ITエンジニアへの5分間キャリア・コンサルティングやってます!

第103回 キャリアのことを忘れてみる

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こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 以前、キャリア・コンサルティングをしていたとき、キャリアづくりの話になりました。少し興味深い話になったので、今回はキャリアをづくりについて書きたいと思います。

■キャリアってつくり続けるモノですか?

 キャリア・コンサルティングでは相談者が心から目指したいと思えるキャリアを探し、それを実現させるためのキャリアプランをつくります。冒頭の話は、そんなキャリアプランを作り終えたときのことでした。ある相談者の方がこのように話されました。

このキャリアプランが実現できたら、また次のキャリアプランをつくるんですよね? そう考えたら、キャリアづくりってかなり大変ですね

 それに対して、私は、

いえいえ、このキャリアプランが実現できたら、しばらくキャリアのことは忘れて、その仕事に身を任せてみましょう

といったのですが、相談者の方は目を丸くして、頭に「? 」マークがついていました。きっとこの方にとっては、1つのキャリアを実現させたらすぐに次のキャリアをプランをつくり、そこに向かって進んでいくことがキャリアづくりだと思われたのでしょう。だから、「キャリアのことは忘れて、その仕事に身を任せてみましょう」といったことが腑に落ちなかったのかもしれません。

■キャリアづくりのしくみ

 一般的に、キャリアをつくることを「キャリア・デザイン」と呼びます。その反対に、キャリアを意識せず、流れに身を任せて行動することを「キャリア・ドリフト」と呼びます。このキャリア・ドリフトという考え方は、日本におけるキャリア研究の第一人者である神戸大学の神戸大学の金井壽宏教授が提唱されました。キャリアを実現した後、しばらくの間はそのキャリアに身を任せてみることで、その人の中に新しい何かが芽生え、それが新たな想いとして形づくられてきます。それが少しずつ強くなり、もう一度キャリアをつくりたいと思えるようになったら、再びキャリア・デザインの期間に入り、新たなキャリアづくりをしようとするのだそうです。つまり、人生はキャリア・デザインとキャリア・ドリフトの期間が交互にやってくるという考え方です。

■キャリア・ドリフトを大切にしよう!

 キャリアづくりのことを考えると、どうしてもキャリア・デザインにばかり目を向けがちになります。しかし、キャリアをつくるためにはその人の想いが必要になります。その想いをしっかりしたモノにするためにはキャリア・ドリフトの期間が必要なのです。キャリアのことを忘れ、今置かれている状況に身を任せていると、いろいろな体験によって心が育ってきます。嬉しいこと、楽しいこと、辛いこと、悲しいこと、理不尽なこと…、こういったたくさんの想いを経験していくことで、次に何をしたいかという想いが自然に育っていきます。それが、次のキャリアをつくるための大切な想いとなります。

 ですので、キャリアを達成した後はキャリア・ドリフトの期間に入ったと考え、しばらくの間、置かれている状況に身を任せ、たくさんのことを感じてもらうことをお勧めしています。

■商業出版の状況など

 このようなキャリアをつくることについては、ひとりでも行うことができます。これを「セルフ・キャリアプランニング」と呼んでいますが、その具体的な方法は今回私が出版させていただくことになった『ひとりでできる! ITエンジニアのキャリアデザイン術 ~望みをかなえる「壁」の越え方』に詳しく書かせてもらいました。

 この本の出版状況ですが、先週で著者校正が完了し、出版社の方で最終校正の段階に入りました。これが終わると、念校(念のためにもう一度著者校正を行うこと)が入り、原稿はすべて完成となるそうです。

 まだ発売日は決まっていませんが、既にISBNコード(国際標準図書番号:本を特定するための番号のことです)も取得され、発売間近になってきました。発売後は出版社の方で販促PRを企画されているそうですので、もし興味のある方はお読みいただけると嬉しいです♪

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