『深く聴くための本 アサーション・トレーニング』――話を聞けない、言いたいことが言えないループを抜け出す

2011/06/22 17:08:39

深く聴くための本 アサーション・トレーニング 深く聴くための本 アサーション・トレーニング

森川 早苗(著)
日本精神技術研究所
2010年9月
ISBN-10: 4931317162
ISBN-13: 978-4931317161
1575円(税込)

 アサーションとは、リスクを覚悟した上で、話してみるか、話すのをやめるのか、話すとしたら何をどのように話すのか、自分が決めることができるのです。つまり、自分が納得して自分の言動を選ぶかどうかという主体性の問題でもあります。(p.104)

■「新人」から「先輩」になって思うこと

 去年の私は新人でした。その自分が今年、新人研修の世話役を務めました。指導する立場になってあらためて思ったのは、「入社したての新人はなにかと萎縮しがちな存在である」ということです。

 先輩・上司という立場が違う相手に対して、何か思うところがあっても遠慮して言い出せない新人たち……。彼らを見ていて、目上の人に言いたいことを言えず、後悔した新人時代の思い出が蘇ります。また、彼らが言いたいのに言えずにいることを、こちらがうまく引き出せないか、と思う場面が多々ありました。

 「言いたいことを言えない」――この問題を軽減する一助になればと思い、本書を手に取りました。

■アサーションって何だ?

 アサーションとは、「人が生まれながらに持つ自己表現の権利」です。相手の立場も大切にしながら「自分の欲求や意見、気持ち、価値観などを、正直に率直に、その場に適切に表現すること」(p.64)を指します。働く人々が、職場で自分の意思を伝えられず心身を病むことがないよう、メンタルヘルスの予防策として近年、注目されている手法の1つです。

 こんな場面を想定してみましょう。先輩から、来月分の予算見積もりに関する計算を頼まれた新人のAさん。しかし、計算方法を勘違いしており、明らかに異なる数字を先輩に提出してしまいました。

 ミスに気付いたAさんの反応、ミスの指摘にはどのようなものがあり得るでしょうか。想定できる状況をいくつかに分けて、「アサーティヴ」な言い方について理解してみたいと思います。

●アグレッシブ(攻撃的)……自分優先で、他人の存在を軽視した言い方

  • Aさん:「ミスは私のせいじゃありません。先輩の教え方が雑なんです」とふてくされる
    →相手の気分を悪くし、口論になる可能性があります
     
  • 先輩:「なんでこんな簡単なことを間違えるの?」と詰問口調でAさんを叱る
    →Aさんは萎縮して、何も言えなくなるかもしれません

●ノン・アサーティヴ(非主張的・受身的)……自分の言いたいことを抑え、他人を優先した言い方

  • 先輩:「間違いを指摘するのも時間かかるし、言って傷つけるのもなぁ」とミスを自分で直し、Aさんには何も伝えない
     
  • Aさん:ミスの原因は計算式にあるのではないかと気付いたが、指摘すれば逆に先輩を否定するのではないかと思い、何も言い出せない

    →その場は何事もなく収まっても、後日また同じ過ちが起きるかもしれません

●アサーティヴ……自分の言いたいことを伝えつつ、相手の存在も配慮した伝え方

  • 先輩:「私の教え方が良くなかったかもしれないけど、ここは数字がちょっと違うかな。どうやって計算したか教えてもらえる? 正しいやり方をもう一度教えるね」
     
  • Aさん:「私はこう理解したんですが」と、自分の計算プロセスを相手に見えるように伝える。間違いを犯したことをわびつつ、次回同じ過ちを繰り返さないために、正しい計算式を再度教えてもらう

    →お互いの関係を良好なまま保持しつつ、仕事面の失敗もうまくカバーされています。

 やや単純化した形で例を示しましたが、もちろん、正しい対応は上に示した限りではありません。状況や関わる人間の性格によって、伝え方は臨機応変に変える必要があります。

■話の聴き方については教わらないからこそ

 アサーションは<自己表現>に関わる権利であると前述しました。では、本書の副題が「深く聴くための本」となっているのはなぜでしょうか。

 それは、アサーションが自分の主張だけではなく、「相手も大切にする」表現であるためです。相手を尊重するとはすなわち、相手の言いたいことをきちんと「聴く」ことです。アサーションは<言う><聴く>の対で成り立っている――これが、本書の基本的な立場です。

 先ほど、新人を例に出しましたが、実はアサーティヴな表現が求められるのは、上司や先輩の方なのかもしれません。

 考えてみれば、私たちは自分を「伝える」方法を教えてもらうことはあっても、話の「聴きかた」について教えてもらう、または考える機会はなかなかありません。

 「相手がうれしい時の話を聴く」「時間がない時に話を聴く」「会議の席で部下の意見を聴く」など、本書の終わりには、さまざまなシチュエーションでの「聴き方」に関するアドバイスが載っています。各シチュエーションへの対処法はさまざまありますが、そこには共通点があります。それは、「相手の立場になって、相手が感じていることを想像しながら動く」ということ。

 聴き方に正解はありません。著者の言葉を借りれば、「あなたがどうしたいかで決まります」(p.122)。このことを念頭に置きつつ、少しでも相手の気持ちに近づこうとする心掛けが、より良い聴き方を育てるのかもしれません。

■アサーションをする・しないはあなたの自由

 本書を読んでいて、最も気持ちが楽になったのは、次の一節でした。

 「権利を持っているからといって、保証されるわけではありません。また、権利があるからといって、使わなければいけないわけでもありません。(権利を持つとは)『アサーションをしていいよ』ということであり、『アサーションをしない』ということも選べるのです」(p.81)

 そう、アサーションは「義務」ではありません。大切なのは「言う/言わない」「聴く/聴かない」を自分で決められるということなのです。

 自分は何をしたいのか。<したいこと>を口にするかしないか。する、あるいはしないとしたらなぜか。こうした気持ちの1つ1つをきちんと言葉にすることで、自分が他人に対して求めているものを自覚できるようになるかもしれません。これは、仕事に限った話ではありません。人生のさまざまな局面で「アサーション」を意識することで、日々の生活をより良いものにできたらと願っています。

(営業統括部企画推進部 松岡瑛理)

『カウンセリングのすべてがわかる』――目からウロコな「カウンセリング」基礎あれこれ

2011/04/20 17:45:13

カウンセリングのすべてがわかる -カウンセラーが答える本当の心理学- カウンセリングのすべてがわかる -カウンセラーが答える本当の心理学-

石村郁夫、羽鳥健司、浅野憲一 (著)
國分康孝、新井邦二郎 (監修) 
技術評論社
2010年12月
ISBN-10: 4774144843
ISBN-13: 978-4774144849
1659円(税込)

 「カウンセリング」は、専門家のみが行うものである。

 カウンセリングと心理療法は同じものである。

 上記の文章に「Yes」と答えた人、または特に違和感を覚えなかった人は、本書の良い読者です。

 「カウンセリング」「カウンセラー」という言葉は、今や誰もが知っています。しかし、カウンセリングの実態について知っている人は、それほど多くないのではないでしょうか。カウンセリングに対するイメージは人によってそれぞれですし、カウンセリングを受けたことがない人にとってはまるっきり未知の世界でしょう。

 「そもそもカウンセリングって何?」

 「カウンセラーになってみたいけど、具体的にどうやるの?」

 「カウンセリングを受けてみたいけれど、どういう質問をされるのか不安で……」

 「最近疲れ気味なので、カウンセリングの世界に興味がある」

 本書は、カウンセリングに対するこれらの興味に、丁寧に答えてくれます。

■知っているようでいて知らない、カウンセリング基礎

 カウンセリングとは何か?

 この問いについて、本書は下記のように説明いしています。

  1. 教師や親や上司が仕事に生かすカウンセリング
  2. カウンセリングを本職とする人が行うカウンセリング

 「教師や親や上司が仕事に生かすカウンセリング」、これは私たちの日常生活でよく見ることができます。元気がないメンバーに上司が声を掛けること、ミスが続くメンバーに面談を持ちかけること、面談で仕事上の悩みや不安を聞くこと、一緒に話し合って今後の方向性を決めること――これらは皆、立派なカウンセリングの一種です。

 2つ目は、「カウンセリングを本職とする人が行うカウンセリング」です。これは文字どおり、専門家のもとへ相談に訪れることを指します。

■カウンセリングの本質は「問題のクリアを助ける」

 本書ではまた、「心理療法」と「カウンセリング」の違いについても述べています。

  • 心理療法:心の病を治す治療
  • カウンセリング:人生において誰もが通過する問題を、クリアしていくのを助けること

 「問題をクリアしていくのを助ける」――これがカウンセリングの本質です。ですから、カウンセリングには実にさまざまな形態・方法があります。企業や教育機関におけるカウンセリング、結婚やキャリア形成、育児など、トピックや目的別に整理すれば、その方法は膨大な数に上ります。

■基本の次は応用だ

 私はカウンセラーになることに興味がありますが、漠然と「カウンセリングは専門家が行うもの」「心理療法とカウンセリングは同じもの」と思っていたので、本書の解説は目から鱗でした。

 「問題をクリアしていくのを助ける」というカウンセリングの本質を理解すると、今度は「実際にはどのようなカウンセリングがあるのか」「どんな人がカウンセラーとなるのか」「どんな人がカウンセリングを受けるのか」といったさまざまな疑問が生じてきます。本書は、「そう! 私も知りたかった、それ!」と思わず言ってしまうような「よくある疑問」を網羅していて、非常に興味深いです。

「カウンセリングの実際」

  • カウンセリングってなに?
  • どんなことするの? など

「カウンセリングの方法」

  • **法ってなに?(カウンセリングの各種手法の解説)
  • カウンセリングってどう進めていくの? 料金は? 

「カウンセリングにおける相談内容」

  • どんな人がカウンセリングを受けるの?
  • 女性、子どもなどさまざまな立場の人が相談する内容とは?

「さまざまな領域におけるカウンセリング」

  • カウンセリングはどこで受けられるの?
  • 精神科と心療内科で受けるカウンセリングは同じ?

「カウンセラーの実際」

  • どんな人がカウンセラーに向いている?
  • カウンセラーも悩むの?
  • **カウンセラーって何をする人?(例:学校カウンセラー、産業カウンセラーなど各種カウンセラーについての解説)
  • カウンセリングができれば人の心が読める?

「カウンセリングの今後の課題」

  • 将来的に、どのようなことがカウンセリングに求められるか

 本書はあくまで「概要を分かりやすく説明」しているので、各項目についてもっと深く知りたい場合は、本書を足掛かりにして専門書にチャレンジしてみるのもよいでしょう。また、カウンセリングにまつわるさまざまな疑問への回答を得られるため、カウンセリングを受けることをためらっていた人の背中を後押ししてくれると思います。

 私は、カウンセリングを心理療法と同じように捉えていたため、カウンセリングが実はとても日常的で、身近なものであることに気付くことができました。家族や友人など身近で親しい人へのアドバイス、後輩への指導にも、本書を大いに生かせると思います。

IBMのスパコンと戦ったチェス王者の意思決定力――『決定力を鍛える』

2010/12/17 17:00:00

決定力を鍛える―チェス世界王者に学ぶ生き方の秘訣 決定力を鍛える―チェス世界王者に学ぶ生き方の秘訣

ガルリ・カスパロフ(著)
近藤隆文(翻訳)
日本放送出版協会
2007年11月

ISBN-10: 4140812621
ISBN-13: 978-4140812624
2200円(税抜)

 著者カスパロフは、チェスの世界王者である。

 22歳のとき、世界最年少で世界王座を獲得し、15年もの間チェス・チャンピオンとして君臨した。競争が極めて激しいチェスの世界で、1位の座をこうも長く維持するのは並大抵のことではない。その強さのあまり彼は「チャンピオン中のチャンピオン」と称され、彼を打倒するためのチェス・コンピュータが作られたほどだった。カスパロフとIBM製のスーパーコンピュータ「Deep Blue」との戦いは、史上最強の「人間vs.機械」戦として伝説に残っている。

■意思決定の激戦を勝ち抜けた「意思決定」のプロ

 本書のテーマは「意思決定プロセス」だ。チェスプレイヤーは、1手1手ごとに戦局を読み、戦略を駆使しながら駒を動かす判断を下す。チェスが“最も知的なゲーム”と呼ばれるゆえんはここにある。「計画、推測、戦略、分析、評価、判断」というプロセスに熟達したカスパロフは、まさに「意思決定」のプロであるといえよう。

 だが、本書はいわゆるハウツーもののビジネス書ではない。確かに、カスパロフは「戦略と戦術は何が違うか」「問いを正確に設定する」といった、意思決定に関するノウハウを解説する。しかし、実例は、どこまでいっても「チェス」という、一風変わった本なのだ(邦題はなんだか普通のビジネス書っぽいが、原題は“How Life Imitates Chess”。個人的には原題の方が好きだ)。

■自分の判断に自信が持てないエンジニアへ

 では、本書はチェスに興味を持つ人にしか役立たないのか? そんなことはない。われわれは、日々意思決定をする。納期までにプロダクトが仕上がらずにプロジェクトが遅延するとき、突発的なトラブルが起こったとき、プロジェクトメンバーが突然会社に来なくなったとき、顧客に改善案を提案するとき……われわれの脳内で起こっているプロセスは、チェスプレイヤーがたどるものと同じだ。

  • 計画を立てる。戦略と戦術を立案する
  • 相手と自分を分析し、予測を立てる
  • 分析結果を評価する
  • 評価に基づいて判断する

 意思決定をひたすら繰り返し、その結果が勝敗に直結するチェスの世界を制覇したカスパロフの思考は、驚くほどにシンプルだ。徹底的に余計なものを削ぎ落しており、ナイフのように鋭く尖って無駄がない。

 だから、本書は「どこでどう判断すればいいか分からない」「自分の判断に自信が持てない」「なんとなく判断して生きてきた」というエンジニアにおすすめだ。また、「振り返り」や「資産を見積もる」といったアジャイル的な単語も多々出てくることから、アジャイル開発に興味を持つエンジニアにも役立つだろう。彼の語る意思決定プロセスのノウハウは、仕事を改善するための示唆を与えてくれる。

●戦略をころころ変えない

 戦略家は自身の戦略に対する信念と、それをやり遂げる勇気をもたなくてはならず、と同時に、変化が必要になったらすぐ気づけるよう心を開いておかなくてはならない(p.53)

 戦略は、そうころころと変えるものではない。負け戦になると、人はすぐに戦略を変えたがる傾向にあるが、戦略をころころ変えるのは戦略がないも同然だと、カスパロフは忠告している。

 外部環境が変わったからといって、目標をすぐに変えるリーダーは「柔軟」なのではない。「戦略がない」のだ。そして、戦略なしに戦いを挑むことは、最も避けるべき事態である。変化に対応することは重要だが、もし変化する場合は「熟慮と正当な理由」が必要なのだと、カスパロフは語る。

●プロセスが結果の勝敗を決める。プロセスを常に評価する

 興味深いのが、カスパロフは結果よりも過程を重視していることだ。「結果は意思決定の質に対して得られるフィードバック」であり、意思決定の精度が低ければ低いほど負ける確率は高くなる。「プロセスより結果」ではなく「プロセスが結果を生む」という発想なのである。

 これは、先に紹介した「戦略をころころ変えてはならない」という発想に通じるものがある。すなわち、事前に予測、分析して準備することが重要なのであり、相手の失敗や奇跡を待って「どうにかなったからいいや」と思考を止めてはならぬと、カスパロフは指摘している。

 皆が死にもの狂いに働いて、結果としてどうにかなったプロジェクトは、往々にして「終わり良ければすべて良し」と片付けられがちだ。なぜプロジェクトが遅延したのか、どこで判断ミスがあったのか、それを評価して分析し、次回の対策を練ることが重要なのだ。

●自分の「意思決定」の癖を意識する

 さらに、カスパロフは「自分の癖を意識する」重要性を指摘している。自分がどうやって判断しているか、その判断基準や癖は、普通意識しない。だが、それでは意思決定プロセスを改善することはできない。

 カスパロフは、自らがどのような判断をし、どこで間違えることが多いのかを徹底的に洗い出す。本書では、幾度となく「あの対局ではこの手で間違えた」「ここで守りに入ったのが問題だった」といった自己評価が登場する。自分がやった仕事を徹底的に分析・評価し、それこそ“取りつかれたように”対策を練ってきたからこそ、カスパロフは腕を磨き続けられたのだろう。

■勝負強さの秘けつ?

 本書はとにかく、ポーンやナイト、アンパサンといったチェス用語だらけではあるが、それらを理解しなくても十分に読める(もっとも、理解していた方がより楽しめるとは思う)。

 カスパロフは、ダイナミックかつ勝気なプレイが得意だったらしい。本書を読んでいると、「なるほど、勝気な性格だったのだな」と思える表現にいくつも出合って興味深い。自分に自信を持ちながらも、徹底的に反省して改善を目指す姿勢が、「勝負強さ」の秘けつなのだろうかと思った。

 エンジニアの仕事は、チェスのように「勝負に勝つこと」が目的ではない。しかし、プロセス改善や判断力を必要とされる場面は山とある。「頭脳戦」を生き抜くために、チェス王者に学んでみるのも、悪くはないと思う。

(@IT自分戦略研究所 金武明日香)

状況をコントロールし、将来への見通しを持て――『ひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編』

2010/12/10 15:19:59

ひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編 ひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編 仕事というゲームと人生というビジネスに勝利する方法

デビッド・アレン(著)
田口元(監訳)
二見書房
2010年11月

ISBN-10: 4576101714
ISBN-13: 978-4576101712
1680円(税込)


■「状況のコントロール」と「将来への見通し」

 「GTD(Getting Things Done)」をご存じでしょうか。これはコンサルタントのデビッド・アレン氏が提唱した「ナレッジワーカーのための仕事術」です。日本では、ブログ『百式』の管理人である田口元氏が広く提唱していることで有名になりました。

 本書は『ストレスフリーの仕事術 仕事と人生をコントロールする52の法則』『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』に続く、「デビッド・アレン(著)/田口元(監訳)」によるGTD本の第3弾です。本書は「実践編」と銘打っており、GTDの肝である「状況をコントロールするための5つのステップ」と「将来への見通しを定めるための6つのレベル」について、それぞれをどのように捉え、実践するかの指南書となっています。過去の著作を読んでいなくともGTDが理解できる構成になっていますが、できれば過去の著作に目を通すか、GTDについての記事などを読んで、大まかに把握しておくとよいでしょう。

 繰り返しになりますが、本書はGTDの肝である2つの事柄を詳細に解説しています。2つの事柄とは、以下のとおりです。

  1. 状況のコントロール
    • 収集
    • 見極め(処理)
    • 整理
    • 見直し(レビュー)
    • 取り組み/行動
  2. 将来への見通し
    • 次にとるべき行動(高度0メートル)
    • プロジェクト(高度1000メートル)
    • 注意を向けるべき分野や責任を負っている分野(高度2000メートル)
    • 目標とゴール(高度3000メートル)
    • 構想(ビジョン)(高度4000メートル)
    • 目的/価値観(高度5000メートル)

■状況をコントロールするための5つのステップ

 GTDの最もシンプルかつ重要なポイントは「頭の中を空っぽにする」ことです。現代においては、どんな人も「やるべきこと」が洪水のように襲ってきています。あるタスクに取り掛かっている間でも、「ああ、アレもやらないと」「アレはどうなっていたっけ」と、ほかのタスクに気を取られて集中できない、というのはよくあることです。それを避けるため、GTDでは「頭の中にある『気になること』をすべて書き出す」ことが必要とされます。これが「状況のコントロール」の第1ステップ「収集」です。

 個人的には、まずはこの「収集」をきっちりやるところから始めると良いと思います。「収集」を徹底的にやるだけで、頭の中がスッキリしてきます。少なくとも「やり残していることが大量にある気がする」という不安が払拭(ふっしょく)されます。なぜなら、やるべきことや気になっていることが、すべて可視化されるからです。

 これ以降の4つのステップについても、本書は詳細に解説しています。これらのステップを通じて、わたしたちは「洪水のように襲ってくる『やるべきこと』」に振り回されずに、状況を適切にコントロールできるようになる、というのが著者の主張です。よくGTDは「仕事術」の1つであるといわれますが、GTDはプライベートな事柄(子どもの教育、引っ越し、結婚など)にも適応できます(そもそも「仕事」と「プライベート」を区別する考え方自体を著者は否定しています)。

■将来への見通しを定めるための6つのレベル

 GTDは、よく「目の前のことに対処することはできても、中長期的なことを考えられない」と思われがちです。筆者も、GTDで「目の前のこと」には対応できるようになりましたが、目の前のことをうまくやることばかりにしか頭が回っていなかったように思います。

 ですが、本書ではあくまで「ボトムアップ」を推奨します。目の前のことがうまく回るようになれば、中長期的なことを考える余裕ができる、という理屈です。著者はこの中長期的な視点を「将来への見通し」という形で解説しています。

 将来への見通しは6つのレベルに分けられています。それぞれのレベルは下記の通りです。

●次にとるべき行動(高度0メートル)

  • 考えるべきこと:「必要な行動は何か」
  • 実行可能な、目に見えるすべての物理的な行動が該当する
  • 車を洗う、企画書を書く、思いついたアイデアのことを上司に相談する、インターネットで兄弟へのプレゼントを探す、など

●プロジェクト(高度1000メートル)

  • 考えるべきこと:「何を終わらせなければならないか」
  • 複数の行動が必要で、1年以内に達成すべきものが該当する
  • 洗濯機を修理する、○○会社との契約をまとめる、休暇を取る、確定申告をする、など

●注意を向けるべき分野(高度2000メートル)

  • 考えるべきこと:「維持していかなければならないことは何か」
  • 自分のかかわっていることやライフスタイルを維持するのに欠かせないことが該当する
  • 企画、システム設計、管理サポート、製品開発、顧客開拓、調査研究、健康・活力、子育て、休暇・娯楽、自己開発、など

●目標とゴール(高度3000メートル)

  • 考えるべきこと:「何を達成したいか」
  • 1~2年のうちに達成したいことが該当する
  • 組織の再編成、本の出版、債務返済、息子の大学進学、新製品の投入、マラソンへの参加、など

●構想(ビジョン)(高度4000メートル)

  • 考えるべきこと:「長期的な成功のイメージ」
  • 2年より長い期間をかけて達成すべき長期的な目標が該当する

●目的/価値観(高度5000メートル)

  • 考えるべきこと:「自分や組織の存在意義は何か」「自分や組織がどのような状態にあるか」
  • なぜやるのか、何のためにやるのか、などの根源的な問いが該当する

 自分の頭の中にある「気になること」をどのレベルに当てはめ、どのくらいの頻度でレビューし、どう管理すればよいのかについては本書に譲るとして、ここでは「将来への見通し」の重要性について考えてみましょう。

 「状況のコントロール」がうまくいくようになると、それだけで満足してしまい、「将来への見通し」をおろそかにしてしまいがちです。ですが、「状況のコントロール」ばかり考えている人は「細かすぎるマネージャ」になってしまう、と著者は警鐘を鳴らします。「必要以上に整理や管理をしすぎてしまい、結果として機能性が著しく低下」(p75)する可能性があるのです。

 自分がどこにいて、どこに向かえばいいのかを知るためには、「将来への見通し」が不可欠です。中長期的な事柄を可視化することもまた、「気になっていること」を書き出して、「頭を空っぽにする」ことに通じるのです。

■「仕事」と「行動」をシステム化する

 本書を読んでいると、ここで語られていることは「当たり前のこと」が多いと感じます。タスクを書き出す、目標を設定する――これらは、当たり前のようにやっていることでしょう。GTDは、こうした「当たり前のこと」を、細かなプロセスに分割し、システマチックに実践するためのガイドであると捉えられます。

 本書はガイドなので、「利用すべき具体的なツール」は書かれていません。というかそもそも、GTDはツールに依存しない考え方であるといわれています。紙とペンでもいいし、EvernoteなどのWebサービスを使うのも手でしょう。GTDをうまく機能させるためのシステムを自分なりに構築するのは、GTDを楽しむための1つの通過儀礼のようなものなのかもしれません。

(@IT自分戦略研究所 岑康貴)

偉大なリーダーはあらゆるレベルに――『リーンソフトウェア開発と組織改革』

2010/11/05 16:37:33

リーンソフトウェア開発と組織改革 リーンソフトウェア開発と組織改革

Mary and Tom Poppendieck(著)
依田光江(翻訳)
依田智夫(監訳)
アスキー・メディアワークス
2010年10月

ISBN-10: 4048687417
ISBN-13: 978-4048687416
2940円(税込)


■偉大なリーダーはあらゆるレベルに存在する

 ソフトウェア開発における「リーダー」というと、皆さんはどんな人物を思い浮かべるでしょうか。顧客を喜ばせるようなビジョンが作れる人? 卓越した専門性を持つ技術リーダー? 制約(コストや納期)の中でプロジェクトを完遂させる実装の主導者? たゆまぬ組織改善を行う指導者? 最前線に立って周囲の人々に大きな影響を与える現場のリーダー?

 どれもが正解ではないでしょうか。というのも、ひとことで「リーダー」といっても、さまざまなフェイズに、さまざまなタイプのリーダーが必要とされるからです。

 「リーン開発」の提唱者、メアリー・ポッペンディーク氏とトム・ポッペンディーク氏は、『リーンソフトウェア開発と組織改革』で、次のように語っています。

 「偉大な企業は組織のあらゆるレベルに偉大なリーダーがいるのだ。さもなければ彼らは偉大な企業になっていなかった」(p.311)

■24のフレームと、6つのリーダー像

 本書は『リーンソフトウエア開発――アジャイル開発を実践する22の方法』『リーン開発の本質――ソフトウエア開発に活かす7つの原則』に続く「リーン開発シリーズ」の第3弾です。リーンの視点から、組織改革と、それを実現するリーダー像について論じているのが特徴です。

 全体の構成として、24のフレームが提示されています。それらは6つの章に分けられており、1章につき4つのフレームを解説されています。各章の最後には、対応するリーダー像が示されており、「どのフレームではどんなリーダーシップが求められるか」が確認できます。

  • 第1章「システム思考」
    • フレーム1:顧客中心
    • フレーム2:システムの能力
    • フレーム3:開始から終了までのフロー
    • フレーム4:ポリシーが生み出すムダ
  • 第2章「技術的卓越性」
    • フレーム5:本質的複雑性
    • フレーム6:構成的な実装による品質
    • フレーム7:進化型開発
    • フレーム8:深い専門性
  • 第3章「確実なデリバリ」
    • フレーム9:裏づけのある実績
    • フレーム10:ワークフローの平準化
    • フレーム11:プル型スケジューリング
    • フレーム12:適応制御
  • 第4章「たゆまぬ改善」
    • フレーム13:完璧を視覚化する
    • フレーム14:ベースラインを決める
    • フレーム15:問題を顕在化させる
    • フレーム16:改善の仕方を学ぶ
  • 第5章「人こそすべて」
    • フレーム17:知識労働者
    • フレーム18:「助け合い」という規範
    • フレーム19:相互尊重
    • フレーム20:熟練の誇り
  • 第6章「連携型リーダー」
    • フレーム21:理論から実践へ
    • フレーム22:ガバナンス
    • フレーム23:団結
    • フレーム24:持続可能性

 これらのフレームから導かれるリーダー像とはどんなものでしょうか。第1章では「製品のアイデアにシステム思考を取り入れる『製品チャンピオン、テイク1』」、第2章では「優れたテクノロジの開発に全力で取り組む『高能力・高業績(コンピテンシー)リーダー』」、第3章では「制約、リスク、スケジュールを管理し、実装を主導する『製品チャンピオン、テイク2』」、第4章では「たゆまぬ組織改善に努める『メンターとしてのマネージャー』」、第5章では「現場において人々に影響を与える『前線のリーダー』」の人物像が描かれます。それらを踏まえ、第6章では『あらゆるレベルのリーダー』の人物像がまとめられています。

■結果に着目するのは誤りである

 ところで、本書は技術書なのでしょうか。それともビジネス書? 恐らくは両方です。例えば第2章「技術的卓越性」では、テスト駆動開発や継続的統合といった手法をソフトウェア工学の歴史の延長上に位置付ける形で解説しています。また、第3章「確実なデリバリ」では、「制約に合わせて活動を設計する」というシステム設計の考え方を、エンパイアステートビルの建築プロジェクトを例にとって解説しています。その一方で、第4章「たゆまぬ改善」や第5章「人こそすべて」において、マネジメントや組織改善といった課題への取り組みについて論じています。

 読み手によって、どの章を面白いと思うかは分かれるのではないでしょうか。そしてそれこそが、その人が「どのタイプのリーダー向きか」を表す鏡として機能します。

 ただし、共通する視点も存在します。その1つが、原書の副題ともなっている“Results Are Not the Point”です。「ベロシティの高い企業」(業界を常にリードしている企業)について、本書では次のように書かれています。

 「ベロシティの高い企業は複雑性にどう対応するかを予測しようとせず、複雑性を学ぶことに集中する」(p.217)

 「ベロシティの高い組織は、予定とのずれを、学習する好機として歓迎し、仕事の複雑性についてもっとよく知ろうとするのだ。ベロシティの高い組織は仕事を終わらせることではなく、仕事を終わらせる方法を学ぶことに重点を置く」(p.217)

 別の章では、知的労働について、次のように書かれています。

 「知的労働では、人と、人が働くシステムなくして成功はありえない。結果が肝心なのではない。人とシステムを育成し、両者の力が合わさって成功を達成できるようになることが肝心なのだ」(p.260)

 組織を改善し、人を育てながら、制約の中で素晴らしい成果を作り上げるのは、並大抵のことではありません。それを可能とするシステムを作り上げるのが、リーダーの仕事なのではないでしょうか。

 本書の最後には、「偉大な企業のあらゆるレベルに見られるリーダーの人物像」がまとめられています。これらを参考にして、偉大なリーダーとして自分のチームや会社を改善させることに、ぜひ挑戦してほしいと思います。

  • リーダーは目的を示す
  • リーダーはトーンとテンポを決める
  • リーダーは人を成長させる
  • リーダーは他者が成功するための場所を作る

(@IT自分戦略研究所 岑康貴)

「整理」とは、人生の創造である?! ――『整理HACKS!』

2010/09/17 15:48:59

整理HACKS!―1分でスッキリする整理のコツと習慣 整理HACKS!―1分でスッキリする整理のコツと習慣

小山龍介(著)
東洋経済新報社
2009年6月
ISBN-10: 4492043373
ISBN-13: 978-4492043370
1575円(税込み)



 わたし(新人M)はこれまでの人生を通して「整理」という作業を好きになれたためしがない。「整理」は掃除と似ている。頑張って整理した机は、美しいし気持ちがよい。しかし、時間がたつと新たな乱れ(ゴミ)が発生し、また1から作業をやり直さなければならない。終わりのない、苦しい作業である……。そう思っていた。

 ある日書店に寄ったとき、普段は立ち寄らないビジネス書棚の前である本が目に止まった。書名は『整理HACKS!』、副題は「1分でスッキリする整理のコツと習慣」。うん? 1分で整理ができちゃうって? いやいや、それって「日当たり良好 駅徒歩2分」って書いてるのに、実際行ってみると倍以上の時間を歩かされる不動産物件と一緒で、本当はもっと時間がかかるんでしょ……。眉唾ながらも本を取ったわたしは、冒頭「おそらく整理が楽しいという人はほとんどいないでしょう」という一文に「わたしのこと?」と心をつかまれた。あとにはこんな文面が続いていた。

「整理は創造性のない、退屈な仕事のように思っている人も多いかもしれませんが、整理について考えることは、実は本来、創造的なことなのです。どんなふうに書類を保管すれば、取り出しやすいか、机の上をすっきりさせられるか。どんなふうに整理をしたらスムーズに行くかを考えるというのは、いわば、整理のプロセスデザイン。きちんと整理ができる人というのは、整理というプロセスを美しく設計できる、優れたデザイナーでもあるのです」
(「はじめに」より)

■「整理」の発想転換

 先の引用文で、著者は2つのメッセージを送っている。

  1. 本書のターゲットは整理が「嫌い」な人である
  2. 本書の狙いは、整理のとらえ方を「退屈」から「創造」へと転換させることである

 つまり、着地点は単に「整理ができるようになる」ではない。あらゆる方向に発想を広げ、整理を通して「人生の創造者になる」ことなのだ。各章のタイトルが「書類ハック!」「人脈ハック!」といったビジネス向けの内容に限らず「生活ハック!」「環境ハック!」など日常生活面にまで及んでいることは、その表れである。

 本書全体で紹介されている整理術は90。ただし、すべてに手をつける必要はない。整理に関して、自分がいま困っている部分にフォーカスし、見合ったものを取り入れていくとよい。以下、私的な目線から自分の日常生活でも取り入れたいと思う(実際に取り入れている)ものをいくつか紹介しよう。

■ノート1冊に情報集約せよ!

 仕事は情報との戦いだ。特に、新人であるわたしは日課業務、各種編集作業の進め方、取材先でのインタビュー術……などなど、あらゆる方面から仕事の情報を仕入れていかなければならない。しかも、いつ誰に何をいわれるかは分からない。「いま、ちょっといい?」といわれたら、瞬時に情報をインプットできる体勢を整えるという、なんとも緊張感あふれる毎日を過ごしているのである。

 そんな状況にありがたいのが「100円ノート1冊に情報を集約する」というテクニック。ポイントは「時系列管理」である。ノートの表紙には使い始めた日付け、各メモの右上にはそれを取った日付けを記入する。中には、レジュメや走り書きメモのポストイットなども欠かさず貼りつけ、紛失を防ぐ。書き終えたページの端は破っておくと、スケジュール帳と照らし合わせていつでも「あのときの記録」にたどりつけるようになる。

 この「時系列管理」、わたしの仕事用メモにも取り入れている。日付けと合わせて、仕事内容の「項目」もカテゴリーに分け、インデックスをつけるとさらに検索が素早くなるのでオススメだ。

Seiri02

■名刺には「もらった日付け」を記入

 続いて、人脈管理の話。社会人は「ひと」に関する情報の管理も欠かせない。わたしも先輩の取材先への同行、社内での打ち合わせ……など、仕事を通して日々さまざまな出会いが訪れる。大抵は1時間で2~3人を相手にお話しすることが多い。

 ……となると、1人に対する記憶はおぼろげで、もらった名刺はたまる一方。さて、どうしよう?

 ここで参考にしたいのが「名刺をもらったら日付けを入れる」というテクニック。著者いわく、1度きりのご縁であれば、会ったときの情報を詳しく名刺に記入しても無駄になってしまう。シンプルに「日付け」のみを書き入れることは時間短縮になり、スケジュール帳と合わせてあとから探し出すのも簡単になるというのだ。

 「時間の短縮」と書いたが、もらった名刺を会社で再度取り出し、日付けを記入するという作業を行うだけで、記憶の定着度も変わってくるのではないだろうか。わたしはいまのところ日付けの記入を手書きで行っているが、著者によれば日付スタンプを使うのがおすすめらしいので、近日中に東急ハンズに走りたいと思う。

■自宅と会社、そして「第三の場所」をつくる

 いろいろと偉そうなことを書いたが、人間はそう簡単に変われるものではない。どんなに気を付けようとも、整理に対して心理的余裕を注げず、自宅や会社が散らかってしまう瞬間があるだろう。

 そんなときは整理をあきらめて、自分が過ごしやすい場所に移動するといい。「第三の場所」とはスターバックスが提唱した呼び名で、「おいしいコーヒーだけでなく、心地の良い空間」を指す。いつもと違った場所で仕事をすることは、気分転換にも最適だ。本書で紹介されている「第三の場所」には、例えば以下のものがある。

  • お気に入りの喫茶店
  • ホテルのラウンジ
  • 行きつけの旅館・ホテル

 ……ううん、下にいくにつれ、だんだんとグレードがアップしていく。行きつけの旅館まで作るのは、いまの段階では難しいかも。

 ひとまずは、会社から少し離れたところにある「椿屋珈琲店」でこの原稿を書いてみたところ、静かでかなり集中できた。いつもとは違う空間のため興奮が高まり、おすすめだ。

■「自分なりの整理」を楽しむ

 以上、本書に紹介された整理術のうちのいくつかと、その実践レポートをお届けしてきた。

 実践を通し体得したのは、本書が紹介する手法を自分なりにカスタマイズする楽しさである。先に挙げた「第三の場所」作りにしても、「行きつけ」のお店を固定化するのもいいし、自分が集中できるお店がどこか、研究してみるのもいい。こうした積み重ねを通じてだんだん「マイ整理術」の幅が広がっていくとしたら、それが整理を通して「人生を創造する」ということなのかもしれない。その境地に到達できるよう、これからも修行を重ねるのみである。

(松岡瑛理 @IT自分戦略研究所)

メール作成時の視点は「わたし」ではなく「あなた」―― 『メール文章力の基本』

2010/08/27 16:00:03

メール文章力の基本 メール文章力の基本 大切だけど、だれも教えてくれない77のルール

藤田英時(著)
日本実業出版社
2010年6月
ISBN-10: 4534047169
ISBN-13: 978-4534047168
1365円(税込み)

 メールは、いまやビジネスでは欠かすことのできないツールだ。多くの新入社員は入社後、個人アドレスとともに、社内外のやりとりでメールを用いる機会を与えられる。

 しかし実際のところ、先輩社員のメール文章作法をまねようと思っても、人が送ったメールを読む機会はそう多くない。加えて、体系立ったメールの書き方を学ぶ機会も少ない。結局のところは実際の経験を積み重ねる中で、各自「なんとなく」学んでいるのが現状ではないだろうか。

■基本は「相手の視点」で書く

 このような状況から、メールの書き方を知りたいと思っているのは、新入社員に限った話ではないだろう。本書は、メール作成に困った経験があるすべてのビジネスパーソンに向けて書かれている。具体的な状況を想定しつつ、メール文章の基本ルールを77項目にまとめたものだ。

 こう書くとよくある「ハウツー本」のようだが、そうとらえてしまうともったいない。1章「これだけは知っておきたい メール文章の基本」冒頭では、あらゆるメール文章に底通する姿勢を紹介している(rule1)。それは、

 「視点を『わたし』から『あなた』に変える」

というものだ。メールの受け手がどのような存在であるかを具体的に意識することで、提案の仕方や要点の絞り方が明確化する。このように「いつも相手への尊敬の念を持って書く」ことが、メール上達への一番の近道だ、と筆者はいう。

 この点を冒頭で理解できれば、後に続く項目も「なるほどそうか」とスムーズに理解しやすい。

■目的と結果をはっきりさせる

 一例を紹介しよう。2章「書く前に必要な準備がある」によれば、メールを書く前に大事なのは、「目的と結果をはっきりさせる」ことであるという(rule18)。今回、メールを送る目的は報告か? 相談か? 依頼か? 相手には、どうしてほしいのか?

 こうした事柄を明確にすると、

  • 適切な件名・あて先
  • メールに盛り込む内容(項目)をもれなく書いているか
  • (返信メールであれば)相手の要求を満たしているか

など、確認すべき項目やその方向性も自然と見えてくる。

■トラブルは「内容」と「対応策」に分解する

 取引先への謝罪や苦情対応など、いいにくい内容を伝える際も同様だ。4章「言いにくいことを上手に伝えるコツ」では、トラブル報告時の心がまえとして「状況と解決策を適切に伝える」ことが挙げられている(rule52)。

 自社の社員が起こしたミスによるトラブルを取引先企業に報告する際、自分が見聞きしたことをただ羅列するだけでは能がない。トラブルを「内容」と「対応策」に分解し、以下のように個条書きにしてみると、相手にも伝わりやすい文面になる。

  [内容]

  • 事実(問題状況についての認識共有)
  • 理由(誰の、どのようなミスによるものか)
  • 経過(何月何日に、どの場で何が起こったか)

  [対応策]

  • 現在の対応(現在までに完了している策と、取り組み中である策の完了予定時)
  • 今後(想定される事態に対し、どのように対応するか)

■「~させていただきます」は適切か?

 本書が紹介する各項目を「ルール」と呼ぶのは、あまり適切ではないかもしれない。なぜなら、「ルール」ということであたかもそれが「規則」であるかのような誤解を与えかねないためだ。

 例えば5章「ワンランク上のていねいなメールの書きかた」によると、ビジネスメールによく見られる「~させていただきます」というフレーズは、状況によって「~いたします」に直す必要がある、とのこと(rule64)。前者は本来、相手に許可や恩恵を得るためのものだが、「検討」「連絡」といったシチュエーションで、同じ表現を用いるのは不自然だからだ。

 このアドバイスをうのみにして「~させていただきます」を一辺倒に「~いたします」と改めることが重要なのではない。前述の通り、大事なのは、常に相手の視点に立ち、メールを書いた本人が、おかしな書き方になっていないかを自己点検することだろう。

■「相手の視点」はなぜ重要か

 「相手の視点に立つ」ことが、本書でこれほどまでに強調されるのはなぜか。ビジネスでは、メール以外にも企画書や報告書、仕様書など、文章を書くさまざなシチュエーションがある。中でもメールはとりわけ手軽なツールであるがゆえに「自己中心的で感情的」になってしまいがちだ。だからこそメールを作成するときに、いったん相手に視点を移し変えることが大事なのだと、著者はいう。

 「メールの書き方」を習得することは、文面を通じて、生身の相手とコミュニケーションする手段を学ぶ絶好の機会でもあるのだ。「相手の視点に立つ」という姿勢を身に付けられれば、電話や対面時のやりとりでも本書の教訓はきっと生かされることだろう。その意味で、本書はビジネスパーソンの誰もが新入社員になったつもりで、一読する価値のある1冊といえる。

(松岡瑛理 @IT自分戦略研究所)

いつか新入社員がいなくなる? 『新卒ゼロ社会』

2010/08/13 15:50:00

SEの勉強法 新卒ゼロ社会―増殖する「擬態社員」

岩間夏樹(著)
角川書店
2005年12月
ISBN-10:4047100242
ISBN-13:978-4047100244
686円(税別)

 「最近の若者は、仕事に全力で打ち込まない」「ワークライフバランスよりも先にやることがあるだろう」――いつの時代も人は「最近の若い者は」とぼやく。年上の人が「若者はなっとらん」というのは、自分たちのものさしで若者を判断しているからだ。だが、その判断は果たして適切だろうか? 著者は、本書の冒頭でこう述べている。「時代は変わる。人も変わる」。

■日本型「新入社員」がいなくなる?

 本書で、社会学者である著者は「日本型の新入社員制度」が歩んだ歴史、40年近くの間に「新入社員の意識がどう変化したか」を考察している。財団法人 社会経済生産性本部と社団法人 日本経済青年協議会は、1969年から毎年、新入社員に対して「働くことの意識調査」を行っている。著者はこのデータを引用しながら、新入社員の考え方や行動特性について紹介している。

 だが、本書はただの「若者の意識変化」論ではない。「新入社員を一括採用する」という制度がどう生まれ、どう成熟してきたのか、そして現代の流れとどうずれてきているのか。歴史を振り返りながら、「新卒採用制度」あるいは「世代を超えた社員が集まる組織の在り方」そのものについて考えるよう、促している。

 まず、著者は「新入社員とは誰だろうか」と、問いを投げかける。「学校卒業後にそのまま入社した社員だろう。なぜ、そんな当たり前のことを」と思うかもしれない。日本社会において「新卒採用」とは、「長期雇用」を前提とした「学生の一括採用」のことを指す。これは「日本的雇用慣行」と呼ばれるもので、日本独特のものだ。不況以降、「内定切り」や「新卒切り」「就職留年制度」などが話題になったが、そもそもこれらの問題は「学校を卒業したばかりの『新卒』という肩書きが日本企業にとって重要」という前提の上に成り立っている。

 長期雇用、年功序列の賃金体制をうまく機能させるためには、社員ができるだけ同一の条件で一斉スタートを切ることが重要だった。そのために、新入社員は常に「一括採用」されてきた。また、労働力を囲い込むという点では、日本的雇用慣行はそれなりにうまく機能していた。

 だが、それは高度成長期までの話である。バブル崩壊以降、「労働力を囲い込み、社員は1つの会社に定年まで勤め上げる」という体制は、複雑化する社会環境にそぐわなくなってきた。「古い体制のままでは、若者が企業に魅力を感じなくなる。いずれ日本的な意味での『新入社員』はいなくなるだろう」――著者はこう主張する。

■なぜ「うちの会社」というのか?

 日本的雇用慣行の例として「うちの会社」という発言を例に取ろう。「うちの会社は○○だから」という言葉に、特に違和感を感じない人は多いだろう。だが、これは日本企業ならではの発想である。「会社は一生を過ごす家」という言葉が表すように、日本企業は「生活共同体」としての意味合いを強く持つ。

 その歴史は、戦後復興時代にまでさかのぼる。戦後復興期に上京してきた若者たちはお金がなく、職場が住み込みで働ける住居を提供することが多かった。少しでも余裕がある企業は、若者をサポートする手当を出した。職場は、まさに「一家」のようなものだったのである。

 これらのサポート体制を行う企業が増え、企業を頼りにする人々も増えた。企業と社員の間には、組織的な「一体感」のようなものが醸成される。「働けば、その分だけ安定した生活が手に入る」――こうしたマインドが共有され、高度成長期にはモーレツに働く社員が増えた。

■仕事へのモチベーションが根本的に変わった「歴史の分岐点」

 だが、時代は1991年ごろを境に大きく変わる。著者は「1991年の分岐点」で社員の働くモチベーションが変わった、と指摘する。

 戦後復興時代~大量消費時代の企業戦士は飢えの恐怖や、「豊かな生活」というライフスタイルモデルに乗り遅れることへの恐怖、平たくいえば「モノの欠乏への恐怖」を原動力として、ひたすら働いていた。

 だが、その下の世代は、もはやモノに欠乏していない。代わりに働く原動力となるのは「自分探し」という、ひどく曖昧(あいまい)とも見えるゴールである。曖昧であるがゆえに、このモチベーションは人を際限ない行動に駆り立てるのだ。そして、若者のこうした「自分探し」の感覚、「会社は一番ではなく、あくまで自分の自己実現が目的」という感覚は、「会社を自分の一生の軸に置く」という上の世代には分かりにくいものとなっているのだという。

■自分はいつの時代に新入社員だったか

 会社のサポートにしがみついて終身雇用を目指す感覚と、若者の感覚にはずれがある。だが、企業組織の多くはまだ「一家」としての体裁を持つところが多い。日本の雇用体制は古い時代には適合したが、いまとなってはあちこちきしみ始めている。このまま古い体制を維持しようとすれば、優秀な学生が日本の企業に魅力を感じなくなるだろう、と著者は警告している。

 いま、新入社員の研修を担当しているエンジニアやマネージャで「新入社員の考えていることが分からない」「どう指導していいか分からない」と考えている人に、本書を勧めたい。具体的な指示方法やノウハウは本書には書いていない。だが、「新入社員の考え方がどう変わったか」「自分はどの時期に新入社員だったのか」を振り返れば、「世代の違う人間が集まる組織はどうあるべきか」「自分はどう指導すればいいのか」のきっかけが見えてくるかもしれない。

(金武明日香 @IT自分戦略研究所)

常識とルールを上手に捨てる方法―― 『20歳のときに知っておきたかったこと』

2010/07/28 15:00:00

Book3_4 20歳のときに知っておきたかったこと ――スタンフォード大学集中講義

ティナ・シーリグ(著)、高遠 裕子(訳)
阪急コミュニケーションズ
2010年3月
ISBN-10:4484101017
ISBN-13:978-4484101019
1470円(税込み)

言い訳は無意味、専門的に言えばたわ言である(p.193)

■予想しうる道から外れ、常識を疑え。そこから道は開ける

 著者が20歳のときに知っておきたかったことは何か。それは「自分自身に許可を与えること」である。

 著者は、スタンフォード大学で起業家精神を教えている教授だ。彼女の授業を受講する学生たちは「手元の5ドルを2時間でできる限り増やせ」といった課題を与えられ、頭をひねりながら解決策を模索する。

 「常識」や「ルール」にとらわれていては、よいアイデアは生まれない。予想しうる道から外れ、常識を疑い、人生は不確実性に満ちているということを確信したとき、イノベーションは生まれる、と著者は説いている。

 「常識を疑う許可、世の中を新鮮な目で見る許可、実験する許可、失敗する許可、自分自身で進路を描く許可、そして自分自身の限界を試す許可を、あなた自身に与えてほしい」(p.206)

 著者は、これまでイノベーションを起こした人々の具体的なエピソードを紹介しながら、「頭にある思考の枠組み」を外す思考法を紹介している。成功例ばかりというきらいはあるが、役に立つ考え方は多い。以下に記した本書のメッセージから、エンジニアにとって特に役立つと思われる個所をいくつか紹介する。

  • ピンチはチャンスである(第2章)
  • ルールは破るためにある(第3章)
  • 機が熟すことなどない(第4章)
  • 早く、何度も失敗する(第5章)
  • キャリアパスを考えるのは無用(第6章)
  • 開かれた心を持ち、楽観的な人は幸運を呼び込む(第7章)
  • 自分に何かをしてくれた人には必ず感謝を示す(第8章)
  • 及第点に満足せず、常に最高を目指す(第9章)

■人に許可を求めるな、許しを請え

 グーグルの共同創業者 ラリー・ペイジは、「できないことなどない、と呑んでかかることで、決まりきった枠からはみ出よう」と、プレゼンテーションで説いたという。

 世の中には「自分のやりたいことを誰かに許可されるのを待っている人たち」「自分自身で許可する人たち」という、2種類の人間がいる。常識は捨てるためにあり、ルールは破るためにある。ルールは何も分からない人にとっては行動の指針となるが、思考の幅を制限することにもなりかねない。著者は有名なフ レーズを引用する。「許可を求めるな、許しを請え」。

 例えば、「南極でビキニを売る」プロジェクトを担当することになったとしよう。「そんなことできるわけない」といって逃げることは許されない。すると担当者は発想を捨てて、頭をひねる。授業中、このアイデアの実現方法を考えたチームは、ダイエット志望者を南極に連れて行くツアーを考案した。南極の過酷な旅に耐え抜けば、ビキニを着られる体型になっている=ビキニが売れると考えたのだ。

 アイデアを生む際に必要なのは、万能な「アイデアマン」ではなく「これはいけるかもしれない」と考えることである。ブレインストーミングで最もやっかいなのは「そんなことができるわけがない」と頭から決めてかかる人々だ。どんなに最悪そうなアイデアでも、使いものになる可能性を秘めているのである。

■早く、何度も失敗せよ

 アップルの創業者 スティーブ・ジョブズは、30歳の誕生日を迎えた矢先にアップルを追い出された。すべてを賭けていた仕事を失った彼は、人生最大の失敗に落ち込み、シリコンバレーを去ることすら考えたという。だが、結果的に人生最悪の出来事は、人生最良の出来事に変わった。手ひどく失敗したことによってジョブズは自由になり、その後ピクサーを創業してアップルに戻ることになる。

 ジョブズの話から分かるのは、「キャリアは予測不能である」ということだ。多くの人は、「成長は右肩上がりでなければいけない」「時間が経つにつれて堅実に成功していかなければならない」と感じている。しかし、そんなことはありえない。人生は本質的に不確実なものだ。成功するときもあれば失敗するときもある。どれほど偉大な人間であっても、それは変わらない。

 「何度も失敗せよ」と、著者は主張する。なぜなら、成功と失敗は一定の比率で起きるからだ。失敗が多ければ、その分だけ成功する回数も増える。

 失敗は学習プロセスにつきものだ。もし失敗していないとすれば、それは十分にリスクを取らず、十分に挑戦していないからである。「成功はしたいけれど、失敗はしたくない」という都合のいい考えはさっさと捨てて、進んで失敗を受け入れて挑戦せよ、と著者は説いている。

(金武明日香 @IT自分戦略研究所)

教えずに学ばせることを目指す――『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』

2010/06/16 17:00:00

Book1_2 日本で最も人材を育成する会社」のテキスト

酒井穣(著)
光文社
2010年1月
ISBN-10: 4334035426
ISBN-13:978-4334035426
777円(税込み)


わたしは人間を弱者と強者、成功者と失敗者には分けない。学ぼうとする人としない人に分ける。 ベンジャミン・ハーバー(社会学者)

■OJTの時代は終わった

 ITベンチャー企業 フリービットで人材育成を担当する著者によれば、「OJTの時代は終焉を迎えた」という。OJTといえば聞こえはいいが、企業は実質的には「人材を現場に放置」してきた。かといって、プログラム型の研修で、欲しい人材がうまく育つわけでもない。いま、人材育成のためにデザインすべきは「研修」ではなく「経験」である、というのが著者の意見だ。

■ 自分はどのタイプか? 人材の3タイプ

 著者によれば、人材は以下の3タイプに分けることができるという。

  • 積極的学習者(全体の10%)
  • 消極的学習者(全体の60%)
  • 学習拒否者(全体の30%)

 「積極的学習者」は「自分の能力は成長させられる」ということを信じている人々だ。これまでの経験から、自分の成長を実感している。学習すること自体に喜びを感じるため、OJTでも伸びるタイプである。

 組織の中に半数以上いる「消極的学習者」は、役に立つことが明らかな場合や報酬が十分である場合に勉強する。彼らは「知識は得られても、自分の能力は変わらない」と考えていることが多い。だが、著者はこうした「固定的知能感」は払しょくできる、と主張する。消極的学習者をいかに「積極的学習者」にするかが、人材育成担当者の腕の見せどころとなる。

 「学習拒否者」は、いわれたことだけを淡々とこなしたい人々である。彼らは習慣を崩すことを嫌がる傾向にある。彼らにどれだけの育成リソースを使うのかは、非常に難しい問題だ。

■失敗は自分のせい? それとも、他人のせい?

 伸びる人材、ハイパフォーマンスの人材は、いくつかの共通点を持っている。

  • 顧客志向の信念を持っている
  • ロールモデルを意識している
  • 明るくて社交的である
  • 「失敗は自分のせい、成功は運のおかげ」と考えるくせがある
  • 人を見る目を持ち、他者の力を活用できる
  • 問題意識を持ち、自分で調べられる
  • つっこまびりてぃ(他人につっこみを入れてもらえる能力)を持っている
  • 孤独に耐えられる

 特に、「失敗を自分のせいと考えるか、他人のせいと考えるか」は、成長に直結するポイントだ。

 著者によれば、ハイパフォーマーは総じて「リスク意識」が強い。リスクを避けるために準備をしっかり行うから、失敗した場合は「想定できたはずのリスク対処をしなかった」と考える。一方、「失敗は他人のせい」と考える人は、そもそもリスク対処をしていないことが多い。

 なぜ、ハイパフォーマーはリスク意識が高いのか。それは「挑戦」するからだ。未経験であることへの挑戦は、どうしてもリスクが高い。しかし、リスクを取らない限りは経験できず、経験なくして成長はできない。「好奇心が強い人材は伸びる」といわれる所以(ゆえん)はここにある。好奇心が強い人は、リスクを覚悟でいろいろな物事に挑戦する。そのため、自然とリスク意識が高くなるのである。

■人は教えた瞬間に、自ら学ぶことをやめる

「人は教えた瞬間に学ばなくなる存在」なのですから、人材育成のデザインは「教えずに学ばせる」ことを目指さなくてはなりません。(本書 p.99) 

 人は教えた瞬間に、自ら学ぶことをやめる。「どのようにして自発的に学習する環境や習慣を作るか」が、人材育成のポイントとなる。 

■成長のサイクルを回す

 自ら学ぶ習慣を身に付けるには、「好奇心を持って挑戦する」「挑戦するからには、できる限りのリスク対処をする」という、「成長の好循環」を回す必要がある。

 この法則は、個人だけではなくチーム全体にも通用する。著者は「朱に交われば赤くなる」という言葉を引用し、「積極的に学習する人が多くなれば、周りの人も影響を受けて学習するようになる」と主張している。

 著者のアドバイスは、人材育成の担当者だけでなく、自分の成長戦略を考えるエンジニアにとっても参考になるだろう。

(金武明日香 @IT自分戦略研究所)
@IT Special 注目企業
@IT Special ラーニング

エンジニアライフ 最新の投稿コラム

@IT自分戦略研究所 新着記事

コラムニスト プロフィール

書評チーム 「ELリーダーズ」

「エンジニアの人生=エンジニアライフ」に役立つ本を紹介します。

本をお探しの方は、インデックスからどうぞ。


2012年11月

        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

バックナンバー

月間バックナンバー

検索

Powered by TypePad
- PR -
@IT Special 注目企業
インデックス

イベントカレンダー

アクセスランキング

もっと見る

@IT Special ラーニング