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第248回 パラダイムを変えることの難しさ

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 先日、フランクリンコヴィージャパン社のファシリテータートレーニングに参加してきました。これは『7つの習慣』などフランクリンコヴィージャパン社が提供しているセミナーを実施するライセンスである『公認ファシリテーター(CFといいます)』向けに、CFとしてのスキルをアップさせるためのセミナーで、初めて参加させていただきました。今回はそこで感じたことを書きたいと思います。

■See-Do-Getサイクルとは

 トレーニングの内容は大きく分けて、『継続的に成果を出し続けるファシリテーターに必要なもの』『自分のパラダイムを見直す』の2部構成で行われました。どちらも7つの習慣の考え方をベースに、ワークセッションを行いながら参加者一人ひとりに気づきを与えていくような感じで進んでいきました。今回の参加者は少なかったのですが、その分とても濃いワークになり、私も他のベテランCFさんにビシビシしごいていただきました。。。

 その中で、私が特にハマったのが『自分のパラダイムを見直す』でした。パラダイムとは7つの習慣で使われる言葉で、その人のモノの見方や価値観を表しています。このパラダイムを使った考え方に『See-Do-Getサイクル』というフレームワークがあります。See-Do-Getサイクルとは、

See パラダイム(モノの見方、価値観)

Do 行動

Get 結果

とし、これらがグルグル循環するサイクルのことで、7つの習慣の基礎となる考え方の1つになっています。例えば、部下のことを全く信用しない上司がいたとします。この人のパラダイムはこのようになっていました。

See(パラダイム) 部下は信用できないから、仕事はすべて自分が責任を持たなければならない

 そう考えている上司は、部下に対してこのような行動を取ります。

Do(行動) 部下のやる仕事はすべてチェックし、ミスがないようにしなければならない

 そんな行動を取る上司がいたら、部下はどのような反応をするでしょう。最初は上司の意図を汲みいろいろ動いてくれる部下がいるかもしれません。しかし、上司のパラダイムが変わらなければ、いずれどの部下も上司を信用しなくなるでしょう。そのうち、こんなことをいい出すかもしれません。

 『この人はいつも自分のことを信用してないな。信用してないから、いつも自分の仕事を全部見直してくるのだろう。それだったら、ちゃんとやっても手を抜いても結果は同じじゃないか?

 そうなると、部下はこのような行動を取り出します。

Get(結果) 部下は上司のことが信用せず、手を抜き出す

 そして、このGet(結果)をみた上司は自分のSee(パラダイム)が正しかったことを再確認し、どんどん自分のパラダイムを強めていきます...。これが、See-Do-Getサイクルの考え方です。

■See-Do-Getサイクルを変えるとどうなるか?

 だから、7つの習慣ではSeeにあたるパラダイムを変えること(パラダイムシフト)を勧めています。もし、先ほどの上司がパラダイムをこのように変えたとします。

See(パラダイム) 部下は信用できる人材だ。彼らに任せてもミスはしないはずだ

 このパラダイムから生み出される行動はこのようになります。

Do(行動) 部下の仕事は部下に任せてみよう、彼らの自主性と責任感を信じてやらせてみよう

 上司がこのような行動を取ったら部下はどう感じるでしょうか。すべての部下が同じ行動になるかは分かりませんが、部下は自分の力を発揮しようと仕事を始めます。その結果はこのようになるではないでしょうか。

Get(結果) 部下なりに考え実践した仕事の結果を出す。それは上司の意に沿わない結果かもしれない。しかし、上司がそのことを指摘をしたとしても、部下は信頼できる上司からの指摘を受け入れ、更に良い結果を出してくる

 そして、このGet(結果)をみた上司は更に自分のSee(パラダイム)を強めていく...。だからこそ、パラダイムシフトが重要であると説いており、7つの習慣ではどのようなパラダイムを持つことが効果的な結果に繋がっていくのかを説明しています。

■パラダイムを変えることの難しさ

 今回の『自分のパラダイムを見直す』ではSee-Do-Getサイクルに則り、自分のパラダイムを見直すことを行いました。私も公認ファシリテーターの端くれですから、パラダイムを見直すことに何の異論もありませんし、むしろ積極的にパラダイムシフトはすべきだと思います。

 しかし、目の前に正しいパラダイムがあったとしても、簡単にそこに行きつけないこともあります。人間は正しいか正しくないか、ゼロかイチか、そんなアナログで行動できる生き物でもありません。必ず、何かしらファジー(曖昧)な部分があります。そして、そのファジーな部分にこそ、その人の深層が隠されており、そこをクリアにしない限りパラダイムを見直すことは難しいことを、今回のワークで再認識しました。

 実はこのような考えになったのは、キャリアコンサルティングに起因しています。キャリアコンサルティングでは、必ずその人の想いや意図を汲み取ります。それをしないと、どんなに素晴らしいキャリアデザインをつくったとしても、そこに乗っかることができないからです。その人の不安な気持ち、前に進めない心情、引き返したくなる想い...、そういったパラダイムはそのパラダイムになってしまったきっかけ(原因)があります。それを解決しない限りパラダイムを変えることは到底できません

 7つの習慣は私が知り得る限り、効果的な結果を出すことにおいて、最高の手法の1つだと思います。しかし、それはパラダイムシフトが前提にあり、どうやってその人のパラダイムを変えていくのか、そこに難しさがあります。

 7つの習慣に限らず、すべての研修、セミナー、講演などにいえることだと思いますが、参加者のパラダイムをどうやって変えていくのか、これはファシリテーターにとって大きな課題です。...ので、私なりにいろいろやってみようと思います。その中で効果があったモノについてはこのコラムでも紹介させていただきますね。

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