意識改革と組織変革のプロセスデザイン

 前回のコラム(2012年1月)からだいぶ、時間が開いてしまいました。

 それから今まで何をしていたかと言うと、決してサボっていたわけではありません。多少、仕事が立て込んでいたこともありますが、2月以降、新たに連載記事(文末参照)が増えたこともあり、時間が取れずでした。

 そんなブランクはさておき、今回は「組織変革のプロセスデザイン」についてお話します。本読者に多いであろうITエンジニアの方も上級SEやPMなど経験を積むにつれて、メンバーへの動機づけや、さまざまな調整業務が入ってくることでしょう。

 今回お話しすることは、我々のような業務やプロセス系コンサルタントだけでなく、組織や人を動かし変革を促すプロセスをどう設計するかの基礎の領域です。この分野は、学術的には幅も広く奥も深いので、全貌をお伝えすることは至難の業なので、大まかな流れをつかんでいただければ十分かと思います。組織という言葉が何度も出てきますが、プロジェクトのメンバー、自部門の同僚をイメージしてもらうと分かりやすいでしょう。

■イマイチ分からない……「意識改革」

 組織は個の集まりで、個は個人です。一般には組織を変えるためには、まずは個人からとなりがちです。言い換えれば、個人が変われば組織が変わるという理屈です。

 したがって、「まずは個人の意識改革が必要だ!」と企業や組織の中では叫ばれます。それでいて、実のところは「意識改革って具体的にどうすればいいの?」「意識が変わり、何がどう変わるのか?」と現場はほとんどわかっていないことも少なくありません。

 それに、「意識改革が必要だ」と声高々に叫んでいる人に対して、「意識改革が必要なのはアンタだよ……」と思っている部下やメンバーも多いのではないでしょうか?

■意識改革と組織風土改革は違う

 図1をご覧ください。意識改革と組織改革の違いについて示しています。

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 この図では「組織風土改革」と書いているように、働きかけをする対象が「個人を取り巻く環境」と書いていることにご注意ください。それぞれの違いは図中をご覧ください。

 意識改革は「しないよりもしたほうがいい」ことですが、おおよそアプローチとしては、「○×しなければならない」というような危機感をあおるような類です。

 「やばいなぁ、何とかしなくちゃ!」という前向きの意識に変わることと、「意識を変えろ!」と言われるほど、具体的に何をどう変えれば良いのかわからない。“意識を変えたくとも変えられない”こともある後者に対して、危機感をあおっても逆効果です。

 組織風土改革では、"変えたくても変えられない"要因を取り除くことから始めます。この要因は、個人の価値観・人間同士の牽制関係・自発性などです。

 意識改革と組織風土改革の違いがイメージできたでしょうか?

■変革は電子レンジの“解凍”?

 組織への働きかけは実にセンシティブです。組織が硬直化していればなおさらです。

 硬直化した組織においては、一気に変革を行おうとすると拒絶反応が出て、組織は壊れてしまいます。しかし、ほったらかしのままで組織が変わることはなかなかないので、外から刺激を与えてやることが必要となります。

 図2をご覧ください。組織変革の3つのステップを示しています。

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 第1段階では、「変革の必要性の認識」を与えます。これが外からの刺激であるキッカケになります。この時、若干の危機感を入れる場合もありますが、メンバーに若手が多い時には、危機感よりも将来展望などの希望を持たせたほうが良いでしょう。

 この第1段階を「解凍」と呼びます。あたかも電子レンジで食品を解凍するようですが、この最初のステップが肝心なのです。

■わざと組織を不安定にする

 解凍段階で外から与えた刺激、すなわち、「変革の必要性」のキッカケによって、組織は意図的に発生させた“ゆらぎ状態”になります。この状態は組織としては“不安定状態”です。

 一般的な組織論では、不安定な組織ほど発展・成長を遂げます。わかりやすく言えば、できあがってしまった組織と異なり、不安定な組織は不完全でもあるので、組織自身に伸びしろがあるからです。ここに自発性の芽が生まれ、先の組織風土改革で述べた「関係性」の環境が整うと、新しいことにチャレンジをする第2段階、第3段階へと進んでいきます。

 今回は詳細は割愛しますが、次回以降に少し具体的なお話をします。

■次回予告

 「変革のレバレッジ」とどのようにかけるか? をお伝えします。

■おまけ

(1)アイティメディア 「EE Times Japan」(2012年4月~連載中)

 「いまどきエンジニアの育て方」

(2)月刊総務オンライン(2012年2月~連載中)

 「業績に効果が出る新しい組織風土改革の進め方」

(3)技術評論社 「gihyo.jp」(2011年6月~連載中)

 「無関心な現場で始める業務改善」

コラムニスト:世古 雅人

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コラムニスト プロフィール

カレンコンサルティング
世古雅人&渡邊清香
株式会社カレンコンサルティング
代表取締役、取締役
開発・技術から組織・人事まで、「やらせ・やらされの改革」ではなく社員の主体性を引出していく、現場と経営を巻き込んだ「プロセス共有型」のコンサルティングスタイルで進めていきます。
著書「上流モデリングによる業務改善手法入門」(技術評論社)

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