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チャンスと捉えよ――ベンチャー企業への転職

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 最近、採用活動を手伝うことがあり、求職中のエンジニアの方々とお話ししていて思うことがありました。それは、あまりにも多くの方がベンチャーへの転職をリスクをとる「チャレンジ」だと考えすぎているのではないか、ということです。

 これは、とてももったいないことです。

◆ 採用面接はお見合いのようなもの

 転職活動で面接を受けるとき、どのような気持ちで臨みますか?

 「どうやって自分をアピールしようか」とか「採用してもらえるだろうか」というような気持ちのみで臨んではいないでしょうか。

 もちろん魅力ある人気企業の面接を受けるときにはこのような気持ちにもなるものですが、面接とはいわばお見合いと同じです。相手(企業)も同じ事を思っているはずです。特にベンチャー企業の場合は。企業の側だって「どうやって自社をアピールしようか」とか「次の面接に進んでもらえるだろうか」と思っているものです。

 面接の場では、積極的に企業を選びましょう。一方的に質問を受けてそれに答えるのではなく、自分から企業の面接担当者に質問をするのです。

 特に、職場環境などは非常に重要ですね。「エンジニアは毎朝何時に出社していますか?」とか「開発現場においてお互いが助け合うような雰囲気はありますか?」など、具体的にどんどん聞いてください。また、「現在の開発における課題は何ですか?」というような、かなり懐をえぐるような質問をしても大丈夫です。

 逆に、「こんなことを聞いては失礼かな?」などと決して思わないこと。これから自分の大切な時間を共にする場所です。求職者個人にとっては非常に重大な人生の選択なわけですから、聞いて失礼なことなど、1つもありません。

 自分と相手(企業)の質問の量が1対1になろうが、自分からの質問の方が多かろうが、構うことはありません。企業からの質問が多くなければならないなどという決まりはないのです。

 逆に、企業に対してきちんと質問ができている人は、転職について具体的に準備ができている人、ものごとの奥の奥まできちんと考えられている人という良いイメージの方が強くなります。

 こうすることで、転職した後のことを詳細にイメージして、実際に入った時に「イメージと違った」となってしまうリスクを排除しましょう。これで1つリスクがなくなるか、少なくとも限りなく小さくできるはずです。

◆ 給与は自ら上げる

 次に多い心配ごとはやはり給与面です。特に大手企業からベンチャー企業へ転職する際には気になるものです。

 これはセンシティブな情報なので、1次面接の場でいきなり切り出すのは憚られるものですね。実際、聞いても具体的には答えてもらえないことも多いと思います。実際には、1次面接で聞かれても本当に答えられない(それを検討するのはこれから)という場合もあります。

 しかし、よく考えてください。これから転職しようとしている会社には、すでに何人もの社員がいるはずです(社員第1号として転職するような場合は、この記事は当てはまりません)。そして、その先輩社員の方々も生活をしています。ですから、よほどのことがない限り、転職翌月から生活に困るということはないはずです。

 ただし、人にはそれぞれ人生のステージがあります。先輩社員が皆若くて単身者が多いにもかかわらず、あなたに家族があって住宅ローンを抱えているというような場合は当てはまりません。この程度のことであれば、面接で質問しても答えてくれるはずです。そして、転職先に自分と似たようなステージにいる人がいれば、生活していけることは保証されます。

 このように考えることで、さらにベンチャー企業への転職リスクが減らせるのではないでしょうか。

 また、ベンチャー企業で働く場合は、給与は与えられるというものではなく、自ら上げていくものというくらいの気概を持つべきです。「会社が成長したら給与が上がるかもしれない」と考えるのではなく、「自らの働きで会社を成長させる」結果として自分の給与を上げるのです。

 ここには大企業にはない可能性とチャンスがあります。非常に多くの社員がいる環境や、少数でも長く続いている会社には、前例によるしがらみや今後の心配があります。たとえあなたが卓越した成果を上げたとしても、1人だけ給与を上げることは難しいのです。しかしベンチャー企業は違います。給与水準を決める前例はないので、自分たちが水準を作っていくのです。また、中途採用の多いベンチャー企業では、年齢や社会人歴で判断されません。誰が何をしたのか、だけで決まるのです。

◆ チャンスです

 世の中にはたくさんの企業がありますが、実際に「自分が入りたいと思える企業」となるとかなり数が限られてきます。転職活動中に「この企業いいかも」と思った企業があって、面接が進んでいったとすると、それはかなりの幸運です。なぜなら、相手もあなたのことをよい人材と思ってくれたからです。このような出会いはそうそうあるものではありません。

 ベンチャー企業は企業としての成長スピードが早いのですが、それは人材の成長も加速させます。ベンチャー企業で働くということは、自分の社会人としての成長、エンジニアとしての成長を加速させる千載一遇のチャンスだと考えてください。

 面接が進んで転職が具体的になった時に転職後の生活を想像してあわてないでください。上記に挙げたようなことをあらかじめ検討して、面接に受かった企業に飛び込んでみましょう。

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