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【書評】「マンガでやさしくわかるプログラミングの基本」で昔を思い出す

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 エンジニアライフで「5分間キャリア・コンサルティング」として書かれている高橋さんの本を、今回拝読させていただく機会をいただけたのでありがたく読ませていただきました。他の方も書かれているよう、ターゲットとしているのが「開発初心者」というのもあり、ポイントを絞って全体の流れを理解できるよう構成されているので、一番最初に読むことが最も効果的かな、と感じる内容です。

■良い意味で「広く浅く」

 構成としては、マンガ+説明を 1 セットとして、プログラムとはどのようなものか、という最初の一歩から開発、デバッグ、リリース後の対応など一連の流れについて取り扱われていました。どことなく 80 年代的な懐かしみを覚えるマンガを読みつつ、言葉による補足を目にしていくことで、どのように開発していくかを理解できるようになっているのですが、全体として深入りはしない内容となっており、そこが非常に読みやすさを感じるポイントとなっています。
 この類の書籍の場合、特にプログラムによる開発部分に深入りしているものも見受けらるのですが、そこを大きく省略し言語的な説明は殆ど行われていません。また、この場合はこうする、といったケース説明的なものもなく、あくまでも全体の流れを理解するために徹底的に徹している姿勢が、非常に好感が持てる構成となっています。

■この世界への最初の一歩に向けて

 最初にも書きましたが、ターゲット層は「開発初心者」です。興味はあるけども何をどうしていけばよいのか、見当がつかない人たちへと向けたものとなっています。情報系の勉強を始めようとしている人や、未経験ながら IT 業界に飛び込んでみた人、そういった人たちへと伝わるように、とにかくわかりやすくまとめられています。マンガという抵抗薄く読むことができるものだからこそ、勉強かよ、という拒絶感がほとんど出てきません。これは、読みたいと思っている人が購入する専門書との大きな違いでしょう。

■プログラミングの基礎を見て思い出す昔のこと

 私の場合、この世界に入るきっかけになっているのは、子供のころに触れたパソコンです。当時は今とは比較にならないほど貧弱な環境で、何かを実現しようとした場合、簡単にできることはなく何かしら創意工夫を行う必要がどうしても付きまといました。今でこそ、画面に文字を表示するとかは考えるまでもなく当たり前にできる時代ですが、当時は英数字とカタカナ、あとは一部のグラフィック記号のみしか表示できず、その環境の中でどうすればせめてひらがなくらいは表示できるか、と色々試行錯誤しながらプログラムを組んでいた時代がありました。当書を読んでいると、ふとそういったプログラミングの世界に足を入れ始めた時のことを思い出します。それぐらい、基本に忠実な流れで、できるだけ寄り道をしない流れで書かれているので、肩肘張らずに気軽に読むには適していると感じました。

「プログラミングとは本来とっても楽しいクリエイティブな作業」、このようなセリフが当書の途中で出てきます。業務の世界に長くいると忘れがちですが、元々はプログラミングが楽しかったから続けることができていた、それを思い出させてくれました。
プログラミングは表現方法の一つであって、自分が思い描いたものを実現するためのもの、業務ばかり行っていると忘れがちなこの点、「そういえば最初はこんな気持ちだったな」というのを呼び覚ましてくれます。


■最後に

 「いいんだよ、細けぇ事は!」的な勢いで、とりあえず読んでみてもらいたいと思う一冊です。軽く読んで軽くわかった気になる、そしてプログラミングが思っているほど敷居の高いものではないという気になってもらえれば、それで良いのだと思います。もう少し込み入ったところを知りたくなったのであれば、まずは良しなのではないでしょうか。わかった気になることができれば、さらに次へ進むことができますので、そのような人たちへ是非広まってもらえればな、と思う内容でした。

Comment(1)

コメント

キャリアコンサルタント高橋

Ahfさま、


お邪魔します、高橋です。
書評ありがとうございました!


この本で訴えたいメッセージをそのまま要約していただきありがとうございます。

何かを説明しようとしたとき、ITエンジニアは論理的に説明されようとします。
私も最初はこの本でそのような書き方をしていました。そのため、


「なぜそうなったのか?」
「どういう理屈でこのような事象が起こっているのか?」


といった原因にまで追究し、読者の「?」を極力なくすような書き方をしていました。しかし、これが大きな間違いだったことに後から気づきました。。。
例えば、初心者にとってエラーの原因の深いところはそれほど重要なことではなく、


「このエラーはこうすれば直りますよ」


だけで納得してもらえることに気づきました。寧ろエラーの深い原因を説明してしまうとそこで立ち止まってしまい、読了を妨げる要因になるので良くないことが分かりました。結局のところ、


> 「いいんだよ、細けぇ事は!」


で進めてしまっても良いんだってことに途中から気づきました。そして、


> 軽く読んで軽くわかった気になる


これがこの本の目指すところになりました。初心者の方が気軽に読んでいただくと、いつの間にか本を読了し、何となくわかったような気になる。
そうして、次の本格的な入門書に手が伸ばしていただく、そんな懸け橋になるような本になれば良いなぁと思っております。


ありがとうございましたっ!

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