近江商人に学ぶ「開発者の責任感」

2008/12/26 16:00:00

 12月23日、マンモスを見ました。

Mammoth
[写真1]マンモス(の化石)。下に写りこんでいるのは私(の頭)。
はしゃいでいます。恐竜とか化石とか、大好きです。

 場所は滋賀県立琵琶湖博物館。滋賀には8月からお世話になっていましたが、今月27日に離れることになりました。現在従事している開発案件を、お陰様で鹿児島へ持ち帰れることになったためです。

 こうして滋賀で過ごせる最後の休日となった23日、常駐先の部長様と課長様がミニツアーを企画してくださったのでした。年末のお忙しい中、貴重なお時間を割いて頂き、本当に感謝しております。

 博物館に続いては近江牛のすき焼き(美味しかった)、クラブハリエのバームクーヘン(松田聖子さん絶賛)、信楽焼き(たぬきさんが有名ですね)などなど、同じく常駐していた上司と共に案内して頂きました。

 中でも本日語らせて頂きますのは、すき焼きとバームクーヘン!

 ……を堪能した観光ポイント、「あきんどの里」についてです。というより、この地方の「あきんど」について。

 滋賀県出身の商人と言えば近江商人。鎌倉時代から戦前まで、国内の行商だけでなく朱印船貿易などでも活躍した、堺・伊勢に並ぶ日本三大商人です。

 彼らが大切にしていたとされる「商いの原則」は、現代でもビジネスに関する書籍やセミナーでよく取り上げられていますね。

●売り手よし、買い手よし……

 近江商人の精神を代表する言葉、「三方よし」。

 売り手よし、買い手よし、世間よし。

 ビジネスですから売り手と買い手がwin-winの関係になるよう尽くすのは当然のこと。

 それに加えて、世間よし。つまり取引の結果、売り手と買い手だけでなく、周りの環境・社会がよりよいものになるように努める心が大切だ、と説いています。CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)が叫ばれて久しい昨今ですが、昔から「商売人の心得」とされてきた、基本的なことなのですね。

 企業のCSR戦略においては、「社会」にお客様だけでなく自社の従業員や株主、取引先企業、更には自然環境や地域社会まで含めて「責任」を果たす方向性を考えていきます。近江商人の時代に自然環境の問題は少なかったかもしれませんが。

 自分が儲かって余裕ができたら慈善事業でも始めよう、ではなく、事業の一環として最初からステークホルダーに貢献していこう、という姿勢がCSR、あるいは「三方よし」のポイントなのだと思います。

●ディベロッパよし、ユーザーよし……

 「そっちの方がソフトウェア作りやすいし納品先の人もその仕様でいいって言わはったのかもしれんけど、あたしが実際この機械使う人やったら、この使いにくさは嫌やで」

 QAエンジニアがそう声を上げるとき、それはプロジェクトにおいて「世間よし」が危ぶまれているとき。関西弁に深い意味はありません(もうすぐこの歯切れ良いイントネーションともお別れか……)。

 自然環境への責任においても、具体的な開発・製造・量産プロセスや規格、新技術の形で次々と「やるべきこと」の案が挙がってきています。組み込み業界でいえば家電や自動販売機の低消費電力化、鉛フリー半田でしょうか。私自身いち開発者として、これらの技術を取り入れるよう求められたときは、単に「買い手」の要求だから、ではなく、「世間よし」の観点から捉えられるようになっておきたいと強く感じます。

 自分のソフトウェアで誰かのやりたいことを満たす。そうするとどこで何がどのように、どれだけ変化をするだろう?

 私たちは仕事を通じて、それまで世間になかったモノを作り出してしまうことができます。その影響力に無頓着なまま、作る力を行使していると……例えば限りある資源を食いつぶしていくような……あるいは使い手に人としての倫理を忘れさせてしまうような……そういったモノを世に出してしまうこともあり得るでしょう。それを防ぐ意味でも、また逆に世間へのインパクトという観点から「買い手」へ積極的に提案する力をつける意味でも、常に健全な疑問の姿勢――私のやっていることは、「三方よし」か?――を持ち続けていきたい。そう思います。

 さて、このあたりで引越しの準備に戻ります。

 年が明ければ、いよいよ故郷・鹿児島でのエンジニアライフ。楽しみです。

 あなたもどうぞ、よいお年を。

 感想、ばたばたしていてお返事が出せずすみません。それでも良いよと言って下さるなら、今回もよろしくお願い致します

 ありがとうございました。

不真面目に読むITSS

2008/12/19 17:02:00

 不合格じゃない、未合格なんだ!

 てなわけでテクニカルエンジニア(ネットワーク)試験に落ちました。午前685点、午後(1)700点、午後(2)485点。手ごたえと結果が一致しているのは、ある意味でちゃんとした収穫ですね。

 情報処理技術者の資格については基本情報とソフトウェア開発を持っているのですが、その2つとはまた違った面白さを感じる試験でした。趣味の開発でネットワーク技術によく触れるので、知識の整理がてら受験してみた次第です。

 けれど基本となっている理論等、組み込み業務にも通じるものがあるなと感じました。RS-232C接続デバイスでよく使うポーリング/セレクティング制御方式だって、1つの通信プロトコルですものね。

 せっかくなので春季は、エンベデッドシステムスペシャリスト試験を受けてみようと思っています。そのため試験を実施するIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)のサイトをチェックしていたところ、久しぶりに読み返したい2つの資料が目に留まりました。

  • ITSS. Information Technology Skill Standards(ITスキル標準)
  • ETSS. Embedded Technology Skill Standards(組み込みスキル標準)

 実はこの2つには、入社から今まで大変お世話になっているのです。

【 はじめてのITSS/ETSS 】

 きっかけは入社直後の新人研修。そこで当時の部長より、ITSSの紹介がありました。

 スキル標準の細かな部分まで説明されたわけではなく、その場では本当に「紹介」のみ。自分のスキルを客観的に見てみたくなったら参考になるよ、組み込み向けにはETSSもあるよ、と。

 帰宅してから、さっそくIPAのサイトを見てみました。当時の私には難しい用語もありましたが、せっかく教えて頂いたし一通りは読んでおこう……と[Page Down]を連打。

 その指先が「ぴたっ」と止まったのは、この言葉に出合った瞬間でした。

 ――ITSSの枠組みでは、技術者のスキルを「レベル」に分けて解説しています。レベルは1から7まであり、1は一言で言えば「最低限求められる基礎知識」を持っているだけの段階。2に備わっているのは「基本的知識・技能」、3なら「応用的知識・技能」、と高度になってゆき――

 ――レベル7。

 「世界に通用するハイエンドプレーヤー」

 (…………)

 軽く現実離れしたこのフレーズに、私は

 (……か、かっこいい……)

 素直にテンションを上げたのでした。

 (そうなんだ……エンジニアって、極めれば世界に通用する人間になれる、凄い仕事なんだ!)

 春先の、まだ少しだけ肌寒い部屋の中。自分の周りだけ妙に熱っぽくなったように感じたものです。

 ちなみに私の性格は友人間で「超単純」「詐欺に引っかかりやすそう」と評判です。言うまでもありませんでしたかそうですか。

 まあ、ITSSのこのフレーズにあっさり感動してしまったために、今まで約2年間どんな仕事も「つまらない」と感じずに済んだのです。結果オーライというものでしょう。

【注】私の中では上記の通り「世界に通用するハイエンドプレーヤー」と記憶していたのですが、本日改めて確認したところ、「国内のハイエンドプレイヤーかつ世界で通用するプレーヤー」と記載されていました(IPA『ITスキル標準V3 2008』頁3 図1-2)。「プレイヤー」と「プレーヤー」の違いは何なのでしょう……?

【 後輩におすすめしたい、ITSS“ミーハー”読み 】

 エンジニアって、極めれば世界に通用する人間になれる、凄い仕事。

 そう感じた昨年の私。果たしてこれは事実か、それともただの思い込みか?

 答えはまだ分かりません。実際にどの分野でも国内外で名の知られたエンジニアはいらっしゃいますから、結局、環境的に「できるか、できないか」よりも、自分から腰を上げて「やるか、やらないか」の問題ではないかとも感じます。

 ともあれこの思いないし思い込みが、始まったばかりだったエンジニア生活に潤いを与えてくれたのは確か。

 もしあなたが、近い将来エンジニアの仲間入りをされる立場の方なら。エンジニア生活「第1章」で使えるモチベーションを手に入れるため、スキル標準の一読もおすすめです。

 コツはあくまで軽く、ミーハーに。最終章まで通用する大目標をひねりだそうと、深く考え込んだりしないこと。

 ITSSのダウンロードはこちらから。

 そして今回の感想はこちらから、です。いつもありがとうございます。

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コラムニスト プロフィール

かわばたあい
1985年鹿児島県生まれ。組込みSEを経て、現在はIT関連の特許翻訳家。
大学中退や転職など、進路に悩んだ経験が、同年代以降の方の参考になると嬉しいです。

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