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健康について第43回 一介のSEが「健康について」を書くに至るまで

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 お世話になります。龍澤と申します。

 唐突ですが、なぜ私がこの「エンジニアライフ」という場をお借りして、しつこく「健康」について書いているかを整理しようと思います。

 第1~10回あたりで書き散らしたことの焼き直しになるかと思いますが、おかげさまでもう40回(約1年)を超えましたので、あらためて、振り返りと自身の立ち位置を再確認させていただきます。

 まず、1つの例を引きます。プロ野球の話ですが、先日、成績優秀によりクビになった(?)中日ドラゴンズの落合博満監督が、就任したのは2004年シーズンでした。監督は、大きな補強をせず現有戦力を10%底上げして優勝する、という公約を掲げてそれを実現させました。

 オレがこの目でみていないのに最初から一軍と二軍メンバーが決まっているのはおかしい、と、キャンプの初日に紅白戦をして、自分の目で確かめたのは今でもおぼえていますし、カッコよかったです。

 そしてさらに溜飲を下げたのは、翌年は手のひらを返したように大幅補強を行ったことです。「優勝争いをするチームになる」というのと、「常勝軍団になる」という目標設定とでは、必要な戦力は違うのですよね。ますますカッコいいなあと思ったことをおぼえています(2年目は優勝できなかったはずですが、それも勝負の世界です)。

 なぜこのような例をひいたかといいますと、われわれもこの業界の現有戦力を底上げして、世界に伍して闘えるような集団になりましょうよ、ということを言いたいのです。この業界に棲息するエンジニア、ひいては日本人は、元来優秀なので、補強の必要はないのです。

 そしてその「底上げ」の手法として、いわゆる「スキルを磨く」ではなく、(ただ)健康になりましょうよ、それだけでいいんですよ、といっています。

 バカみたいかもしれませんが、本気でそう思っています。「みんなで健康にさえなれば底上げは実現される」というのと、「もともと優秀なのだから、底上げされれば業界全体として世界で闘える」というのと、どちらもホンキで信じています。

 この業界のエンジニアの多くが、自らすすんで健康を害して、半ば自滅しているような気がしてならないのです。不健康では良い仕事はできません。生産性は上がりません。分かりきったことなのですが……。

 この業界特有の「ポーズ」として、慢性的な長時間労働、不規則な生活、偏った食生活、等が半ば「賞賛」されるような空気があります。言い方を変えれば、労働時間を減らして同じ成果を残す、すなわち生産性を上げようとする人間に対しては賞賛の声は極めて少なく、それどころか足を引っ張る勢力や、規則的な生活、健康的な食生活を志向する人間に対して「そんなのSEじゃない」と揶揄する人間がいまだに存在します。

 加えて、クローズドでかつ長時間拘束される職場環境が引き起こすコミュニケーション・ロス。これもかなり大きな問題だと思います。つまり、ビジネスにおいて外の空気を触れる機会が少ないのです。内部・外部のセミナーや研修であったり異業種交流であったり、そういう機会がない。いや、違いますね。コミュニケーション・ロスを引き起こしているエンジニア自身がそれを求めなくなってしまう。

 その結果また、似たようなタイプのエンジニアが複製されてゆきます。

 確かに、寝食を忘れて、クローズな環境で仕事に没頭する時期が、人生において必要なのは確かですが、でもそれが慢性的になってはならないのです。どこかで、本当は管理職がストップさせてやらなければならないはずなのですが……。同じ技術者あがりの管理職にそのマネジメントを期待できるはずもなく。

 ステレオタイプのエンジニアは、仕事が空くと「何をしていいか分からない」と言い出すようになってしまうのです。アナタがその年齢で、ビジネス・シーンにおいて「やらなければならない」ことはたくさんあるはずなのに。

 結局、この業界と非常に親和性の高い、ヴァーチャルな世界に走ってしまったりします。SNSやゲームなどに無限に時間を吸い取られ……。

 こういう伝統が脈々と受け継がれている。この業界に流入してきた多くの優秀な人材が疲弊し、多くは業界の中に沈溺して「ただの人」になり、また、一方では多くが他の業界に去ってゆきます。

 ずーっと昔から、自分が働いてる現場だけじゃなくて、ギョーカイ全体がヤバいんじゃないかと思っていて(だって、どの現場にいってもそうだから)、この危機感は日に日に強くなってきました。私もある程度歳をとりましたし、大変僭越ながらボトムアップでなんとかこの業界を変えてゆけないだろうか、と、強く強く思うようになりました。

 「健康」をキーワードにすれば、何かしらの「潮流」を起こせるかもしれない、起こしたいという思いがあり、まずは身近なところから始めています。まだまだ、何も変わったようには見えませんけども……とにかく始めたことは確かです。

 私自身は、本当はこのまんまマイノリティでもかまわなかったのですが(健康を志向するエンジニアというのは、今までもこれからもマイノリティに違いない)。他人に余計なお世話をする時間も余裕も、なかったはずなのですが……。

 でも、元気はつらつで生産性高く働く人間がこの業界で正当な評価を得(特に、金銭的に!)、報われる業界体質になってほしいと。強く願います。だらだら残業している覇気のない人たちが一定の評価を得るのではなく。

 まずはそこからですね。

 読んでいただきありがとうございました。

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