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和文英訳で思った日本語の文章力

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 最近、和文英訳を依頼されることが増えてきました。翻訳に当たって原文(日本語)を解釈するわけですが、その時点で悩んでしまうことが少なくありません。理由を挙げると、以下のようになると思います。

  1. 主語がない
  2. 文が長い
  3. パラグラフライティングしていない

■主語の省略は日本の文化

 英文と同様に和文でも主語を入れると「私が、私が」となって、非常に自己顕示欲が強い人のように感じられます。このことは、何かの文章を逐語的に訳してみると実感していただけるでしょう。したがって、主語が書き手である場合には、主語が省略されることが多くなると思います。

 主語がないことのもうひとつの理由は、高度に文脈に依存した会話が好まれるからです。わかりきったことを言うとくどいと受け止められれ、聞き手に「皆まで言うな」と言われるでしょう。

 したがって、主語の省略は日本の文化と言えると考えます。より正確には、日本において日本語でコミュニケーションを行う場合のお作法と言うべきかもしれません。

■格調高く書くと文が長くなる

 英語でもそうですが、あまり短い文は稚拙に感じられます。短い文を単純に並べると文同士の関係がわかりづらいので接続詞でつなぐことになりますが、やたらに接続詞が多い文章も印象がよくありません。

 そのため、そこそこ格調高く書こうとすると、ある程度文が長くなるのは半ば必然であると思われます。

■パラグラフライティングを教わらない

 英訳を頼まれる文章に限らず、筆者がふだん目にする文章は、パラグラフライティングしていないものが大半です。

 学校でも社会に出てからも、パラグラフライティングを教わった人は少ないと思われます。知らないものは実践しようがないので、必然的にパラグラフライティングしていない文章が多くなるのでしょう。

■そうしてでき上がった文章は...

 ここまでお読みいただいて「主語がなくとも、文が長くとも、パラグラフライティングしていなくてもいいじゃないか」とおっしゃる方がいらっしゃるかもしれません。これに当てはまっていても、わかりやすい文章が書けているならよいと思います。

 しかし、主語がなく、文が長くて、パラグラフライティングしていない文章は、解釈が困難になることが非常に多いと思います。

 短い文で、前後の文脈があれば、主語がなくともわかります。しかし、文が長くなってくると、文脈から推定され得る主語が複数になり、解釈しづらくなります。

 係り受けがわかりづらくとも、きちんと書かれているなら、時間をかければ解釈できます。しかし、文頭と文末が呼応していなかったり、1文の中で関係がねじれていたりすることが多いので、解釈できない場合も少なからずあります。

■英文にしてみようと考えることの効果

 英文にすることを考えると、主語、冠詞の使い分けと名詞の単複、関係代名詞の使い分け(限定用法、継続用法)、時制など、日本語では曖昧にしていたところを明確にせざるを得ないので、もとの日本語が明確になってきます。

 ただ、前述の通り、文脈から明らかな主語を殊更に書くと、くどかったり嫌味な感じがしたりするので、適宜調整が必要だと思います。

Comment(2)

コメント

Gaudi

冒頭1.2.3のご指摘全くその通りと考えています。
少なくとも、主語の存在、係り受けを意識した文章を書ける人は仕事も段取り良くスムーズかつクイックに進めることが可能な資質をお持ちの印象を受けます。
天才的な方々は文書化など関係なく具現化して終いますが、冗長な文章を書く方は実務面でも関連する業務担当からの受けが良くないように感じます。
従って、表現力の乏しいエンジニアは業務処理も決して高くない。と言うのが私の結論です。
すみません、論旨とズレました。海外駐在勤務中のグチでした。

中津山 恒

Gaudi様
コメントいただき、ありがとうございました。
しっかりした文章を書くには、主張したい内容を煮詰め、他人に明確に伝わるように工夫することが必要なので、文章力と仕事の段取りの巧拙には関連があるように感じられます。
海外駐在は何かと気苦労が多いかとお察しします。
どうぞご自愛ください。

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