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第266回 やめたいと思ったとき

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 6月も中旬を過ぎ、そろそろ7月になります。ちょうど、新卒社員さんなど4月から新たに仕事を始められた方は3カ月が過ぎようとしています。それぞれの仕事場でそれぞれの経験を積み、いろんな想いに駆られている頃ではないかと思います。私の所にも4月に入社された新卒社員さんの情報がたまに入って来ます。既にバリバリ活躍されている方、現場で和気あいあいと楽しみながら仕事をされている方、現場で悪戦苦闘している方、現場でうまくいかず思い悩んでいる方。一人ひとり社会人として貴重な経験をされているんだなぁと思っていましたが、そんな中、会社を辞めたいと思っている方がいると聞きました。私がその方に対して何かできる訳ではないのですが、今回は私が思ったことを書こうと思います。

■会社、辞めたいです

 その方が会社を辞めたいと思われたのは、入社時にイメージされていたITエンジニアの開発像と、今の仕事内容とがあまりにも違っていたからだそうです。その方はITサービスエンジニア、つまり運用保守のお仕事に就かれたそうですが、そこではルーチンワークが続き、昼夜を問わず3~4交代制でサーバーに張り付いての仕事なのだそうです。そのため、家に帰ってきても変則勤務のため、遊び相手もおらず、ただ帰って寝て、また起きて仕事に行って...の繰り返しだったそうです。

 人それぞれ感じ方や考え方は違うと思いますが、この方にとって、今働いている姿はご自身が想い描かれていたITエンジニア像とはかけ離れていたのでしょう。無限に続くとも思えるルーチンワークの中で、ご自身の存在意義などを考えられたのかもしれません。そうした結果、入社して3カ月を待たず辞めたいという言葉が出てくるようになったのかもしれません。

■辞めたい社員への接し方

 会社は当然この方を引き留めようとしました。お客様に迷惑がかからないように配属ローテーションを工夫したり、メンタルヘルスのケアを行ったり、様々なアプローチをされたようです。その成果もあり、今は辞めたいと口にされることはなくなったそうです。

 退職に関わらず、何かをやめたいと思った場合、2つの選択肢があります。1つはやめるのを思い留まること。私はこの手のタイプですが、「やめる」という選択肢自体をなくしてしまい、それ以外の選択肢でどうするかを考えるようにしています。この考え方のメリットはやめることがないので、良くも悪くも物事を継続できます。このエンジニアライフでのコラムも今年で6年目に入りましたが、その間毎週欠かさずコラムを書かせていただいているのは、やめるという考え方をしていないからだと思っています。

 しかし、誰しもがこのような考え方を持てる訳ではありません。やめるという選択肢をなくすことはそれ相当の苦痛も伴います。そのため、もう1つのやめてしまうという選択肢があります。この考え方のメリットはやめられることで嫌な想い、考え方、環境から切り離されますので、ネガティブな感情に陥っている場合はその気持ちや状態をリセットしやすくなります。反面、1からやり直すというデメリットもあり、これが新卒社員さんの場合、もう一度経験を積み直さなければならないという大きなハンデになってしまう場合があります。

■やめたいと思ったとき

 昔は「1つの会社で最低3年は仕事をしろ! 」のようにいわれることが多かったように思います。私も最初の転職をしようとしたときに同じように言われ、4年間は退職せずに同じ会社で仕事をさせてもらった記憶があります。しかし、今はたくさんの選択肢があり、たくさんの考え方で溢れている時代です。この考え方は少し古くなっているように感じました。

 やめたいと思ったとき、その人の頭の中はやめることのメリットやデメリットがぐるぐる駆け回っています。そうして何日も何日も真剣に思い悩み続けた結果、それでもやめたいと思われたのであれば、私はやめるという選択肢をとっても良いのではないかと思います。

 そうすることで、それまでやってきたことへの「未練」は残るかもしれませんが、やめるという選択をしたことの「後悔」は残らないのではないでしょうか。そして、そう考えることで、次に進もうとするキャリアがあっても良いのではないかと、私は思います。

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