『アート・オブ・コミュニティ』――コミュニティ運営は、猫を集めることに似ている

2011/10/04 17:35:19

『アート・オブ・コミュニティ ――「貢献したい気持ち」を繋げて成果を導くには』 アート・オブ・コミュニティ ――「貢献したい気持ち」を繋げて成果を導くには

Jono Bacon (著)、 渋川よしき (翻訳)
オライリージャパン
2011年5月
ISBN-10: 4873114950
ISBN-13:978-4873114958
2940円(税込)

■猫を集める

「今日までぼくはあまりに多くの時間を、猫のためにドアを開けたり閉めたりすることに消費しすぎていた」――ロバート・A・ハインライン『夏への扉』

 「コミュニティ運営は、猫を集めること(Herd Cats)に似ている」

 世界最大のオープンソースプロジェクト「Ubuntu」のコミュニティ・マネージャである著者は、コミュニティの運営をこう例えている(How To Herd Cats And Influence People)。

 コミュニティ・メンバーは、仕事や誰かの命令でコミュニティに参加しているわけではない。参加するも抜けるも自由、彼らをしばる窮屈なものは何もない。

 では、なぜエンジニアたちはコミュニティに貢献しようとするのか? このような疑問を感じた人、あるいはその問いに答えられる人は、本書を手に取るべきだ。

 『夏への扉』に登場する愛すべき猫ピートは、主人をつついては夏に通じる扉を開けさせようとした。コミュニティに参加する人々が開けようとしている扉はどこに通じているのか?

■信用こそがすべて

 本書は、コミュニティを運営するために必要なノウハウや、コミュニティの設計思想を解説している。

 ここでいう「コミュニティ」とは、Ubuntuのような技術コミュニティだけに限らない。定義上は、「同じ環境にいてお互いに会話したりやりとりをする集団」だ。しかし、ただ集まっているだけではコミュニティは動かない。

 彼らを動かすのは「コミュニティの中で行われる“相互作用”と“一体感”」である。

 一体感というと何やら抽象的だが、シンプルに言えば「ポジティブな信用経済による、ポジティブな成果」ということになる。信用経済における対価は、金銭ではない。代わりに流通するものは、他者からの信頼や尊敬である。コードを書くたび、フォーラムで技術的な問題に回答するたびに信用通貨は上がる。そしてそれはポジティブな成果――例えば自尊心や周囲からの評価、プロダクトを作った達成感など――をもたらしてくれる。

■グラスは半分だけ満たせ

 編集という仕事をやっているとつくづく思うことだが、1人でできることはあまりにも少ない。原稿を書いてくれる人と編集者、カメラマンやイラストレータ、著者とつながりを持つエンジニアたち、いろいろなスキルや考えを持っている人が集まってこそ、面白いことができる。

 グラスはいっぱいに満ちている必要はないのだ。半分だけ中身が入っている者同士が集まってコラボレーションすれば、グラスはあっという間に満ちる。本書の著者は、コミュニティにおける「多様性」の重要性を強調している。

 「責任を持つ人や、無責任な人など、さまざまな人がいますが、多様性が広がるようにするためには、敬意を大事にする必要があります」(p.35)

■コミュニティの中の人として考える

 オープンソースのコミュニティとはひと味違うが、私(自分研の編集者)もある意味で「コミュニティ運営」に携わる1人なので、ささやかながら具体例を書こうと思う。

 エンジニアライフは、IT業界に携わる人(多くはエンジニア)がコラムを投稿するCGMだが、ここ最近はコミュニティ要素が強くなってきたと感じている。初めは個々のノード(点)だったコラムニストたちがSNSやオフ会などでつながってネットワーク(線)を結ぶようになり、他のコミュニティともつながるようになった。

 では、彼らのために運営局ができることは何か?

 著者は、コミュニティ運営者という自身のポジションを「世の中に変化をもたらそうとする協力し合う世界中のボランティアたちに対して、それを達成することを『可能にする』のが仕事」と説明している。エンジニアライフ運営局の場合は「コラムニストが気持ち良く情報発信できる機会と場を提供し、サポートする」といったところだろうか。ざっくりまとめると、大体いつもこんなことをやっている。

●内部

  • コミュニケーション:新規コラムニストの対応、既存コラムニストからの質問・相談対応、運営側からの情報発信、ドキュメント執筆など
  • 土台作り:ツールの改善、ルールや募集要項の定期的な見直しなど

●外部

  • アピール:新規読者/リピーターを獲得するための施策など
  • 見え方:UIの見直し、導線の設計、ツールの導入など

 エンジニアライフはメディア媒体なので、内部コミュニケーションだけでなく、外部コミュニケーションにも同じぐらいのウェイトを置いている。なので、外部コミュニケーションについては少々勝手が違うものの、内部コミュニケーションについては、「これは分かる」「なるほど」とうなずく場面が多かった。

 コミュニティは扱う技術や来歴、メンバーによって個性が異なるものだと思っていたけれど、思った以上に共有できるノウハウがあるのはうれしい驚きだった。

■オープンであれ、誠実であれ

 このノウハウは、コミュニティ運営だけではなく、チーム運営やディスコミュニケーションの解決にも使えるかもしれない。実際、本書は「コミュニケーション」や「対立の対処」といった、人と人が集まるところになら必ず起こるであろうトピックに、かなりのページ数を費やしている。

 特に「風通しの良いコミュニケーション」(第3章)と「対立への対処」(第9章)は、普段から意識していることや考えていることについて書いてあり、親近感と驚きを覚えたものだ。

 オープンなコミュニケーションは摩擦を生みにくくするし(もっとも、オープンすぎて議論が大白熱する場合も往々にしてあるが)、対立を解決するには誠実な対応が必要だ。

 「オープンであれ、誠実であれ」――これはコミュニティの“核”だと思う。

■対立は、出来の悪い料理に似ている

 「対立は出来の悪い料理に似ている」という。多様な人を受け入れる以上、どこかで考え方や文化の違いによる衝突は生まれる。食材それぞれの個性が素晴らしくても、組み合わせ方が悪かったり衛生状態が良くないと、料理は最悪にまずくなる。

 まずい料理は、誰も幸せにしない。著者は、まるまる1章を費やして(わざわざ「運営」の章からスピンアウトしているのだから、その気概が分かろうものだ)「対立への対処」のノウハウを紹介している。

●対立解決のために必要なこと

  • 客観的であれ
  • ポジティブであれ
  • オープンであれ
  • 明らかにせよ

●対立を解消するステップ

  1. 冷静さを取り戻し、関係者を安心させる
  2. 顔合わせ
  3. ディスカッション
  4. ドキュメントを作成する
  5. 振り返りと維持

 上記のうち、地味だが重要だと思うのが「顔合わせ」。エンジニアライフの場合、実際に顔を合わせたことがある人はごく一部にすぎない。普段は文章ベースのコミュニケーションで問題ないのだが、何かトラブルが起きた時は「文章コミュニケーション」から「文章以外のコミュニケーション」へ切り替えることを推奨している。

 仕事柄、言葉にはかなり気をつかうが、一方で文章で伝えられることは思った以上に少ないことも痛感している。ちょっとした言葉やニュアンスが問題をややこしくすることはままある。声のトーンや表情、語り口など、ノンバーバルで伝えられる情報は思った以上に多く、重要なのだ。本書ではこうアドバイスしている。

 「可能であれば、SkypeなどのVoIP(音声通話)を使ってください。メールや、IRCのようなチャットと比べると、電話懐疑派対人コミュニケーションの割合が高く、すばやく多くの情報を交換することができます」(p.252)

■まとめ:中身がつまったあんパンのような本

 本のタイトルを見た時、最初は「ずいぶんマニアックな本を出したなあ」と思った。

 だが、本書は決してコミュニティ運営者やコミュニティ・リーダーという、限られた人のためだけの本ではない。むしろ、「誰かを巻き込んで面白いことをしたい」という人なら誰でも、読んで得るものがあるだろう。今いる環境がつまらないと思うなら、面白いことをしたいけど自分1人ではどうにもなりそうにないなら、Twitterで面白そうな人にメンションを飛ばしてみるだけでも、もしかしたら何かが変わる。

 本書には、「人を巻き込んで実現する」プロフェッショナルのアドバイスが詰まっている。訳者の渋川氏は、「あんパンみたい」と評している。

「ビジネス書を流行のマカロンだとすれば、アート・オブ・コミュニティは伝統のずっしり餡のつまったあんパンみたいな感じです。――渋日記: アート・オブ・コミュニティ出ます

 何かを始める最初の手掛かりとして、あんパンを装備してみることは悪くない選択肢だと思う。

●本書をおすすめする読者

  • コミュニティの運営者
  • コミュニティを立ち上げてみたい人
  • コミュニティに参加してみたい/参加している人
  • チームを運営するリーダー/メンバー
  • ディスコミュニケーションに悩む人
  • 「風通しの良いコミュニケーション」の中身が気になる人

■リンク

(@IT 金武明日香)

「プレゼン怖い」を克服するプロの技―― 『パブリックスピーカーの告白』

2010/11/26 12:05:49

パブリックスピーカーの告白 パブリックスピーカーの告白――効果的な講演、プレゼンテーション、講義への心構えと話し方

Scott Berkun(著)
酒匂寛(翻訳)
オライリージャパン
2010年10月

ISBN-10: 487311473X
ISBN-13: 978-4873114736
2310円(税込)

 顧客への機能説明や勉強会でのライトニングトーク……エンジニアには何かとプレゼンの機会がある。
 
 どんなに経験豊富なスピーカーでも、プレゼン前には緊張する。本書によると、かのエルビス・プレスリーやU2のボノなど、「人前に出る達人」のような人であっても、コンサートの前に緊張しないことはなかったという。

 では、そんな緊張に打ち勝ち、素晴らしいプレゼンを成し遂げるために、わたしたちは何をすべきか。本書は、効果的なプレゼンをするためのさまざまなアドバイスを提供してくれる。

■プレゼンへの恐怖は生きるための恐怖

 「プレゼンのせいで命を落とした」という話はあまり聞いたことがない。なのに、なぜわたしたちは人前で話すことにあれほどの恐怖を感じるのか。わたしたちの脳には、プレゼンという状況に恐怖を抱かせる能力が備わっているのだという。

  • 1人で立っている。
  • 広いところにいて隠れる場所がない。
  • 武器を持っていない。
  • あなたをじっとみつめる生き物の大群の前にいる。 

 すべての生き物の長い歴史において、これらの条件がすべて満たされる状況はどのような場合でも非常にヤバイ状況でした。それはまもなく攻撃され生きたまま食べられる可能性が高いことを意味していたのです(p.15)。

 本書によれば、プレゼンに対する恐怖は「本能」に由来する。生命を脅かすものから自分の身を守るため、わたしたち生物は恐怖を感じるようにできている。肉食動物に捕食される危険性がほとんどなくなった現代においても、その本能は消えていない。
 
 つまり、プレゼンに対する恐れや緊張は、決して遮断できないのである。しかし、恐怖を遮断することはできないまでも、意識してある程度制御することはできる。

■プレゼンを支配するための秘けつは「練習」

 この先、何が起きるか分からない。そんな不確定なものに対してもわたしたちは恐怖する。裏を返せば、次に何が起きるかを知っていれば、わたしたちは恐怖の大部分を抑制できる、ということだ。

 プレゼンの場において、スピーカーは「次に何が起きるか」を知っている。スライドのタイミングや話のオチ、これらはすべてスピーカーが決めたことだからだ。プレゼンの全体像を把握し、安心を得る。そのための唯一の方法は「練習」である。
 
 本書は、特定の章に限らずあらゆる段落で、「練習の重要性」を繰り返し説明する。 

 現実の聴衆に向かって話すときには、まったくの初めてではなくなっています。実際、3、4回練習した頃には重要な論点をどのように構成していくかを覚えてしまっているので、スライドなしでもまあまあのプレゼンテーションができるようになります。練習することで得られる自信のおかげで即興で何かを挿入したり、野次や厄介な質問、退屈した聴衆、機材の故障など、講演の途中で発生する可能性のある予期しない出来事に対処することができます(p.21)。

 私の聴衆に対する最大の有利な点は(中略)次に何が起きるかを私は知っているということです。(中略)これを良く行うためには、たくさん練習する必要があります(pp.94-95)。

 繰り返し行う練習こそが、わたしたちのプレゼンを良きものにする一番の近道なのである。

■実践的な指南

 本書では、プレゼンを成功させるための心構えや練習の重要性以外にも、興味深い実践的なテクニックがいくつか紹介されている。

  1. 2000席の会場に45人しか聴衆がいない場合に、講演を成功させる方法
  2. 聴衆を退屈させない方法
  3. テレビという特殊な世界でのプレゼンの方法
  4. 自分のプレゼンに対するフィードバックを得る方法

 「テレビに出る場合の対処方法」などは、自分はテレビになど出ないから必要ない、と思われるかもしれない。しかし、最近ではYouTubeやUstreamなど、ディスプレイ越しに自分のプレゼンが他人に見られる機会も多くなっている。そういう可能性のある人は、読んでおいて損はないだろう。

■明日プレゼンをしないといけない人も

 「自分は明日の会議でプレゼンをしないといけない。本を長々と読んでいる場合ではない」という方も、安心して本書を手に取ってほしい。

 本書には、「バックステージノート」という章がある。これは、本書が紹介しているあらゆる手法をまとめたTips集である。この章だけ目を通せば、多くの参考にできる事例に出合えるだろう。

 また、本書の最後には、さまざまなプレゼンの達人たちによる失敗談が書かれている。これは、他人の面白おかしい最悪なプレゼンのエピソードを知っていれば、自分のプレゼンが失敗しても「ここまでひどくはなかった」と安心できるだろう、という著者の配慮である。読者に対するメンタルケアまで万全だ。

■人前で話す機会を与えられたすべての人に

 以上のように、本書ではプレゼンに必要な心構えやテクニック、そして他人の失敗談に至るまで、読者が良いプレゼンを行うためのあらゆることが書かれている。それは時にユーモラスに、時に理論的に、達人のプレゼンさながらに読者を決して飽きさせない。

 この書評を読んでプレゼンに興味が湧いた方がいたとしたら、まず本書を読み、そしてどこかの勉強会などでライトニングトークにチャレンジすることをおすすめする。

 きっとこれまでの人生で得られなかった、エキサイティングで楽しいひとときが待っていることと思う。

師匠を見つけ、自らの「従弟制度」を作り出そう――『アプレンティスシップ・パターン』

2010/09/13 14:17:12

アプレンティスシップ・パターン アプレンティスシップ・パターン 徒弟制度に学ぶ熟練技術者の技と心得

Dave H. Hoover、Adewale Oshineye(著)
柴田芳樹(翻訳)
オライリージャパン
2010年7月
ISBN-10: 4873114608
ISBN-13: 978-4873114606
2310円(税込み)


■新人ソフトウェア技術者のための「学びのパターン」

 「無知をさらけ出す」「自分の地図を描く」「良き指導者を見つける」「自分の仕事を省みる」「フィードバック・ループを構築する」「古典を学ぶ」……「良い」とされているけれど、なぜ「良い」のか体系だってまとめられることの少ない、ソフトウェア技術者に必要なスキルアップのための行動というものがあります。日々、なんとなく行っていたり、あるいは行わなければならないと思っていたりする行動パターンが、皆さんにもあると思います。

 本書『アプレンティスシップ・パターン』は、新人のソフトウェア技術者が「熟練職人」になるための行動パターンをまとめたものです。産業革命以前の中世ヨーロッパに広く普及していた職人たちの「ギルド」における従弟制度をモデルにしているところがポイントです。

 ギルドが熟練職人(master)を管理する。熟練職人は工房を持つ。そのもとにジャーニーマン(journeyman:熟練職人には到達していない職人)がいて、技芸を学ぶ。ジャーニーマンは旅をして技芸を都市から都市に伝え、アプレンティス(apprentice:従弟)を監督する――これが当時の従弟制度です。著者は、このモデルをそのまま現代のソフトウェア技術者の世界に適用するのは実用的ではないとしつつも、参考にし、「現代的な工芸スタジオを選ぶことができる」と主張しています。

 現代において、新人ソフトウェア技術者が良き職人から指導を受けられる制度は確立していません。職場に、あるいは新人が配属されたチームに、良き職人がいるかどうかは確率論でしかありません。だから新人ソフトウェア技術者は、自分なりの「従弟制度」を見つけ出し、確立する必要があります。本書に収められている行動パターンは、そのための指針として役立ちます。

■良いパターンは成功例から語られる

 本書に収められているパターンは、優れたソフトウェアフレームワークやデザインパターン同様、正常に機能しているシステムから抽出されている、とされています。著者が出会ってきた熟練職人たちの「経験」の話から形作られているのです。

 いくつか列挙します。

  • 情熱を放つ(Unleash Your Enthusiam)
  • 無知をさらけ出す(Expose Your Ignorance)
  • 無知に向き合う(Confront Your Ignorance)
  • 持続可能なモチベーション(Sustainable Motivations)
  • 自分の地図を描く(Draw Your Own Map)
  • 良き指導者を見つける(Find Mentors)
  • 気の合った者同士(Kindred Spirits)
  • 練習、練習、練習(Practice, Practice, Practice)
  • 壊してよいオモチャ(Breakable Toys)
  • 学びを記録する(Record What You Learn)
  • 学びを共有する(Share What You Learn)
  • 継続した読書(Read Constantly)
  • 古典を学ぶ(Study the Classics)

 パターン名を見ただけで、何となく想像のつくものが少なくないと思います。「熟練職人」であれば、「そう、それは大事なんだよ」と、見ただけである程度理解できるかもしれません。逆に「どういうこと?」と首をかしげてしまう新人=アプレンティスの方は、本書を手にとって、気になるパターンだけでも目を通すと良いでしょう。いくつかのパターンに目を通していると、やがてそれぞれのパターンがリンクし、どう影響し合っているかが見えてきます。

 具体的な例を挙げましょう。エンジニアライフ コラムニストの鹿島和郎氏は、新たにScalaを学ぶべく、関連コミュニティや勉強会を探して参加したり、自ら入門書を読む勉強会を立ち上げたりしています。これは「学びを共有する」「無知をさらけ出す」「白帯」「学びを記録する」「気の合った者同士」の5つのパターンの実践である、と鹿島氏は語っています(もしかすると、ほかのパターンも含まれているかもしれません)。

 同じくコラムニストのkwappa氏は、「良き指導者を見つける」ことの重要性を、自らの「師匠」の思い出を語ることで表現しています。

■学びの環境を構築する

 「ソフトウェア開発は技芸です」と著者は語ります。科学のように、体系化されたものとして扱うほどに、わたしたちはソフトウェア開発を理解し切れていない、というのがその理由です。

 だからこそ、技芸としてのスキル伝承パターンを構築する必要があります。その意味で、よくあるマネージャやリーダー向けの「新人はこう育てろ」的なアプローチではなく、新人に向けて「こうやって学ぶ環境を構築しろ」と伝える本書には大きな意義があるといえます。自分の学びの環境は、自ら構築しなければならないからです。

 本書は翻訳に難があるのか、少々読みにくい部分もあるのですが、「熟練職人」を目指す新人ソフトウェア技術者であれば、読んで損はないでしょう。

(岑康貴 @IT自分戦略研究所)
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