地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

その24時間稼働は必要ですか

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 どのようにシステムを構築したとしても、システムダウンすることを完全に防ぎきることは不可能です。限りなく 0 に近い確率にすることはできたとしても、0 にすることはどのような設計を用いても不可能です。しかし世の中には 24 時間 365 日フル稼働することをうたい文句にしているものが、多々見受けられます。

 いつのころからか、システムは 24 時間稼働するのも当たり前という状況に変わりました。まだ私が新人だったかなり昔では、夜間にシステムを落とすことも、まだそれなりに見られたのですが、今では動かす必要のないシステムまでもが 24 時間起動し続けていることも珍しくはありません。

 システムを作る立場としては、そこまでする価値がない、物理的に不可能、と、24 時間動作させることがいかに難しいかを十分に知っています。ですが、一度ユーザー側に回ると、何故かフル稼働していることを当たり前と考えてしまうようになるのです。

 利用する側は、24 時間常に稼働していることで売上機会を逃さない、といった理由付けをしてくることもありますが、大体にしてそのようにシステムを稼働させるために発生した様々なコストには目を瞑りがちです。また、実際に 24 時間起動していて、それがどれだけの売り上げに繋がっているのか、24 時間稼働していなかったら、本当にそれは損失していたのか、といった分析はなかなか行われることはありません。

 私たちの周りには、24 時間常に稼働しているものが多数あります。コンビニエンスストアが最たる例で、いついっても営業を行っています。確かに日々の生活を過ごすうえで、現在はコンビニエンスストアが 24 時間営業していることは、大きなウエイトを占めています。ですが、地方では珍しくない、コンビニが 24 時間営業していないとしたら、どの程度不便になるというのでしょうか。考えてみると「ちょっと不便だな」程度で済むのが、ほとんどだと考えられます。なければないで、なんとかなるものなのです。

 このような現実をふまえると、システムとしても実は 24 時間稼働していなくても、問題はないものが数多くあるのではないでしょうか。

 警備や医療に関わるようなもののように、24 時間でなくてはならないものは確かに存在しますが、それと同じものを一般的な業種に求めるのは、何か間違っている気がします。ターゲットとしているユーザー層が深夜帯に多いなら、反対に日中は動いていなくても良いかもしれません。逆に日中に活動しているユーザーが多いシステムであるなら、夜間は停止していてもさほどの影響はないかも知れません。

 そうは言っても、24時間まんべんなく売り上げがあがるのだから、動いていないと困る、そう考えられる人もいるでしょう。ですが、最初に言った通り、そのようにシステムを動かすためにかかっているコストが、その売り上げを本当に超えているのでしょうか。

 個人的な思想でもあるのですが、24 時間稼働させることで得た利益、一定時間内だけ稼働させることで得た利益、ほとんどの場合で、後者の方が大きいようにも感じられます。よくコストダウンしろという命令が上層部からくることがありますが、本当にコストダウンしたいのならば、今実施している形態を見直すのが、実は最も効果的なのではないか、そのように考えることも多いです。

 リスクに関しては、言われなくても最悪のケースを想定して色々考えらることが多いです。ですが、こと売上に関しては最も良いケースを想定してあれこれ計画しているように思えます。このあたり全般的にですが、何か根本的に考え方を変える必要があるのではないでしょうか。

 常に稼働しているサービスは確かに便利です。ですが、そうすることが見合わないコストが発生しているのであれば、それを行うべきものではないのです。私たちが関わるシステムの多くは、ボランティアではなく一般的な企業です。そこには、商いである、ということが常につきまといます。

 経営や財務にはさして明るくありませんが、利益よりも売上重視という姿勢には、何か大きな問題があると感じています。利益のない商いは、続けることにそれほど大きなメリットはありません。むしろできるだけ早期に、見切りをつけるべきなのです。本来はそうである、と私は考えているのですが、世の中的にはそうではないので、もしかするとここには全く違った理由が隠れているのかもしれません。

 24 時間対応します、という姿勢は立派なものであると思います。ですが、それがビジネスとして成り立たせるのが難しいのであれば、やってはいけません。それを行うことは、自分たちの首を絞めているのとそれほど変わらないのではないでしょうか。

 技術も進化し、以前よりもはるかに常時稼働させる仕組みを作ることは、完全ではないにしろやりやすくなっています。ですが、本当にそうするだけの価値があるか、意義があるか、という原点を改めて考え直してみるのが、今のご時世では必要なのではないでしょうか。

Comment(1)

コメント

山無駄

24時間365日利用されるシステムで発生するコストとは、大きく2つあるのではないかと思い
ます。ひとつは開発に関わるコスト。連係処理や大量データの処理などは通常は夜間バッチで
処理を行うので、データの整合性とサーバ負荷の問題でユーザの利用に制約がかかります。もし
24時間365日利用することを前提とするのであれば、設計段階から何らかの対応策を考慮しな
ければならず、一般的に開発費は膨らみます。もう一つは保守に関するコスト。24時間365日
利用されることが必須要件であるならば、保守側も24時間365日対応できる様にしなければな
らなく、そういった保守契約と体制の構築が必要となり、コストはかなり高額になります。

しかしながら、24時間365日利用が必要不可欠でないのであれば、わざわざ夜間や休みの日に
システムを止めなくてもコスト高にはならないと思います。夜間の利用は多少の利用辛さがあ
るかもしれませんし、何かトラブルがあっても誰も対応してくれないかもしれません。しかし
それは通常の稼働状態になれば解消されるのであれば、良しとする考え方もあるでしょう。

ユーザからするとシステムが動いていようと動いていまいとかかるコストが一緒ならば、利用
できた方がマシという判断はあると思います。仰られている通り、今のシステムは技術の向上
とリソースの低価格化に伴い24時間365日利用可能なシステムを構築する事は容易になってお
ります。しかしながら、24時間365日利用可能であることと、保証することは別物であるので、
逆にサービスレベルをしっかりと決めておく必要があるのでしょうね。

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