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第61回 序破急の話し方

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 前回、『人前で話すこと』について書きました。今回は、前回のつづきとして、人を惹きつける話し方について考えてみたいと思います。

■『あの人の話、惹きつけられるわぁ♪』

 どの世界にも、話し方が上手な人はいます。身振り手振りで聞き手に情景をイメージさせながら話をする人、ボソボソと話しながらもグイグイ聞き手を話に引きずり込むような話をする人、たくさんの笑いのネタを取り入れて聞き手の笑いが止まらないような話をする人…、タイプは違えど、どの話し手も上手に聞き手を惹きつけて、決して離そうとはしません。

 筆者も話すことを生業にしている一人です。このような話し手のエキスパートにはなれないまでも、せっかく人前で話すのだから、できることなら聞き手の心をガッチリキャッチした話し方がしたいと常日頃から思っています。そんな筆者の話すレベルはどうなのか? といわれると、正直な所、人を惹きつけるような話し手かどうかは分かりません(汗 ) ただ、筆者の話を聞いていただいた人からは、

『惹きこまれるような話し方だった』

『あっという間の時間だった』

『話が飽きなかった』

といったお声をいただいたこともありますので、ほんのちょっとだけ人を惹きつけるような話し方ができるかな、とは思っています。

ほんのちょっとだけ:本当の本当の本当に『ほんのちょっと』だけです。

■序破急とは

 それでは、筆者が人前で話をするとき、どのような話し方をしてるのかをご紹介します。筆者が人前で話をする際、『序破急』を意識して話をするようにしています。

 『序破急』はヱヴァンゲリヲン新劇場版のタイトルにもなった『序』『破』『Q』の元になった言葉でも有名ですが、600年以上の昔に能の大家である世阿弥によって書かれた『風姿花伝』にその言葉をみることができます。元々は雅楽における楽曲を構成する3つの楽章を表す言葉だったそうですが、現在では、たくさんの意味合いを含んでいます。

    1. 雅楽で楽曲を構成する三つの楽章。初部の『序』は緩徐で拍子に合わず、中間部の『破』は緩徐で拍子に合い、終部の『急』は急速で拍子に合う。
    2. 芸能における速度の3区分。『序』はゆっくり、『破』は中間、『急』は速く。講談などの話のテンポ、邦楽などの演奏のテンポなどにいう。
    3. 芸能における演出上の3区分。『序』は事なくすらすらと、『破』は変化に富ませ、『急』は短く軽快に演ずる。能・舞踊などでいう。
    4. 能や浄瑠璃などで、脚本構成上の3区分。『序』は導入部、『破』は展開部、『急』は結末部。
    5. 能などで、番組編成上の3区分。五番立ての番組で、脇能を『序』、二番・三番・四番目を『破』、五番目を『急』とする。
    6. 連歌・俳諧で、一巻(ひとまき)の運びを規制した形式・原理。『序』は無事に静かに、『破』は曲折に富んでおもしろく、『急』はさらさらと軽くつけ終わるべしとするもの。
    7. すべての物事の、始め・中(なか)・終わり。物事の展開してゆく流れ。『話に―の変化をつける』      ~大辞泉より引用~

 このような『序破急』ですが、筆者はまず話す内容(ネタ)を作るとき、『序』『破』『急』という3つの段階に分けて作るようにしています。

  • 』…話の導入部。これからどのような話をするのかを簡単に説明する部分
  • 』…話の展開部。実際にあった出来事やエピソードなどを紹介する部分
  • 』…話の結論部。この話(ネタ)でいいたかったことを伝える部分

 そうして、この話す内容(ネタ)を人前で話すときは、『序』→『破』→『急』と話が進むにつれて話すスピードや抑揚の幅を意図的に上げるようにします。これは筆者の体感ですが、こうすることで聞き手は少しずつ話に惹きつけられてくるような感じがしています。またその応用技として、『急』の最後で、それまで上がっていたスピードを意図的に落とす(話を数秒止める)ことで、その次に出てくる締めの言葉に重みやインパクトを持たせられるようにも思います。

■話すことの奥深さ

 ここまでの話をすると、何となく話芸の領域になっているような気がしますが、話すということは非常に奥が深いように感じます。実際にテレビなどに出演されている話し手の話を聞くと、本当に洗練されていて、その凄さを体感することがあります。

その凄さ:特に、芸人さんや落語家さんの話し方に凄さを感じます。

 筆者などは話すことについて入口にいるかどうかのレベルですが、少しずつでもこういったスキルを磨き、自分のスキルを高めていきたいと思っています。

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