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BUG026 - アメリカ株の最高値を支え続けるITエンジニアたちの確定拠出型年金制度

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 日本でもiDeCoという変な名称で今年1月から始まった確定拠出型年金制度ですが、皆さんはもう始めましたか?今日は趣向を変えて本家アメリカの確定拠出型年金制度、通称401kプランについて副業でファイナンシャルプランナーを目指す私、@elcaminoreal255がお話しします。

ITエンジニアに退職金はない


 アメリカにも2000年ころまで日本のような退職金制度や企業年金制度があったのですが徐々に廃止になり、多くの企業ではその代わりに401kという制度が導入されるようになりました。401kは簡単にいうと在職中に自己責任で退職金を積立&運用するシステムです。従って退職時に会社からもらえる退職金はゼロです、$1も出ません。ちなみに国民年金の支給は日本より遅く67歳からですが、これも日本と同様に遠い将来なんてどうなるか分かりませんので、必然的に自己責任な401kでの運用に熱が入ります。

確定拠出型年金とは何でしょう?


 確定拠出型、難しい名前ですが、要は自分で決めた(確定した)金額を積み立てる(拠出する)ということです。そのために国は税金を優遇したり、会社がおまけで積み立ててくれる、という制度です。この制度は会社が提供するものですが、加入するかどうかはまったく個人の任意ですので、気に入らない人は加入する義務はありません。

 仕組みは簡単です。給料日ごとに事前に自分が決めておいた割合 ― 給料の何%かを401k口座に天引きして積立てます。だいたい普通10%前後かと思います。そして会社はおまけでいくらかの金額をその口座に追加で積立ててくれます。多くの企業では給料の3~6%程度のようです。この会社分が退職金に相当します。このお金は証券会社の特別な専用の口座に積み立てられますが、原則として59歳6ヶ月(なんでこんな中途半端なのか分かりませんが)まで一切引き出すことはできません。

ダブルの税金優遇処置


 積み立てたお金は、毎年の確定申告時に収入から控除できます。現在は一年あたりの限度額が$18000なので、所得税が25%で州税が9%の場合、$18000 x 34%でなんと約$6000もの節税効果があります。しかもさらにこの口座内で得た運用益や利子はすべて非課税です。しかしやがて59歳半を過ぎ退職してこの口座から引き出すときには通常の税金が課税されます。それでもそのころには現役バリバリのときよりは収入がずっと減っているはずなので税額はだいぶ減ることになります。

どうやって運用する?


 ここが難しいところですが、401k口座に積み立てたお金は個人が自分の責任で運用しなければいけません。運用は証券会社が扱うあらゆる金融商品、つまり株や国債や投資信託やETFなどを自由に組み合わせて購入するのですが、嫌ならただ貯金するだけでも構いません。ただし、日本と違って確実なインフレ社会なので、何も考えずに定期預金にしておけばみるみるうちに老後の資産は目減りしてしまいます。多くの企業では通常の投資信託よりわかりやすくすこし有利なプラン、たとえば「2030年退職予定の方向けお任せファンド」といったものを提供しているので、面倒ならそのまま適当に選んでしまっても構いません。

401kこそがアメリカ株の原動力


 日本と同じようにアメリカも将来、年金が本当にもらえるのかどうか実際誰も分かりません。まして退職金ですら自己責任で運用しなければいけないのですから、運用熱もあがるってものです。自然と毎日の株式市場のニュースが気になりますし、職場の雑談にも株の話が多かったりします。ちなみにNY市場の取引が終わる東部時間午後4時はカリフォルニア時間で午後1時なのでちょうど昼飯どきのいい話題になります。

 全米の労働者の給与から給料日毎に膨大な老後資金が天引きされて証券会社の口座に振り込まれ、その大半はアメリカ株の「お任せファンド」に自動的に投入されるのですから、そりゃぁ株も上がり続けるわけです。これこそがアメリカ株が上がり続ける最大の原動力です。株が上がってるうちは老後に安心感が出て、今年の夏休みはどこへ行こうか新車でも買おうかってなってさらに景気がよくなりますが、下がりだしたらその正反対ですけどね。

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