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健康について第68回 本当の健康法とは(8) 久々

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 お世話になります。龍澤と申します。

 引き続き、「本当の健康法とは」(「健康について」最終章)について、焦ることなく、少しずつエンディング(大団円)に向けて書いていきます。

 すごーく久々になってしまいましたが、この連載もまとめフェイズに突入した(勝手にそうした)ので、あらためて過去の自分の文章を読み返して矛盾点がないか等確認しておりました。それに思ったよりも時間がかかってしまい……(言い訳ですが、60回分ありますので……)。

 なかなか終わりそうにないので、まずエンディングに向けて書き始めてみよう、と思いました。最初は、エンディングに向けてあらためて章立てなんぞを頭の中で考えていたのですが、それはちょっと違うな、と。それよりも、書きたいことをまず書いてみようかな、と。

 

◆前回のまとめ(本当の健康法を実践するための前提条件の整理)

  1. 「IT業界は、常に自分に向上心を与えてくれる」という考え方にシフトすること。
  2. 「健康になろう」という強い意志を持つこと。
  3. ニュートラルでいること。
  4. 周りと自分とを差別化すること。(1)ネガティブな言葉を吐かない (2)IT業界における自分の立ち位置を正確に認識する (3)素直である(いる)

 今後、もう少し前提条件を追加するかもしれません。

◆前回までに導き出されたポイント

  • エンジニアの元来持っている「誠実さ」を周りにアピールする。なぜなら、周りは誠実な人と仕事したいと思っているから。味方を得るためには照れる必要なし。
  • 性格が悪い(と周りに思われる)のは致命的(すべてが無駄になる)。
  • すでに退路は絶たれたものと考えて、自分の仕事の生産性を意識して上げていく。「今」の仕事に全力であたる、ゲーム感覚で。
  • 常に謙虚であること。
  • あいさつは大事。あいさつされたら100%返すこと。
  • 何かをしてもらったらお礼を述べること(まずはメールでもよし)。
  • 自分が何かをしてもらっているという事実に敏感になること(逆に、その事実に鈍感になろうとする人が多いので)。
  • 機嫌を一定に保つこと(機嫌を一定に保つことにより仕事の生産性も一定に保たれる)。

 ここで挙げたのは、健康法とは直接的に関係ないですが、今後「健康的に生活してゆく」上で必須となる項目ですね。一時的に健康になっても、「運用」を気をつけていかないとすぐに心身ともに不健康へ逆戻りです。

 

◆ 仕事があればおおよそ健康である

 本題。

 この業界で働く方々に役に立つ、エンジニアに特化した健康法をまとめたい、というのはこの連載の最初から書いてきたことです。

 で、いちばん大事なのは、エンジニアの健康というのは仕事があってナンボということですね。ですから、「仕事を続ける」というのがいちばん大事な「健康法」なのかもしれないです。あまりに当たり前のことかもしれませんが、これをまず書いておきたいな、と思いました。

 2つ考えるべきポイントがあります。まず、以前の私もそうでしたが、IT業界の仕事、ワークスタイルや業界慣習により、われわれの健康は害されているのではないか? われわれは働けば働くほど不健康になっていないか? という考え方があります。よって、この業界で仕事を続けることこそが健康の秘訣である、という考え方はどうも受け入れがたい、と。

 それは、ある意味では正しい。確かに、長時間労働を余儀なくされたり、座り仕事であったり、ずっとディスプレイとにらめっこだったりと、われわれのワークスタイルには健康を害する可能性が高まる要素がたくさんあります。

 でも、われわれエンジニアが失業している状態を考えるとどうか? どっちが健康か? あるいは健康に近いか? といえば、失業しているよりは働いて給料をもらっている状態のほうが健康に近いのです。

◆ カネがあれば健康か?

 もう1つのポイントですが、極論として、失業状態でもカネに困っていなければ、劣悪な労働環境で働くよりも健康といえるんじゃないの? という考え方もあるかもしれません。

 例えば、不労所得があるとか。実家にいて食うに困らないとか、家族が稼いでくれるとか……。

 働いておらず、最低限の生活にも困っていない(自称)エンジニアがいたとして、ある程度自分を律して食事にも気をつかったり、継続的にスポーツをしたり、お腹も出てなかったり(笑)。……そういう人間が仮に存在したとしたら、どうでしょうね? 健康診断でいつも二次検査に呼び出されるバリバリのエンジニアと比べたら?

 私はもちろん、後者を応援したいわけですが、応援どころか、後者の方が健康であると断言したいのです。

 もっといえば、そんな状態でうれしいですか? と私は問いたいのです(もし前者のような方が存在するのであれば)。エンジニアが、仕事のない状態(実力を発揮できない状態)でよいのですか? と。

 それと、後者の方が少なからず世の中に貢献しているわけですしね。という意味では健康的といえなくもない。前者はほぼ自分のためだけに「健康」を考えているわけですから。

 

◆ 不労所得者に憧れない

 と、今書いたことは極論ですので、間をとって、

  • 健康診断でひっかからない、バリバリのエンジニア
  • カネに困らないエンジニア

 を目指してゆけばよいのです。どちらも相互連関してゆきますから、バリバリ働きながらかつ健康に生きてゆける人は自然、カネもたまってゆくでしょうし、カネに困らなければ精神的に余裕もでき、仕事に好影響を与えます。

 私のまわりには不労所得者に憧れる方がとても多いのですが、その理由が、ほとんどの場合「現状がイヤだから」なんですよね。最終的な到達点を、そこにおくのはよいと思うのです。でも、不労所得者に移行することを現状の理想とするのは、「逃避」のニオイがしなくもないです。

 確かにIT業界の一般的な労働環境は良くありません。ですので、IT業界の仕事から離れさえすれば、体調が悪いのが治ったり、精神的不調から立ち直ったりできるのではないか? と考えるのも無理はないと思うのです。

 そしてそれはおおよそ正しいのでしょう。でもそれはIT業界とは関係なく、どの業界であっても、イヤイヤ仕事をしている人はその仕事を辞めれば、抱えている疾患はいったん雲消霧散してしまうものです。

 もし、現状イヤイヤ仕事している人がいるのであれば、「なるべく」イヤイヤでない方向に持ってゆく努力自体が健康法なのでしょうね。

◆ 趣味=仕事、を実現できるのか?

 実は、システム・エンジニアリングの仕事というか、例えばコーディングだったり設計だったり構築だったり、それらの仕事自体は、われわれはキライじゃないのです。というか大好きなのです。われわれがキライなのは、現場での人間関係や取引先、顧客、ベンダとの関係性、わずらわしさなんですよね。

 私たちは黙ってればいつまでもPCに向かってますからね。まったく苦にせず。

 ですので、先ほどの不労所得の話に戻れば、私たちの理想は、仕事を趣味にすることなんです。つまり、固定収入は別に持ち、生活に困らないようにしときながら、趣味で仕事をしたい。そして、イヤなら辞める。

 そう、イヤならいつでも辞められる、しかもこっちからちゃぶ台ひっくり返して、いつでもこちら優位に、という環境で仕事をしたいのですよ、私たちは。そして、辞めても常に引く手あまたで。三顧の礼でぜひウチに来てくれ、と言われ……。

 そういう環境であれば、生産性が上がるかどうかは分かりませんが、ストレスは劇的に減りますね。仕事に余裕ができますから、結果的に人間関係も好転するのでしょう。

 すると、あら不思議。つい先日まで「劣悪な環境」と思い込んでいた長時間労働も、長時間座りっぱなしもディスプレイ見っぱなしもすべて、楽しいことのように思えてきます!

 すべては環境次第というか、考えようです。

 さあ、理想は見えました。

 

◆ 現状をカイゼンすること

 仕事の内容自体がイヤなのであれば異業種に転職すればよいだけの話です。例えば、SE職の方が「エンジニアリング業務がイヤだ」というのであればそれはもう生き地獄に近いでしょう。

 でも以前書いたとおり、IT業界でなければ自分の実力を発揮できない、と考えるのであれば(あるいはもっと消極的に、IT業界もイヤだけど他の業界にうつるのも面倒なのでこの業界に残るしかないかも、みたいな考えであっても)、現状を変えてゆくしかないのですね。上に書いた理想のワークスタイルに、ほんの少しでもよいから、自分の環境を近づけてゆくのです。

  と考えるときに、いきなり、自分一人では業界慣習や体質を変えてゆくのは無理だよ、と大上段から考えるのではなくて、まず自分自身が、このIT業界で健康的に仕事してゆくにはどうしたらよいか? を考えてゆけばよいのです。末端の人間が考えるべきはまず自分のことであって、業界全体のことを考える必要はまったくありません。

 「仕事をしながら健康になってゆく術を考える」ことこそが健康法……いや、違うな。これは具体的な「健康法」ではなく、前提条件ですね(まだ前提条件から抜け出せていなかったか……)。

 

◆ 今回の結論

 「仕事をしながら健康になってゆく術を考える」とはすなわち、自分のペースで仕事すること。「ペース」とはライフサイクルもそうですし、精神的なものもありますね。

 不毛な人間関係に煩わされることなく、集中できる環境で仕事そのものに没頭できること(人間関係から逃避するのではなく、自分も寛容になる必要があります)。

 マネジメントがなってないプロジェクトに巻き込まれないこと。そういう状況でも常に自分を持ち、主張すべきところは主張すること。

 これらを、ただの理想論と片付けず、大真面目に、実現に向けて考えること。

 実現のためには現状と「闘う」必要があります。闘いのプロセスを回避することはできません。「闘う」気概がなければ残念ながら諦めるしかないですね。でも、「闘う」といっても一生闘い続けるわけではないですから。たまにはいいと思いますよ。

 闘うプロセスをどうしても回避したいのであれば、三顧の礼で迎えられるようなスーパーエンジニアになることです。ただし、スーパーエンジニアになるためには「闘う」以上に血のにじむような努力が必要になると思いますが……(例えばいくつものプロジェクトの修羅場をくぐり抜けるとか)。

 いずれにせよ、別な現場への配置換えや転職も、視野にいれる必要があるでしょう。自分を向上させるために。

 スーパーなエンジニアでなくとも、密度の濃い、ボリュームの大きい仕事は、ある程度覚悟しなければなりませんが、私たちはそれは望むところです。不毛な人間関係こそがno,thank youなのです。不毛な人間関係を回避するためにはデフォルトでこちらが有利なように状況を変えてゆかなければなりません。

 久しぶりなので長くなってしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。

 

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