対外向けサービスとバックオフィスの両方をエンジニア視点で綴ります

第06話 イザという時のバックアップ!

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 もしもの時のためにバックアップを取ることは、エンジニアでなくとも、通常のデスクワークにおいても非常に重要なことです。誰しも間違いはあるので、バックアップを取っておくことは、「業務を進める上でのリスクを回避する」という観点からも、常に気を払っておきたいところです。

 一昔前であれば、文書やプログラム・グラフィックデータなどをCDやDVD、さらに昔であればフロッピーなどに記録を行うことでバックアップを取ってきました。そして、こういった各種メディアに加え、オリジナルデータとしてHDD上にデータが存在していました。

 しかし、最近はクラウドコンピューティングの普及によりサーバ上にデータを置き、しかもそのデータのみで業務を遂行することもめずらしくはありません。また、SaaSのような形態でクラウド上に保存されたデータをやり取りするような、例えばグループウェアや顧客管理システムなどもあります。

 このようなクラウドサービスではバックアップという意識が希薄になりがちです。バックアップの重要性というIT企業においては今更な話題かと思いますが、実際にこういったデータロストといった事故も発生していることも事実です。

 そこで今回は“通常のデスクワーク”、“クラウドを利用した業務”、そして“エンジニア業務”におけるバックアップについて、再度考えてみたいと思います。

■[1]通常のデスクワークにおけるバックアップとは

 ワードやエクセルといった文書系のデータや、グラフィックデータ等のHDD上にデータを作成し、編集するような業務においては、昔から活用されてきた別メディアへのバックアップが有効です。CDやDVDといった光学メディアの他、外部HDDやフラッシュメモリといった機器へのバックアップがあります。

 これらの業務においてはクラウドサービスを活用することも有効です。手元のPCと外部クラウドサービスの両方にデータが存在することでバックアップとなり得ます。

 しかし、以前のコラムで記載したとおり、セキュリティや情報漏えいについては十分な注意が必要です。

■[2]クラウドを利用した業務におけるバックアップとは

 クラウドサービスのみを利用して業務を行っている場合、バックアップという考えが希薄となり、サービスを提供している企業に任せっきりになってしまうケースが多いと考えられますが、実はこれが一番危険です。

 クラウドサービスを利用する際には、どのような形でサーバからデータを取得できるか、また、取得したデータから復旧を行うことができるのかを確認し、そういった作業を行うことのできないサービスについては、万一のリスクについてきちんと認識することが必要です。

 もちろん、クラウドサービス提供者においても十分なバックアップを施していることは言うまでもありませんが、ここで重要なことは自分の手元に自分だけで再構築が可能なデータを所持しているかどうか、です。

 クラウドサービスは業務を遂行する上で非常に有用な面を多く持っています。安心して活用できるよう、データの保全について考慮することが大切です。

 またこちらについても以前のコラムで記載しましたが、自社の情報を他企業の管理するサービス上に置くというリスクについては、きちんとした管理ができるよう十分に注意する必要があります。

■[3]エンジニア業務におけるバックアップとは

 例えばサーバにSSH接続し、プログラムを記述するような場合や、Webサイトを構築する目的でHTMLを記述するような際、これらの作成物のバックアップについて適切に行うことが重要です。

 このようなケースではGitのような分散型バージョン管理システムを用いて、以前のデータにアクセスできるようにすることも良いかと思いますが、そういったシステムを構築しない場合でも、cronやrsyncを利用して定期的にバックアップできるような仕組みを作るだけでもリスク低減に役立ちます。

 特に自社開発ができるような環境にいるエンジニアであれば、どいう方法であれバックアップについて対策を講じられているかと思いますが、もしそういう環境が整備されていないのであれば、早急に考慮するよう働きかけることをお勧めします。

■まとめ

 上記に挙げた3つのケースでは唯一、クラウドサービスだけが手元にデータがありません。手元にデータがあれば、自分の判断で復旧させることもでき、万一それが叶わなくても誰のせいでもありません(まだ諦めもつきやすいかと……)。

 しかし、クラウドサービスだけはきちんとバックアップを取得していなければデータは利用しているサーバの中にしかありません。万一ロストしてしまっても、自分ではどうすることもできません。これほど歯がゆい思いはないでしょう。

 そして昨今のクラウドサービスの質の向上から、それだけで十分業務が行えてしまうほど高性能なサービスも多くなってきています。これは裏を返せば、クラウドサービスがなければ業務ができないということになります。

 確率はものすごく低いかもしれません。でもゼロではありません。リスクを回避・低減する上でもバックアップの重要性を十分認識し、クラウドサービスを活用するようにしたいものです。

 そして通常のデスクワークにおいても、バックアップの重要性という昔からの考えをIT社会の現代だからこそ再度見つめ直し、自社の仕組みに不備がないか定期的に確認することが大切です。

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 最後に、前々回、今回とクラウドサービスのリスクばかりクローズアップしていますが、前々回のコラム以降、使用を控えた方がいいのか……と心配される方もいらっしゃったようで……すみません。

 そのような意図はまったくなく、むしろせっかくのIT社会なのですから、バンバン使ってほしいと考えています。しかし、なんの知識もリスク対策もなしに利用することは、せっかくの有益なサービスが悲しい結末になってしまい、利用者減少という切ない結果になってしまいかねません。

 これはIT企業に勤めるすべてのエンジニア、そして利用者にとって寂しいことにしかなりません。そういったことにならないようリスクを洗い出し、うまく回避してみんなハッピーになろうよ、という趣旨で書きました。

 あらかじめ書いておけばよかったのですが、言葉足らずでした。文章を書くということは難しい……。私も日々勉強です。今後とも温かく見守っていただけるとありがたいです。

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