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第351回 認知の歪み

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 最近、仕事をしていると、たまに「言った言わない」の話になることがあります。ただ、それもある特定の人だけに言われるので、単なる認識のズレ程度かなと特段意識をしていませんでした。

 しかし、どうもその人からすると何度もそういったことになっているらしいので、私も気に留めるようになりました。そうするとあることに気づきました。それは、私自身に対する自戒の意味もあるのですが、今回はこのことについて書きたいと思います。

■資料の準備、どうなってますか?

 その方とは研修を組んで行うことがあり、結構頻繁にやり取りをさせてもらっています。ただ、その方と私とでは準備に対する考え方が違っていることもあり、たまに衝突(というほどのものでもないですが)がありました。

 例えば、私は予めいろんなことを想定し、事前にできる限りのことを準備しておきたいタイプなのですが、その方はある程度の準備さえしておけば、当日起こるイレギュラー対応などはその場で対応できるようにしておけばよいという考えの元で準備をされていました。そのため、最初は私もその方と会話をするようにしていたのですが、その方からしてみれば私の言わんとすることが理解しづらいようで、伝えてもあまり理解してもらえていないことが分かってきました。

 そこで、準備などのやり方についてはその方に任せ、私が口を挟まない方がその方も仕事がやりやすいだろうと考え、あるタイミングから準備に関しては一任するようにしました。実際、研修をやると(私から見ると)準備不足な点が目につくのですが、それら当日起こるイレギュラー対応なども含め、すべて任せるようにしていました。

 恐らく、それがその人にとっても私にとっても一番良い方法なのではないかと思っていました。

■原因はどこにあるか?

 しかし、最近その人から「言った言わない」の話が出てくるようになりました。冒頭もお話ししたとおり、最初は気にも留めてなかったのですが、回数が増えてきているので、ちょっとおかしいなと思い、私も気にかけるようにしていました。

 その中で分かってきたこととして、恐らくその人はその時の私に何かしらのことを言われていたようです。また、その人の話の話では、その時の私は話を聞いていたらしいのです。それはその人にとっては事実のようです。しかし、一方で当の私はその人の話を受け取っていません。これがすべて正しいとするならば、考えられることは1つ、単に私がその人の話を右から左に聞き流していると考えるのが妥当です。。。

 つまり、これだけを見ると完全に悪いのは私です(汗)

 しかし、なぜ私はなぜ話を受け取れていなかったのか? 改めてじっくり考えてみたのですが...やっぱり理由が分かりませんでした。

 ここから分かることとして、私はその人と会話をしているにも関わらず、そのことを意識していないのです。その会話の内容がすっぽり抜け落ちているのです。ひょっとしたら、それは私にとって重要な会話ではないという意識が潜在的にあったからかもしれません。なぜ、重要な会話でないと思っていたのか...? 恐らく、原因はその人との価値観の違いから来ているのではないかと思いました。

 研修の準備において、その人と私の価値観は大きく違います。そこに対して今の私は衝突することを選ばず、その人に一任することを選びました。一任するということは、その人が私の考えと違う行動を取ったとしても、私はそれを許容しなければなりません。つまり、それが良いことであろうと嫌なことであろうと、一任した以上、私はそれを受け入れなければならないのです。そうすると、当然私の中に葛藤が起きます。その葛藤をなくすにはどうすればよいか?

 私は意識することを止めてしまいました。

 そうすれば良いも悪いもなくなります。その方が私にとって楽だったのです。

 ひょっとしたらその人との会話の中で、そういった心の動きが潜在的に働いていたのかもしれません。そう考えると、今回のことは私の中ですごく納得ができる出来事になりました。

■認知の歪みを直すには?

 なぜ、このような考えに至ったのか? それは、私が担当させてもらっている研修で受講生さんの発言で気づかされたのです。そのときは「人の話を聴けない人の特徴」を発表してもらっていたのですが、私自身のことを言われているように感じてきたのです。

 ひょっとしたら、私はその人に対して何かしらの思い込みを持っているのかもしれません。勿論、その思い込みには事実も多分にあると思っていますが、事実でないことも交じっているような気もしています。そうした事実でない思い込みは「認知の歪み」と呼ばれます。恐らく、私はその人に認知の歪みを持っていたのでしょう。

 認知の歪みを直すには間違った思い込みであることを理解することから始まり、それを正しい考え方に修正していきます。そのためには、その人とちゃんと向き合い、会話をすることで解決をしていかなければなりません。

 こういった対人関係に起因する出来事は、普段のキャリコンでは多く扱わせていただいているのですが、いざ自分がその状態になっていることに気づくと、こういったことは本当に誰にでも起きることなんだなぁとしみじみ思いました。

 私は完璧な人間などではありませんから、こういった認知の歪みはたくさん持っていると思います。ただ、それが認知の歪みと分かった時には、それを改善していきたいとも思っています。そうすることがキャリコンとしてだけではなく、人として必要なことだと考えているからです。

 人と向き合うことって一見すると簡単なようで、実に奥が深く難しいことですね。。。

Comment(2)

コメント

iso

本来は「認知の歪み」についてのお話なんですが、
私としてはビジネス(社内も含めて)で「言った言わない」で揉める時間も
認知の歪みを持たないように気をつけるために費やすリソースとか
一切合切含めてうざったいしもったいないので、
SEやってン十年経った今は必ず文字で残すようになりましたねぇ。
特に言った言わないで揉めそうなところは、あえて「言っていない」事を
強調して相手に送付します。
それを相手が斜め読みして不都合が起こったところで知ったことではないと。

確実とは思ってるのですが、ドライといえばドライかもしれません。

キャリアコンサルタント高橋

iso様、


コメントありがとうございます。


「言った言わない」についてエビデンスを残すのは自分を守るために必要な事だと思いますし、ビジネスにおいては然りだと思います。なので、ドライだとお考えにならなくてもよいのかな?と思ったりします。。。

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