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(番外編)週末のアクセスランキング戦線は異状あり

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 今回のタイトルに「番外編」とある理由は、ガジェットにも英語にも触れていないからです。(すみません。)

 筆者はランキングをあまり気にしないようにしていますが、アクセス数は気にかけています。コラムを書く以上は、やはり読んでいただいてナンボの世界ですから。

 さて、1週間前のデータですが、4月6日(日)のアクセスランキングは以下のようになっていました。平日のランキングとはかなり様子が違います。

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■週末は古い記事が多数ランクイン

 平日との違いは、最新でない記事が多数ランクインしていることです。中でも、2位の2011年10月12日、5位の2010年5月12日 、9位の2011年3月30日は、とくに古い記事です。

 筆者の記事も6位と10位に2つランクインしましたが、それぞれ2月10日と3月17日に公開したものです。いずれも週末にアクセスが増えている訳ではなく、コンスタントに読んでいただいています。週末は突出したアクセスの記事が減るために、これらがランクインしているという構図です。

■タイトルの「異状」は「異常」とすべきではないか?

 今回のコラムのタイトルは「西部戦線異状なし」をもじったものです。筆者はこの映画を観た覚えがありませんが、「異常」ではなく「異状」なのが妙に記憶に残っています。

 「異常」に対応する英語は“unusual”や“abnormal”で、「異状」の方は“something wrong”です。国語辞典を引くと「いつもと異なる」という意味が基本で、違いが見えにくい説明が少なくありません。しかし、和英辞典で上記のように説明されていれば、意味の違いは明確です。しっかりした和英辞典は、日本語の推敲にも役立つと言えそうです。

■「戦線は異状あり」の助詞が「に」だったら?

 「週末のアクセスランキング戦線『は』異状あり」の場合、平日を含めた戦線のいつもの状態に照らして「週末『は』様子が異なる」という意味になるでしょう。これが「戦線『に』異状あり」だったら、比較対象が「いつもの週末の戦線」で、「今週末はいつもと違った」という意味合いになるでしょう。

■神は細部に宿る

 こういう細かいことを言っていると、「それで一体、何が言いたいのか?」と聞かれそうです。「神は細部に宿る」と言いますが、こういうところまで気を配らないと意味が通じないということです。

 「通じない」は言い過ぎで、せいぜい「通じにくい」ではないか?と言われるかもしれませんが、ひとつひとつの積み重ねで、コミュニケーションの成否が決まると思います。行間を読むようなことを受け手に強いると、結局は通じないと思うのです。

 今から20年近く前になりますが、口の悪い先輩から、「問題解決のフレーム(このときはQCストーリーの枠組み)に沿って、バカでも分かるように説明しろ」と言われたことがあります。ひとつひとつ丁寧に説明しないと結局伝わらない、言い換えれば、伝えるためにはひとつひとつ丁寧に説明する必要がある、というアドバイスです。

 英語はまして外国語ですから、書くとき、あるいは読むときにも、こうした違いに留意した方がよいと思います(しかし、副作用もあって、他人様の訳が気に入らないだけでなく、自分の訳も気に入らないため、どんどん時間が経ってしまいます。また、あまり悩むと、昔懐かしい地下鉄漫才のように「考えると夜も眠れなくなっちゃう」という問題もありますが...)。

■消費されるコンテンツ

 壁画さんことAnubisさんのコラム「あべっかんさんのコラムを掘り起こして絡んでみる。」に、以下のようにあります。

コラムを書いていると、話題の切り替えの素早さに驚嘆する。週に何本もコラムが執筆され、一週間もするとトップページから消えて読まれなくなる。思えばものすごい勢いで消費されているものだ。まさに情報化社会というのを体感する。

 コラムを書いている筆者としては、できるだけ長く読んでいただきたいと思います。だからこそ、一般性のないバッドノウハウは取り上げたくないのですが、たくさん読んでいただけるのは、皆さんがお困りのことに対するバッドノウハウだったりします。長く、多く読んでいただけるコラムを書くのは、なかなか難しいものです。週末限定とは言え、何度もランクインする記事が書けたことを喜ぶべきなのかもしれません。

 ゆんろん様から「異状は単にいつもと違うことで、異常はいつもの状態からかなりかけ離れていることをさすのではないか」とご意見をいただきました。

 実は私も長年そう思っていたのですが、今回、国語辞典と和英辞典を調べた結果は、コラムに書いた通りでした。これには正直言って、驚きました。

 国語辞典は大辞泉と大辞林、和英辞典はウィズダムです。大辞泉では「異常」「異状」とも平常と異なるという意味で、大辞林でも第一義は同じです。大辞林の「異常」の解説には、
 異常:いつもと異なる
 異状:普通と違った悪い状態
とあります。

 コメントをいただいて改めて調べたところ、大辞林と同じ角川の類語新辞典には、「異常」の解説に正反対の記述がありました。
 異常:どこか健全でないという評価が伴うようだ
 異状:普通と違っているということにとどまる

 したがって、本文の記述内容とは異なり、本コラムのタイトルも「異状」でよいという立場もあります。

 ご指摘いただいた、ゆんろん様、ありがとうございました。

Comment(4)

コメント

ゆんろん

原作小説の題は、Im Westen nichts Neues で、戦線が膠着しているために、以前と変わらず特段の報告すべき件はない、という意味ですよね。異常ではなく、異状でないといけないと思います。

中津山 恒

ゆんろんさん、
コメント、ありがとうございます。

Im Westen nichts NeuesはNo News from the Westというようなニュアンスで、ご指摘のように「報告すべき特段の情報はない」という意味だと思います。
ただ、そうなると、
 いつもと変わらない→異常ない
でも妥当だと思います。
「異状」はsomething wrongなので、邦画のタイトルは、戦場という文脈での解釈だと思います。
ちなみに、映画の原題は"All Quiet on the Western Front"とのことで、「いつもと変わらない」というニュアンスがより強いように思います。

ゆんろん

異状と異常を比較すると、異状の方がニュートラルに普段と違うことを指し、異常は、起こるべきでないこと、明らかに基準を外れたこと、が起こっている、というニュアンスが強いように思います。その点を強調するなら、異状は、something different、異常は、something abnormal という感じではないでしょうか。いつもと違っていても、許容できる内容だったら、異常ではないのでは? と思います。

中津山 恒

ゆんろんさん、
再度のコメント、ありがとうございました。

実は私も長年そう思っていたのですが、今回、国語辞典と和英辞典を調べた結果は、コラムに書いた通りでした。これには正直言って、驚きました。

国語辞典は大辞泉と大辞林、和英辞典はウィズダムです。大辞泉では「異常」「異状」とも平常と異なるという意味で、大辞林でも第一義は同じです。大辞林の「異常」の解説には、
 異常:いつもと異なる
 異状:普通と違った悪い状態
とあります。

ところが、大辞林と同じ角川の類語新辞典には、「異常」の解説に正反対の記述があります。
 異常:どこか健全でないという評価が伴うようだ
 異状:普通と違っているということにとどまる
(あまり解説らしくないですね。)

繰り返しになりますが、私が長年思っていた理解は、こちらでした。

なお、abnormalも第一義は普通と違うという意味合いで、extraordinaryやexceptionalというニュアンスは二義的でした。(ただ、好ましくないというニュアンスの解説が多く見られます。)
こちらは、Merriam-Webster、Oxford Advanced Learner's Dictionary、Collins COBUILD、Dictionary.comで調べました。

後ほど、コラムに追記しておきます。
再度のご指摘、ありがとうございました。

中津山

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