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第345回 場をつくる「ツカミ」「ナカ」「シメ」

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 研修などにおいて、場の雰囲気というのは研修の成否を分ける重要な要素です。そのため、講師やファシリテーターは場をつくることに気を遣います。こういった場をつくることは研修だけでなくチームビルディングの領域などでも意識される重要な技術です。そこで、今回は場をつくることについて書いてみました。

■「ツカミ」のアイスブレイク

 場をつくる上でよく語られるキーワードにアイスブレイクがあります。アイスブレイクとは氷を砕くという文字のとおり、研修の最初によくある「場の凝り固まった雰囲気」を和らげ、緊張感をほぐし、これから行う研修などを円滑に進めるための手法です。実際、アイスブレイクがうまくいくことで研修自体に勢いがつき、場が盛り上がったことは本当によくあります。

 ただ、アイスブレイクはたくさんの種類があり、私自身も十種類以上のアイスブレイクを使いますが、闇雲に使ってたのでは効果が出ないばかりか、返って場の雰囲気を悪くすることもあります。そのため、アイスブレイクをする際は、実際に自分がアイスブレイクをしてみて効果を確かめておくことが必要です。それを踏まえ、研修の内容、参加者の特徴などを考え、効果性の高いアイスブレイクを選ぶようにしています。

■「ナカ」のティーチングとコーチング

 アイスブレイクは研修の最初に行いますので、研修のツカミをうまく掴むことを狙います。そうして、アイスブレイクがうまく行った後、次に考えることは研修中の振る舞いです。研修の振る舞いは大きく分けてティーチングコーチングに分かれます。

 ティーチング(teaching)は講師やファシリテーターのもつ情報を受講者に伝える方法で、大学の講義などでよく見受けられるケースです。基本的に講師、ファシリテーターから受講者に対し一方通行で行われるため、同じ内容を多くの人に等しく伝えることに適している手法です。

 コーチングは(coaching)は講師やファシリテーターの問いかけによって受講者自らが気づきを促す方法で、こちらはワークショップやワークセッションなどの研修スタイルでよく見受けられるケースです。コーチングの利点は講師やファシリテーターと受講者とのやり取りが行われるため、双方向(インタラクティブ)に研修を進めることができます。その反面、コーチングスキルが多分に求められるため、講師やファシリテーターの技量が求められる方法でもあります。

 こうやってみると、研修においてはティーチングよりコーチングが優れているように思われがちですが、そうではありません。例えば、講演のような大多数に対して話をする場合、どうしてもティーチングにならざるを得ませんが、それでも力のある講師は話だけで場を盛り上げます。話す内容や話し方など、人を惹きつける所作はもはや芸術の域に達している方もおられます。

 また、コーチングにおいても欠点があります。コーチングはどうしても対象者である受講者とのやり取りによって成立するため、他の受講者は講師と受講者のやり取りを見ているだけの状態になるのです。それは、いい方を変えるとティーチングと同じなのです。そのため、コーチングをする場合、対象以外の受講者に対してどう振る舞うかを常に意識しておく必要があります。

 このように、研修中は状況に応じてティーチングやコーチングを使い分けて研修の場をつくり込んで行きます。

■「シメ」のキメ台詞

 そうして、研修も終盤に入り、いよいよ終わりに近づいてきました。ここではこの研修という場をどう締めくくるかについて考えます。

 私の場合、大抵キメ台詞を用意しています。このキメ台詞で伝えることは2つ、「内省」と「活用」です。まず、研修で学んだこと、気づいたことを内省するよう促します。そうすることで、研修の内容を自分自身で整理するのです。ここは一旦トーンを下げ、場を落ち着かせるように振る舞います。そうして、各自の内省の結果を踏まえ、研修を終える今の自分なら何ができるか、何をしたいかといった活用方法を考えてもらいます。こちらは複数(ワークショップであればテーブルごと)に行ってもらい、各自の発表が終わった後、拍手を促すようにして、再度場を盛り上げます。

 そうして、全員の発表が終わった後、気の利いた言葉を投げかけ、盛り上がりの中、研修を終了します。

 こうすることで、研修のイメージを強く焼きつけ、実際の行動に繋げる動機づけを行います。

■日常の仕事でも場づくりを

 こういった場づくりは何も研修だけのモノではありません。

 勿論、研修のやり方のままでは難しいかもしれませんが、少し工夫をすることで、簡単な打ち合わせ、プレゼン、チームビルディングなど普段の仕事においても活用することはできます。ご興味のある方はぜひ試してみてくださいね!

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