シリコンバレーで現役デバッガやってます。

BUG025 - シリコンバレー式!今すぐ生産性を3倍に上げる7つのメソッド、じゃなくてカラクリ七箇条!

»

 こんにちわ。@elcaminoreal255です。前回お話した通り、ある国の生産性という指標は、その国のGDP÷総労働投入量ということでした。ざっくりひとつの会社に当てはめるなら、売上÷全社員の労働時間、さらに一人の社員であれば、自分の総報酬÷自分の総労働時間ということであって、自分がいかに効率よくサクサク働くかということは(給与と労働時間が変わらない限り)生産性という数値の向上には何ら関係ないということでした。

生産性が3倍でもリッチな生活は送れない


 この生産性の分子の方、つまり個人であれば総報酬ですが、ウソかホントかシリコンバレーのITエンジニアの報酬はどの年齢層をとってもだいたい日本の約3倍と言われます。ということは、つまり分母が同じならこれだけで生産性の数値は3倍なのです。しかし家賃も物価も同じように3倍なので、生産性が3倍になっても実はお世辞にも3倍リッチな生活は送れないのです。結局こういった数値は物価次第なのです。日本は20年以上もデフレ下にあるので致し方ないことでもありますが、これはまた別に書きます。

 では次に分母に行きます。分母を減らすことによっても生産性の数値は当然大きくできます。要は分母=総労働時間を1分でも1秒でも減らして早く退社してしまうことです。なぜシリコンバレーの生産性が3倍なのか。それでは7つのメソッドじゃなくて、カラクリ七箇条、行ってみましょう!

その一、他人のことはまるで気にしない


 一つ目。誰もが他人のことを気にしません。自分の仕事だけこなしてそれが終わればとっとと帰ってしまう人が普通です。冷酷、に聞こえますが、そうではなくて他人の縄張りは良くも悪くも気にしない、という鈍感な感覚が肝要です。開発チームはテストに、テストはリリースに、そしてリリースはカスタマエンジニアリング(=客先対応SE)に、それぞれ自分の仕事が終われば次々投げてさっさと帰ります。なんと・・・効率的なのでしょう。言い換えると、プロジェクトをまとめるマネージャはそういった連中をまとめあげる強力なリーダーシップと微妙なサジ加減が求められます。

その二、電話に出ない


 これは私がアメリカで働きだして最初の頃、本当にショックでした。例えばあなたが同僚の席で同僚と書類を広げて打ち合わせをしているとしましょう。突然、同僚の机の上の電話が鳴るとします。すると同僚は電話の液晶に表示される発信者の名前を横目にチラっと見て、なんと無視。そのまま打ち合わせを続行します。かけてきた相手は居留守かよ?と思いながらもしかたなく要件を留守電に入れるしかありません。気の利いたシステムだと、ご丁寧に留守電がテキストに変換されてeメールで届きますので、打ち合わせが終わると同僚はおもむろにこのeメールに返信します。なんと・・・効率的なのでしょう。まさに生産性UP間違いなしです。私はこれを見て初めて、eメールというのは郵便が進化したのではなく、留守電(=ボイスメール)が進化したモノなのだと実感したものです。

その三、会議に行かない


 出ないじゃなくて行かない、です。アメリカのオフィスの会議室には必ずど真ん中にスピーカーフォンがあります。建前上、これは遠方の客先や支社の人に電話回線を通じて会議に参加してもらうためですが、在宅勤務中の人が会議に参加するのはいいとして、そうかと思ったら同じフロアの会議室のすぐ横の席に座ってる社員がヘッドフォンをつけて壁越しに会議に参加してたりするじゃないですか。当の本人は急ぎの仕事をやらなきゃいけないとか、要するにこの会議のプライオリティは低いな、と決めたらリモートで参加することにしているようです。自分がしゃべるときだけしゃべってあとは聞き流しながら自分の仕事に集中。なんと・・・効率的なのでしょう。そりゃ生産性も上がるはずです。

その四、昼飯は外に行かない


 たまにオシャレなレストランでのランチどころか、ちょっと近所のコンビニですらクルマに乗らないと行けないくらいシリコンバレーは超不便なクルマ社会です。いちいちオフィスの外に出て渋滞にハマって時間を浪費するなんて最悪の生産性阻害要因です。会社に無料でも有料でも社員食堂があればマシですが、なければ家から弁当を持参するのが一番の時間の節約です。シリコンバレーでの生産性UPには毎日の地道な弁当作りが欠かせません。外にランチに行くのは同僚が辞めた時の送別会だけだと割り切りましょう。

その五、そもそも昼休みがない


 そもそもアメリカのオフィスには昼休みもなければ昼休みのチャイムなんてものもありません。私なんていまだに日本の感覚が抜けず、午後1時過ぎにオフィスの外にいたりすると罪悪感にかられるのですが、そういう心配は無用です。そして昼イチ1時のミーティング、社員食堂のインドカレーをお持ち帰りしてそのまま会議室で会議中に堂々と食べるのはどうかと。どうしても時間がなくて仕方ないなら百歩譲って分かりますよ、でもデザートのティラミスまでちゃっかり持ち込んで食べるのは止めましょうよ。そりゃ糖分補給でアタマも冴えて効率UPでしょうけど、どっかに最低限のモラルってのも必要でしょう。

その六、出張に行かない


 サラリーマンにとって出張は多すぎても疲れますが、たまにはオフィスを離れて知らない街で支店の人と飯を食ったり、一人で地元の酒を飲んだり息抜きにもなるものです。会社側としては出張旅費を削減したいところですが、人件費の高い企業では経費削減のためではなく、貴重な社員の時間を無駄にさせないために出張を徹底的に削減します。チャットやビデオでの会議を奨励して高給取りの社員ほど出張には行かせないのです。株主総会ですら電話で済ませるアメリカ社会です。費用対効果の薄い無意味な出張ばかりでは、私の時間は飛行機の運賃ほどの価値はありません、と公言しているようなものです。海外出張のたびに空港のゴールド会員専用ラウンジやビジネスクラスで自撮り写真をSNSにあげるのはほどほどにしていただきたいものです。

その七、積んであるドーナツは社員のためではない


 私が日本で新入社員として働いていた頃は、始業前に先輩社員全員の机を拭いたり、お茶を沸かしたり、年末には全員で大掃除をしたりしたものでした。業務以外にも職場環境の改善だとか組合だとか勉強会だとか、いろいろと効果に疑問を持ちながらも拘束された時間があったものです。それがどうでしょう。アメリカでは小学校ですら掃除は清掃業者、給食の配膳は給食業者がやるものですから、まして生産性UPを謳う企業は業務以外の拘束時間をとことんゼロまで削ります。3時のお菓子を買いに行く時間すら暇があったら仕事しろと、だからドーナツがタダで積んであるのです。ドーナツは社員の福利厚生のためではなく会社の人件費削減の方策だったのです。そりゃ、生産性UPなはずです。

 さて、カラクリ七箇条いかがでしたでしょう。今すぐ実践できそうなものはあるでしょうか?そりゃここまで徹底すればオフィスにいる時間は減らせると思いますが、日本人的にはちょっとどうよ、ということもあるんじゃないでしょうか。もう長いことこんな職場で働いている私ですら時々、ちょっとやりすぎじゃね、と思うことだってあります。それで生産性UPって言われてもどうでしょうかね。

Comment(5)

コメント

匿名

へぇ!ドーナツが置いてあるのは、警察署だけだと勝手に思い込んでいたのでいたく感動しました。

Kinpira

私も、最初は違和感があったけど、慣れました。
大学は、もろこの手を行っています。授業も、日本の4-5倍、これが、アメリカです。

Anubis

日本には、ドーナツではなくオフィス・グリコがある!

elcaminoreal255

生産性UPのためにぜひオフィスグリコ会社負担化運動をしましょう。

コメントを投稿する