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第109回 商業出版のススメ4 著者校正から出版へ

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 「商業出版のススメ」も4回目となりました。今回は最終回として原稿を執筆してから実際に本が出版される段階をご紹介します。また、これから商業出版に挑戦される方に、今回の商業出版で感じたことを書いてみたいと思います。

■原稿の執筆が終わったら

 原稿を執筆するのが著者の仕事ですが、執筆が終わってからも著者には著者校正という仕事が待っています。一般的に、著者が執筆した原稿がそのまま出版物となるケースは少なく、出版社が原稿を推敲したり、文章の校正を直したりします。その内容が著者の意に沿っているか、また原稿に誤字脱字がないかをチェックするのが著者校正です。

 なぜ、このようなことをするのか? これは編集者の方が仰っていましたが、出版物の著作権が著者に帰属するからだそうです。そのため、あえて著者校正という段階を設け、著者にチェックをする時間を設けているそうです。

 著者校正の期間は書籍によって違いがありますが、一般的には段階的に数回程設けられるそうです。ただ、著者校正は出版間近に行うためそれ程時間が多く取れません。そのため、非常に短い期間で何度も行うことになります。ちなみに、私の場合は合計4回著者校正の機会がありましたが、期間的には2週間弱しかありませんでした。その期間で約200箇所以上の加筆、修正をしましたので、相当忙しかったイメージがあります。

 そうして、この著者校正の仕事が終わると、一応、著者の仕事は終了となります。しかし、出版社はここから出版に向けてたくさんの仕事があります。本や装丁などのデザイン、ISBNコード(国際標準図書番号)の取得、国会図書館への納本準備、紙の本の場合は印刷、電子書籍の場合はファイルの作成など、たくさんの仕事があります。それらの仕事がすべて終わると、ようやく本が出版されます。

■これから商業出版を目指される方へ

 今回、運よく商業出版(企画出版)をさせていただくことができましたが、これから出版を目指される方に商業出版を実現するために気づいたことを最後に書きたいと思います。

  • 筆力を上げること

 出版企画書の作成から原稿の執筆まで、商業出版全般にいえることでしたが、文章を書く力、つまり筆力を上げることが、何より絶対に必要だと感じました。どれだけ魅力的な企画やコンテンツをもっていたとしても、それを文章で表現する能力が低いと、読者に伝えることができません。また、出版社はこの筆力をかなり重要視されているようにも感じました。

 そのため、筆力を上げる訓練は絶対に必要だと思います。具体的には、たくさんの文章を読むこと、そして、実際に文章を書いてみることが最低限必要だと思います。その上で、書いた文章を編集者やライターのような専門家に評価、推敲してもらえるとベストだと思います。

  • 出版企画書を作ることと、本1冊分の原稿を書くこととは全く違うことを理解すること

 これは言葉どおりの意味ですが、出版企画書を先行して書く場合、出版企画書には目次やサンプル原稿を載せているので、それだけで本を書いたような気になってしまいます。しかし、いざ原稿を書く段階になると予め決めていた目次とは違う内容の話が書きたくなったり、思いのほか目次の内容を広げることができなかったりします。

 そのため、出版企画書を書いた後、可能ならば出版社から声がかかっていなくても、先行して原稿を書いておいた方がよいと思いました。

  • 出版には時間がかかるを意識しておくこと

 以前のコラムで、出版企画書を送付した後、数カ月程して連絡があったことを書きましたが、それ以外にも出版社とのやり取りは少し連絡が遅くなることもありました。聞くところによると、こういったこと出版業界にはよくあることで、初めて企画出版をする人はよく心配されるのだそうです。実際には出版社でもいろいろと動きがあるため決して忘れているなどということはないそうです。

 そのため、出版社との付き合いはのんびり構えて待っている位の方がちょうどよいと思いました。

  • 「選ばれる力」を身につけること

 「選ばれる力」は私のコラムにも書いていますし、今回の本にも書きましたが、企画出版は非常に確率の低い出版方法です。そのため、「選ばれる力」のような考え方で長期的に取り組む方が向いていると感じました。私の感覚では企画書の作成から本を出版するまで、約1年くらいかけて取り組むのがちょうどよいように思います。

 さて、最後に宣伝です。この「商業出版のススメ」で紹介した

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