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第111回 メンタルヘルスについて考える

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 ITエンジニアの仕事は非常にストレスの高い仕事です。そのため、メンタル不調に陥る方も多くおられます。私はメンタルヘルスに関する研修も行っていますが、今回はこのメンタルヘルスについて考えてみたいと思います。

■体調を壊したときの治し方

 例えば、風邪をひいたとき、私たちは風邪薬を飲み、身体を休め、早く治そうとします。また、体調が酷いときは自ら病院に通います。そして、風邪をひかないように外出時はマスクをし、家に帰ったら手洗いやうがいを慣行します。

 そもそも、私たちはなぜこのような行動を取るのでしょう? それは、風邪をひきたくない、ひいてしまった風邪を一日でも早く治したいからですが、大前提として、私たちが風邪の予防方法、ひいてしまった風邪の治し方を知っているからです。知っているからこそ、こう言った行動を取ることができるのです。

 冒頭にも書きましたが、ITエンジニアの仕事は非常にストレスの高い仕事であり、メンタル不調に陥りやすいことは、ITエンジニアであればほぼ誰でも知っています。それにもかかわらず、心の健康について予防をしたり、メンタル不調になっても治そうとしないITエンジニアが非常に多いように思います。それは、心の健康に対する誤った知識と認識の不足があるからではないかと思います。

■心の健康に対する誤った知識と認識の不足

 心の健康に対する誤った知識とは、心の健康を根性論で考えしまうことです。これは、ストレスを抱えていても頑張れば何とかなる! といった考え方ですが、このような考え方の根底には、メンタル不調は病気ではないといった想いがあるからではないと思います。しかし、メンタル不調は風邪と同じで立派な病気です。この認識がないと、いつまで経っても心の健康というモノに正しく向き合うことはできません。

 心の健康に対する認識の不足とは、メンタル不調を予防する方法と、メンタル不調を治すための知識と方法を知らないことです。私たちが風邪の予防や、風邪を治すための行動を自発的にとることができるのは、風邪に関する知識や対処法を知っているからです。もし、心の健康が病気だと認識していたとしても、その予防法や対処法が分かってなければ、いつまで経っても心の健康から身を守ることができません。

■ストレスとは

 メンタルヘルスにおいて、「ストレスは人生のスパイス」と呼ばれます。これはカナダの生理学者であるハンス・セリエ博士が提唱された考え方ですが、適度なストレスはその人の人生を活性化させる効果があるそうです。そのため、ストレスは悪ではなく、適度にストレスをもつことは私たちにとってプラスになるそうです。

 しかし、このストレスが過剰に私たちの中に取り込まれてくると、身体がストレスに対して何かしらの反応を示すようになります。この反応には、心理的身体的行動的という3つの側面があり、それぞれこのような反応を示します。

  • 心理的反応 … 意欲の低下、イライラ、緊張、不安など
  • 身体的反応 … 内臓の疾患、肩こりや腰痛、食欲不振など
  • 行動的反応 … 作業効率の低下、作業中の事故など

 このようなストレス反応が身体に表れてくるため、ストレスが悪だと捉えられてしまいがちになりますが、これは私たちの身体が過剰にストレスを取り込んでしまっているから起こる反応なのです。

■溜まってしまったストレスを解消するためには

 身体に溜まってしまったストレスは何かしらの方法で減らしていく必要があります。それがストレス解消法です。ストレス解消法といえば、趣味に講じたり、ゆっくり休息したり、好きな人とおしゃべりしたり…と、人によって様々ですが、大切なことはその人に合ったストレス解消法を行う必要があります。そうしてストレスを減らしていくことで、身体の中にあるストレスを適度な量まで抑えることで、ストレスとうまく付き合えるようにするのです。

 大抵の場合はその人に合ったストレス解消法でストレスを減らしていきますが、中にはどうやってもストレスを解消することができない場合があります。そのときは、ひとりで悩まず相談することが大切です。そのときの相談相手は、その人が心から信頼している人が適任ですが、もしいない場合、専門機関を活用してみるのも有効な手段です。

■こころの健康、気づきのヒント集

 今回は心の健康について書かせてもらいましたが、この内容は厚生労働省がまとめた「こころの健康、気づきのヒント集」という冊子から紹介しました。冊子には今回紹介した内容以外にも、ストレスを定量的に測る方法や、ストレス不調になった場合の相談相手である専門機関が細かく紹介されています。興味のあるからは、ぜひご覧になってください。

 ストレスが多い中で働く私たちは、もはや心の健康を無視することはできません。これから先、風邪を自ら予防したり治したりするように、心の健康についても自ら予防したり治したりすることは当たり前の世の中になってくるのではないかと思います。

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