを行う会社があってそれに加入する場合もありますが、通常はドキュメントを読んでも分からない場合などはフォーラムを使うと思います。このとき、英語が読めれば英語のフォーラムを検索してすぐに答えにたどり着けることがよくあります。そうでない場合でも、(存在すれば)日本語のフォーラムに質問できますが、日本語フォーラムがそもそもあまり機能していないケースもよく見られます。

 技術書に関しても、原書が出版されてしばらくしないと日本語訳が出版されません。そもそも日本語訳が出ない場合もありますし、あったとしても酷い訳の場合もたまにあったりして、原書で読めると何かと便利です。

○先進的なサービスをいち早く使える

 今では日本でも多くのユーザーがいるTwitterですが、最初は当然英語版しかありませんでした。こういった先進的なサービスは最初は英語版のみが提供されるのが一般的です。

 実際にはユーザー登録などには大した英語力は必要ないのですが、英語に対するアレルギーがある人もけっこういますので、まずはそういったアレルギーを克服するだけでずいぶん世界が広がるのではないかと思います。

 これに関してはこれ以上の例は挙げませんが、動きの速いIT業界では、本当に数多くの新しいサービスが出ては消えという状況です。魅力的なサービスも数多くあると思います。そうしたサービスを日本語サービスが始まる前にいち早く使ってみたいと思いませんか?

■おわりに

 ITエンジニアにとって英語ができると大きなメリットがあるのが少し分かってもらえたかと思います。次回は、もう少し英語の話をする……かもしれません。

 それではまた。

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