若手の目からみたこの業界のアレコレ、気の向くままに書いてみます。

衝動的に始めるFLOSSプロジェクト(3)~プロジェクトの登録申請をしよう~

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【Intro】

 前回はSourceForge.jpのアカウント作成をおこないました。

 今回は、プロジェクト申請を行ってみようと思います。

【すべての始まりはトップページから】

 SourceForge.jpのトップページにアクセスします。すると、図1のような画面になります。画面の上の方に「プロジェクトを作る」というタブ(図1赤枠部)がありますので、それをクリックしてください。

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図1:SourceForge.jpトップページ

 まだログインしていない場合は、図2のようにログイン画面となりますので、ログイン名とパスワードを入力し、「ログイン」ボタン(図2赤枠部)をクリックしてください。

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図2:ログイン画面

【プロジェクトの申請を行う】

 いよいよプロジェクトの申請画面です。まずはざっくり全体を見てみましょう。図3をご覧ください。

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図3:プロジェクト申請画面全体

 はじめの方にいくつかの注意事項が書いてあります。難しいことが書いてあるわけではありませんので、よく読んでおいてください。

 注意事項を読みながらページをやや下の方にスクロールすると、利用規約が記載されている部分が確認できます(図4)。

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図4:sourceforge.jp利用規約

 利用規約をよく読んだら、「この利用規約に同意する」のチェック(図4赤枠部)をつけてください。これで、以降の記入欄が入力可能となり、プロジェクト申請を行うことが可能となります。

 ……ん? 「プロジェクト名」なる文字が見えますね……。第1回で立てた計画に早くも考慮漏れが見つかったようです。まあ、こういうのも「衝動的に始める」醍醐味だと思っていただければと思います。

【プロジェクト名はどうするのがよい?】

 まったく考えていなかった「プロジェクト名」ですが、どういうものがよいのでしょうか。ちょっと考えてみることにしましょう。

●40文字以内であること

 とりあえずすぐに思いつくものとしては、「プロジェクト名が40字以内である」ということでしょう。これはSourceForge.jpに登録するときの制限ですから、すべての場合に当てはまることではないかもしれません。しかしながら、あまりに長すぎるプロジェクト名というのもどうかと思いますので、1つの指針としてこの条件を定めてみることにしましょう。

●公序良俗に反しないこと

 わざわざ取り上げることではありませんが、念のため。基本的に不快に思われる単語は避けるべきです。特にスラングなどを元にしたプロジェクト名は注意が必要です。

●すでに使われている物ではないこと

 すでにほかのプロジェクトで使用されている名称は避けた方がよいでしょう。SourceForge.jpSourceFourge.netfreshmeat.netあたりで検索し、「該当なし」となればほぼ大丈夫でしょう。各種検索サイトで検索してみるのもよいですが、大抵の場合かなりの量のサイトが引っかかりますので、それなりの覚悟が必要です。

 どうがんばっても「100%使われていない」と断言できるだけの確証は得られないと思いますので、とりあえずほどほどでよいかと思います。

●第三者の権利を侵害していないこと

 こちらも「100%大丈夫」だと断言するのが非常に難しいのですが、登録商標や人名、企業の屋号などで使われていない物である方が望ましいと思われます。簡単に調べるには、各種検索サイトで検索してみるくらいしか思いつかないのですが……。

 一般的な語を使うと少しは安心感がアップするかもしれません。

●覚えやすいこと/検索しやすいこと

 あまりに複雑すぎたり、長すぎるプロジェクト名より、一度聞いただけで覚えられる方がよいでしょう。ただ、いくら覚えやすいからといっても、「検索サイトで検索しても、まったく関係ない情報が引っかかる」というようなものはどうかとも思います。

 さじ加減が難しいのですが、「1~2音節程度の語またはその単語の組み合わせ」で、「検索条件として“プロジェクト名”+1語程度で検索できそう」なプロジェクト名だとベストでしょう。

 わたしの場合だと、プロジェクト名と「PHP」または「フレームワーク」の2つの検索ワードを入力すると情報が見つかるようなプロジェクト名が適しているといえます。

●愛着がもてること

 なんだかんだ言って、自身が愛着のもてる名称にするのが一番重要でしょう。自分の趣味などに絡めたプロジェクト名にするなど、各自工夫していただくとよいかと思います。

【プロジェクト名に悩むときは……】

 ここまでつらつらと「よいプロジェクト名の条件」を書き連ねてきましたが、考えれば考えるほどどうしたらよいのかわからなくなってしまいますね。

 そんなときは、「既存のプロジェクトをのぞいてみる」というのはいかがでしょうか。ちなみにFLOSS界隈だと、「再帰的頭字語」を使ったプロジェクト名などというのも数多くあります。有名なところでは「GNU」は、「GNU is Not Unix」の再帰的頭字語ですね。「PHP」も「PHP: Hypertext Preprocessor」ですね。

 いろいろ悩んだ結果、わたしは自分のプロジェクト名を「Risoluto」(音楽関連の用語で、「決然と」という意味があります)にすることにしました。

【続・プロジェクトの申請を行う】

 閑話休題。

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図5:プロジェクト名等の入力

 利用規約の下に「プロジェクトUnix名」「プロジェクト名」「プロジェクトの説明」を入力する欄がありますので、各項目に入力します。

 「プロジェクトUnix名」は「URLの一部等に使われる文字列」で「アルファベット、数字、-(ハイフン)のみです。3文字以上、15文字以下で入力してください」とあります。プロジェクト名をベースにつければよいと思います。わたしの場合は、プロジェクト名をすべて英小文字で表記したもの(risoluto)を設定しました。

 「プロジェクト名」は、先ほどさんざん悩んで決めたものをそのまま入力します。

 「プロジェクトの説明」には、そのプロジェクトの内容を示す簡潔で短い(255文字以内)文章を入力します。後で書き換えることも可能ですから、そんなに難しく考えずに書くとよいかと思います。わたしの場合は、下記のように入力しました。

 Risolutoは「シンプルで軽い」をコンセプトに開発されたPHPフレームワークです。既存のフレームワークは、その言語自体に加え、フレームワーク 自体について理解しなければいけないことが多くありますが、Risolutoは、極力「PHPを理解していればつかえる」ように作られていますので、初め てフレームワークを使う方や既存のフレームワークほどの機能が不要な方に最適です。

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図6:プロジェクトの目的と概要の入力とライセンスの選択

 下の方にページをスクロールすると、図6のような表示となります。「プロジェクトの目的と概要」と「ライセンス」の2項目があります。

 「プロジェクトの目的と概要」は「プロジェクトの説明」と似ていますね。「プロジェクトの目的と概要」は、そのプロジェクト申請を許可するかどうかの判断材料となります。特に文字数制限は内容ですので、これからSourceFouge.jpでどんな物を作ろうとしているのかなど、熱い思いをぶつけてください。

 「プロジェクト申請を許可するかどうかの判断材料」とはいっても、そんなに神経質になる必要はありません。普通に書けば、よほどのことがない限り却下されることはないはずです。ちなみにわたしは、下記のように記入しました。

 Risolutoは「シンプルで軽い」をコンセプトに開発されたPHPフレームワークです。既存のフレームワークは、その言語自体に加え、フレームワーク自体について理解しなければいけないことが多くあります。既存のフレームワークでは、DIやORMなど非常に便利な機能が実装されていますが、状況によってはそのような機能が不要なケースも多々あるはずです。また、それらを含めた多数の機能が実装されていることにより、フレームワーク自体を理解することが困難です。

 Risolutoは、極力「PHPを理解していればつかえる」ように作られていますので、初めてフレームワークを使う方や既存のフレームワークほどの機能が不要な方に最適です。Risolutoは、PHPのほかにPEAR(MDB2、Pager etc...)とSmartyを使用することを前提にしていますが、貴方がカスタマイズを加えることによって、これら以外を使用したり純粋にPHPのみの機能だけで動かすことも可能です。

 このプロジェクトでは、当初はフレームワーク単体でのリリースを目標とします。フレームワーク自体が安定したら、Risolutoをつかった各種アプリケーション(CMSのようなもの)もリリースできればいいなと思っています。

 「ライセンス」では、プロジェクトで使うライセンスを指定します。数多くのライセンスがありますが、特にこだわりがなければ、「GPL」「LGPL」「BSD」のいずれかを選択しておくとよいかと思います。もちろん、リスト中に含まれる他のライセンスを選んでもかまいません。

 「Other/Proprietary License」を選択し、その下のテキストエリアにライセンスの内容と理由を記入すれば独自のライセンスなどを使用することもできますが、おすすめしません。わたしは経験がないので想像の域を脱しませんが、承認まで時間がかかるでしょうし、却下される可能性も高くなるのではないかと思われます。

 なお、ドキュメント系のプロジェクトを始めようとしている方は、「GFDL」や「Creative Commons」なども選択肢にありますので、それらを選ぶとよいでしょう。

 ちなみにわたしは「BSD License」を選択しました。本音を言うと「GPL」にしたいところではあったのですが、商用利用がしにくくなるのがいやだったので「BSD」にしました。

 一通り入力/選択したら、「プロジェクトを登録」ボタン(図6赤枠部)をクリックしてください。

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図7:登録完了画面

 正常に登録できると、図7のような画面となります。もし、図6の画面に戻った場合は、入力内容に誤りや不足があると思われますので、確認してください。

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図8:登録時に送られてくるメール

 登録後に図8のようなメールが送られてきます。このメールが届いた時点で、あとは審査待ちとなりますので、しばらく待ちます。

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図9:プロジェクト登録完了後に送られてくるメール

 正常に登録されると、図9のようなメールが送られてきます。このメールが送られてくれば、いよいよプロジェクトをスタートさせる準備が整ったことを意味します。

【Outro】

 いよいよプロジェクトを開始するための準備が整いました。次回から数回に分けて、プロジェクトに関する各種作業を行っていきたいと思います。

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