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第280回 7つの習慣のススメ5 -第3の習慣「最優先事項を優先する」

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 今回で「7つの習慣のススメ」シリーズも5回目になりました。今回は私的成功最後の習慣である第3の習慣「最優先事項を優先する」をご紹介いたします。

■なぜ、私たちは自分を高める活動ができないのか?

 私たちは仕事にせよプライベートにせよ、自分を高めようとしています。仕事では求められる技術やスキル、コミュニケーション能力、考え方などがあてはまりますし、プライベートでは趣味のスキルや教養などが当てはまるかと思います。しかし、そういった自分を高める活動ってなかなかできない経験ってありませんか?

 なぜ、私たちは自分を高める活動ができないのでしょうか。

 色々な考え方があると思いますが、多くは時間の制約を受けているからではないでしょうか。私たちに与えられた時間は限られています。そのため、物事の優先順位を付けた結果、自分を高める活動が他のことに比べ優先順位が下がってしまったことに原因があるからではないでしょうか。

 そこで、7つの習慣ではこういった時間の使い方を分析するツールとして『時間管理のマトリクス』があります。

■時間管理のマトリクス

 時間管理のマトリクスについては過去のコラムでもご紹介しました。そのときの内容を引用してみます。

すべての仕事を緊急度と重要度の組み合わせて考えてみるとどうなるでしょうか。これは7つの習慣の第3の習慣にある「時間管理のマトリックス」という考え方ですが、すべての仕事を緊急度と重要度で捉えるとことのように分類されます。

緊急度=高い、重要度=高い
緊急度=低い、重要度=高い
緊急度=高い、重要度=低い
緊急度=低い、重要度=低い
 これをそれぞれの領域に分け、「緊急度=高い、重要度=高い」を第1領域(Q1領域)、「緊急度=低い、重要度=高い」を第2領域(Q2領域)、「緊急度=高い、重要度=低い」を第3領域(Q3領域)、「緊急度=低い、重要度=低い」を第4領域(Q4領域)と呼びます。そして、Q1領域を必須の領域、Q2領域を価値の領域、Q3領域を錯覚の領域、Q4領域を無駄の領域と呼んでいます。これらを表で表すとこのようになります。

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 7つの習慣では重要なことにフォーカスし、重要でないことを無くしていくことを勧めています。ここでいう「重要でないこと」とはQ3領域、Q4領域を表しています。そして、この第3の習慣「最重要事項を優先する」の「最重要事項」とはQ2領域のことを表しています

■大きな石

 先ほどのコラムの別の箇所を引用します。

Q2領域は今すぐやる必要はないけれど、必ずやらなければならない仕事です。例えば、未来の仕事に対する準備、人間関係の構築、リスク対策などが考えられます。対して、Q3領域は今すぐやらなければならないけれど、必ずしもやる必要がない仕事です。こちらは、ただ呼ばれるだけの会議、形式ばった仕事などが考えられます。Q3領域の仕事は慣例的に定められている仕事が結構あり、これを重要と錯覚していることがあります。そのため、Q3領域の仕事は見直すことで仕事を減らすことができる領域でもあります。

 つまり、Q2領域とQ3領域では仕事の優先度から考えると「Q2領域>Q3領域」になることが理想です。

 何が私たちにとって最重要事項になり得るのか? それはミッション・ステートメントに基づいた行動です。第2の習慣では私たちの目指したい姿、なりたい自分、到達したい場所をミッション・ステートメントとして表しました。このミッション・ステートメントは私たちの軸になる考え方ですが、それがなくても普段の生活をすることはできます。つまり、重要度は高いですが、緊急度が低いQ2領域の活動なのです。そのため、普段の仕事や生活に忙殺されてくると、少しずつ私たちはミッション・ステートメントから離れた生き方をしてしまいがちになります。そうならないようにするために時間管理のマトリクスがあります。

 このQ2領域の活動を増やすための考え方に「大きな石」があります。例えば、ここにバケツがあるとします。このバケツは私たちの1日の時間を表しています。そして、そのバケツにはたくさんの石が入るようになっています。この石は私たちの普段の活動を表しています。「大きな石」もあれば「小さな石」もあります。ここでいう大きな石はQ2領域の石、小さな石はQ3領域、Q4領域の石だとします。

 先ほどの話で私たちはQ2領域を普段の生活に取り入れたい訳です。そのためには、私たちのバケツに大きな石を入れなければなりません。しかし、小さな石がどんどん入ってしまうと、やがてバケツはいっぱいになり大きな石はどこにも入らなくなります。だから、大きな石は最初に入れなければなりません。最初に大きな石を入れた後、小さな石を入れる。その結果、小さな石はバケツから溢れてしまうかもしれません。しかし小さな石はQ3領域、Q4領域だから入らなくても構わないのです。例えば、目的もなくダラダラ動画を見て過ごす時間はQ4領域です。こういった活動は別に私たちの生活から溢れてしまっても特に大きな影響はないですよね。

■週間計画を立てる

 この考え方を実際に行うには1週間の計画にあらかじめ大きな石(Q2領域)をあてはめてしまえばできます。週の初めにその週に行うQ2領域を1つか2つ程度をスケジューリングしておきます。そうして、後の時間はその時々に応じた活動をすれば、自然と私たちは私たちは最優先事項を優先することができるようになります。

 この大きな石を使った週間計画を私は今でも実践していますが、最初の頃、ある失敗をしました。それは、大きな石が私にとっての大きな石ではなく、組織にとっての大きな石になっていたのです。具体的には「〇〇の資料を作成する」「〇〇さんにプレゼンをする」といった活動を私は大きな石にしていました。これらは私の仕事なので当然やらなければならない仕事ではあるのですが、やってもやっても、私の仕事における状況は改善しないばかりか、仕事がどんどん集中するような状態になってきたのです。それは、私が望んでいる姿ではありませんでした。

 そこで、もう一度最初に立ち返り、誰にとって重要かを考えたところ、これまで大きな石だと考えていた活動は、必ずしも私にとって重要ではないことが多かったのです。このことが分かってから、私は自分にとっての大きな石を探すことにしました。そして、それは自分の作ったミッション・ステートメントに基づいた行動であることが理解できました。ちょうど、第2の習慣は「知的創造」、第3の習慣は「物的創造」を表していることからも、この考え方は間違っていないと思っています。(というか、私にとってはしっくり来ています)

 現在、私は毎週の習慣計画を立てるとき、私のミッション・ステートメントに照らし合わせた大きな石を1つか2つ程度セッティングするようにしています。1つか2つにしているのは、そのときの最優先事項にフォーカスしたいからです。たくさんの大きな石を入れると、何が最優先事項か分からなくなりますし、他の石も入らなくなってしまいます。色々試してみて、私はこのやり方に落ち着きました。


 今回は第3の習慣である「最優先事項を優先する」をご紹介させていただきました。第1の習慣「主体的である」、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」、そして第3の習慣「最優先事項を優先する」を実践することで、私たちは「依存」の状態から「自立」の状態に向かう私的成功を実現することができるようになります。どれも決して難しい内容ではありません。もしやってみようかなぁと思われる内容がありましたら、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

 それでは、次回からは「自立」から「相互依存」に至る公的成功のプロセスを1つずつご紹介いたします。

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