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第192回 企業内キャリアコンサルンタントに思うこと

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 最近、キャリアコンサルティングに関するご相談をいくつかお受けてしています。その中に企業内にキャリアコンサルタントを導入することに関するお話しがありました。私は企業内キャリアコンサルタントを推進する立場をとっていますので、私なりの意見をお返ししたのですが、今回は企業内におけるキャリアコンサルタントについて、私が思うところを書きたいと思います。

■キャリアコンサルタントが活躍する3つの場

 キャリアコンサルタントが活躍する場は大きく分けて3つあります。1つは学生向け、2つめは求職者向け、そして3つめが企業内社員向けです。

 学生向けのキャリアコンサルタントは、学生が将来働くことについて、自分の思い描くキャリア像を描き、そこに近づくためにどのように考え行動すればよいのかアドバイスやサポートを行います。このタイプのキャリアコンサルタントは主に大学のキャリアセンターに在籍し、就活をしている、もしくはこれから就活を始めようとしている学生に対してキャリアコンサルティングを行います。ときには、卒業後の就職先までサポートする場合もあります。また、大学だけでなく中学校、高校、専門学校などでもキャリアセンターが設置されているケースもあります。

 求職者向けのキャリアコンサルタントは、求職中、在職中に限らず、新しい仕事に就こうと考えている人に対し、将来のキャリアパスを想定した就職や転職のアドバイスやサポートを行います。一般的にはハローワークなどでの求職者支援、転職支援会社(有料人材紹介事業)にて行われるケースが多いようです。

 企業内社員向けのキャリアコンサルタントは、企業内の社員を対象に、その企業の中でキャリアパスを描き、その実現についてアドバイスやサポートを行います。このキャリアコンサルタントは企業内の社員が担当する場合もありますし、外部のキャリアコンサルンタント委託にされる場合もあります。

■それぞれのキャリアコンサルタントに求められる立場(スタンス)の違い

 これら3種類のキャリアコンサルタントはそれぞれ置かれている立場(スタンス)が違います。そのため、求められるキャリアづくりにも違いが出てきます。

 学生向けのキャリアコンサルタントの場合、相談者(この場合は学生)の将来のキャリアづくりに焦点があてられるので、比較的広い視野でキャリアコンサルティングが行われます。ただ、個人的な主観ですが、理系の学生は理系の仕事のように、ある程度その学部や学科の流れを踏襲するケースがあるような気がします。

 求職者向けのキャリアコンサルタントの場合、相談者(この場合は求職者)が一日も早く就職することに焦点があてられるので、比較的これまでの経歴に近いキャリアコンサルティングが行われます。もちろん、そういった場合においても、相談者の志向や適性を見極めた上で、将来のキャリアパスをしっかり考え、その実現に近づけるような就職先を探されているキャリアコンサルタントの方はたくさんおられます。

 企業内社員向けのキャリアコンサルタントの場合、相談者(この場合は社員)が企業の中でステップアップするためのキャリアづくりに焦点があてられるので、かなり狭まった範囲でのキャリアコンサルティングになる傾向があります。そのため、企業内キャリアコンサルタントには相談者の志向や適性と会社の方向性などを合致させるようなキャリアコンサルティングが求められます。

■企業内キャリアコンサルティングに思うこと

 こういった企業内におけるキャリアづくりというのは昔から多くの会社にありましたし、今でもあります。それは、会社の役職、職位をキャリアパスとみなし、そこに昇進、昇格することがその会社におけるキャリアパスに成り得たのです。そのため、上司は部下に対して自分がたどってきたキャリアパスを伝えることで、部下にはそれがキャリアコンサルティングになっていました。

 ただ、それは終身雇用として企業が社員を守ることができた時代の話であり、終身雇用制が崩れかけている現在は、役職や職位をキャリアパスにならない会社が多くなってきているように感じます。

「私は課長や部長といった役職には興味がありません」
「私は技術を突き詰めていきたいです」
「いつか私はこの会社を飛び出して、もっと自分の可能性を探してみたいです」

 このように、現在は一人ひとりの考え方や価値観が多様化しています。しかし、そのような中にあっても社員には長く在籍してもらい、もっともっと活躍してもらいと考えている企業は本当にたくさんあります。そして、そのカギを握るのが、私は企業内キャリアコンサルタントではないかと思っています。

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