大学卒業後、バーテンダーを経てIT業界へ。現在はインテリジェンス ビジネスソリューションズにて、PMとして数多くのプロジェクトに携わる。

エンジニアが本当にすべき“勉強”とは? 勉強前に必要な“視点”

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 エンジニアになって初期のうちは、知らないことばかりで勉強続きとなりますが、2~3年経つと、勉強を怠け始める人が増えてきます。読んだ技術関連の本が、ここ1~2年で1~2冊という人も!

 言わずもがな、使えるエンジニアになるためには勉強はマスト。ただ、エンジニア歴3年程度になると、多少仕事ができるようになることから、仕事も忙しくなり、勉強時間をとることができない……という声も聞かれます。今できている技術である程度、仕事ができることからも、新しい勉強をするよりも今の仕事を優先してしまう、という気持ちもあるようです。

 ただ、このブログで言い続けているように、“今できる仕事”は、“2年後に入社する若手でもできる仕事”です。今のあなたの仕事が、2年後に入社する若手エンジニアで代替されたとき、あなたは何をやりたいのか、やれるのか。そういったキャリアを考えることが、勉強し続けるうえで重要であり、かつ、多くの若手に不足している視点だと思います。

とはいえ、がむしゃらに勉強するのも大変だしもったいない。仕事やプライベートで忙しい中でも効率的に勉強するために必要な視点について、今日は紹介します。


― “転職市場で引く手あまたなエンジニア”を目指せ


 常に頭に置いてほしいのは、「転職マーケットでの自分の価値」です。転職を推奨しているわけではないので、誤解しないでください。転職市場のように、業界内の同年代のエンジニアと比較される市場においても、自分には“引く手あまた”なエンジニアとなれるか? という視点を忘れずにいてほしいのです。

 半年単位でプロジェクトを変わる他の会社との共同プロジェクトに参加するなど特殊なケースを除き、多くのエンジニアは1つのプロジェクトもしくは企業内で、1~2年単位で同じメンバー達とシステムに携わります。そうすると、自分がそこから得られる知識は、どうしても自分が所属するプロジェクトの内容や先輩エンジニアの知識に絞られてしまいます。

 甲子園に例えてみましょう。自分の所属するチームが全国大会常連校の強豪で、守備も攻撃も共に強いチームで鍛えられていればよいですが、県大会でも3回戦に行けなかったり、守備は強いけど攻撃は弱いチームで育ち、攻撃はからきしだったりすると、同世代とドラフト会議に乗った時に、まったく選ばれない選手に育っている可能性があります。

 10年後も活躍できるエンジニアであるために、今から、ドラフト会議で引く手あまたになれるエンジニアを目指す努力が必要になります。自社内でどれだけできるかのみにとらわれず、“エンジニア全体市場での自分の価値”に意識を向けてください。


― 自分の“キャリアステップ”、何年後までありますか?


 若手のエンジニアは特に、まだ技術を学び始めたということもあり、目の前の仕事や技術をがむしゃらにしがちです。もちろんそれは大切な姿勢ですが、プロジェクトが終わった時や来季に向けた面談で「次はどんな仕事がしたい? 」と言うと、答えに詰まったり、手にした技術でできる仕事を……と言うエンジニアが多いのは、少し残念だなと感じます。

 2年後、5年後、10年後も同じ技術だけで仕事はできません。5年後にプロジェクトマネージャを目指したいのか、スペシャリスト(いるのでしょうか? )を目指したいのか……その像によって、次に勉強すべき技術は変わってきますし、目指す像により必要な力は変わってきます。

 例えばリーダー、マネージャを目指すのであれば、どんなプロジェクトに携わってもメンバーに指示できる、広い知識が必要です。スペシャリストであれば、様々なプロジェクトに携わりながら、とことん得意な領域を見つけるのも良いでしょう。

 キャリアマップを作る一方で、20代の若いうちは、まずは『石の上にも三年』をオススメしています。

 まずは今学んでいる技術を極め、自分の基礎を作りましょう。自分の基礎となる技術を持つと、その周辺技術を学ぶときの習得スピードがまったく変わります。例えばJavaでのこの言語が、PHPではこれにあたるのか…など、基礎を応用することで知識の関連付けがスムーズになり、他技術であっても、理解促進が速いからです。


― 時流の流れに敏感であれ

 自分の大きなキャリアマップにプラスしてほしい視点は「今の時代の波に乗る」ということです。今はどんな技術ができるエンジニアが強いのか、時代の流れに常に敏感でいましょう。まずは、時代が求める技術を認識したうえで、自身のキャリアプランと照らして勉強の優先順位を付けてほしいためです。

 分かりやすい事例で言えば、言語1つとっても、Javaが過半数の主流言語で、PHPが数割、残りはまばらです。もちろん、Javaができることが市場に求められるエンジニアの必須条件と言えるでしょう。自らの強みを育てるのはそれからです。そのJavaを一通りできたうえで、PHPに手をつけるもよし、javaを極めるもよし…自身の目指すステップに歩を進めてください。


― 評価制度や国際基準を活用してプラン立てを

 いきなりキャリアと言われても……という人は、ITSSのような国際基準や、各社の人事でつくる評価制度を見てみることをオススメします。例えばITSSなら、30代時点で、レベル3~4を目指すのが、一般的なエンジニアのレベル目安です。会社の人事が作る評価制度も、よく考えられていますから、エンジニアとしてレベルごとに必要な要件を明言化しています。

 スキルとレベルがマップ化された評価基準を見ると、自分は現在どのグレードで、どのようなキャリアアップをしたいのかという道筋が分かりやすくなります。そのうえで、会社の推奨資格制度などを活用するのも一手でしょう。


 今やっている仕事が面白い、大変、さまざまな理由で、勉強の優先順位が下がることもあります。しかし、お話したように自身のキャリアから照らして、必要な勉強を洗い出すことで、自然と、積極的に勉強できる姿勢がついてくるもの。4月から新しい年度も始まったこのタイミングで、自身のキャリアプランを今一度、見直してみてはいかがでしょうか。

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