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第69回 コーチングのススメ2

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 前回よりコーチングについてお話ししています。前回はコーチングについて筆者が思うことを書いてきましたが、今回からは筆者が使っている4Sコーチングについて、具体的な考え方やスキルなど順を追ってご紹介していきたいと思います。

■4Sコーチングとは

 前回のコラムでも書きましたが、筆者はコーチングの技術を修得するまで約1年半かかりました。その後、実際にコーチングを行う中で筆者が使いやすいと思うコーチングの体系を作り上げました。それを4Sコーチングと呼んでいます。

 4Sコーチングではまず最初にコーチングのしくみ(System)がベースにあり、独自の戦略(Strategy)にのっとってコーチングを行います。そして、戦略にのっとってコーチングを行うためには、さまざまなスキル(Skill)を駆使する必要があります。さらに、戦略やスキルを効果的に働かせるためには、考え方(Spirit)が大きく関わってきます。

 このコーチングは、機能(System)、戦略(Strategy)、スキル(Skill)、精神(Spirit)が互いに関連し合うことから、これらの頭文字のSを取って、4つのS、つまり4Sコーチングと名付けています。

4Sコーチングの枠組み(フレームワーク)

  • System(しくみ)…コーチングを効果的に行うための枠組み
  • Spirit(考え方)…コーチングを成功させる上で有効となる考え方
  • Skill(スキル)…コーチングの戦略の成果を具体化させるための技法
  • Strategy(戦略)コーチングを効果的に進めていくための計画

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 今回はこの4つのSからSystem(しくみ)について、ご紹介していきます。

■成功要因(Success Factor)

 コーチングのしくみをお話しする上で必要となる考え方に、成功要因(Success Factor)というものがあります。これは、物事が成功するために必要となる4つの要因のことを指しており、具体的には以下のようなモノがあります。

成功要因(物事が成功するための要因:Success Factor)

  • 目標要因(Goal)…目標が明確になっているか?
  • 環境要因(Environment)…目標を達成させるために必要な環境が整っているか?
  • 方法要因(Method)…目標に到達するための方法を理解しているか?
  • 行動要因(Action)…目標に到達するための行動を起こし、それを継続する能力があるか?

 4Sコーチングでは、物事が成功する場合、この成功要因の全てが満たされている必要があると考えます。逆に、物事が成功しない場合は、この成功要因のいずれか(もしくは複数)が満たされていない場合に起こると考えます。そのため、相手(クライアント)が目標に辿りつこうとする場合、この成功要因のいずれかが満たされていないと仮定し、満たされていない成功要因を探し出し、それを満たすことでクライアントを目標へと導いていくように戦略を立てます。

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■会話とコーチングの関係

 ところで、コーチングというものは、コーチとクライアントとの会話によるコミュニケーションによって行われます。そのため、一見するとただの会話のように思える内容であっても、コーチは「会話」というモノに対して、常にコーチング的なアプローチを行っています。このことを考えるためには、会話という行為を構成している要素を考えなければなりません。

 会話は大きく分けると、「聞く」「話す」という2つの要素に分けられます。さらにいえば、会話を行う人同士にある「」や、会話のテンポを司る「流れ」も要素として考えられそうです。これらをまとめると、会話は以下のような要素から成り立っているといえそうです。

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 つまり、コーチングというものは、これら会話の要素一つひとつに対して独自のアプローチを取りながら、クライアントとコミュニケーションを取る技法なのです。

会話の要素に対するコーチングのアプローチ

  • 聞く…クライアントに有効な話をするために情報を集めること
  • 話す…クライアントに行動や考えを促すこと
  • …コーチングを進める上で適切な会話の場を作り出すこと
  • 流れ…コーチングを進める上で適切な会話の流れをコントロールすること

 ただ、これだけだと少しイメージが湧きづらいと思いますので、一般的な会話とコーチングとの違いを比較してみます。

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 何となく一般的な会話とコーチングの違いがイメージできたでしょうか。イメージしづらかったという方は、前回のコラムの「■コーチングと一般の会話との違い」あたりもあわせて読んでみてください。

 ここでは、コーチングは決してただの会話などではなく、コーチは聞くことや話すこと、コーチとクライアントの場や会話の流れに至るまで意識をしてコーチングを行っているということを覚えておいていただければOKです

OKです:具体的にどのように会話の要素を意識してコーチングを行っているかは、スキル(Skill)編でご紹介します。

 もし、これからコーチングをやってみようという方は、会話の要素を意識しながら会話をしてみてください。これは、やってみると分かりますが、非常に難しいと思います。恐らく、最初はまともに会話すらできないかもしれません。しかし、それでも訓練を重ねることによって、自然に会話の要素を意識しながら会話が行えるようになってきます。筆者はこのような思考状態を「コーチ脳」と呼んでいますが、会話の要素を意識しながら会話を行うことは、コーチングを行う上で必要なコーチ脳を育てることにも役立ちます。

■コーチングのしくみから、コーチングを知る

 今回は4Sコーチングのしくみ(System)の部分についてご紹介しました。4Sコーチングでは、必ず最初にしくみ(System)の部分からお話しするようにしているのですが、これは、これから学ぶコーチングの全体像を把握し、コーチングが成り立つしくみが理解してもらうことを目的としています。こうすることで、その後の学習が取っつきやすくなるようにしています。

 そのため、巷にあるコーチング本などを読まれた方からすると、少し違和感のある内容だったかもしれません。ただ、前回も書きましたが、これは他のコーチングを批判することではありませんので、その点ご理解ください。

 それでは、次回はSpirit(考え方)についてご紹介したいと思います。

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