地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

流行りのツールに振り回される人

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 よく、技術者なら○○というサービスを使わないといけない、といったある種のイメージに基づいた話を聞くことがあります。オープンソースに関わっているのが当然、Github な環境で何かしらプロジェクトに関わっているのが当然、外部の勉強会に参加しているのが当然、というようなものです。
 確かに、技術者であるならば先進的とまではいかなくても、ある程度名前の知れたサービスを利用した活動を行うことに、何ら問題はないかと思いますが、それを当然という風潮には疑問を感じます。

 私の場合、コミュニティに参加しているのもありますので勉強会に参加するというのはそれなりにできているところですが、Github は利用していませんし Slack も利用していません。それでもそれなりには技術者としてやっていけているとは思います。

 もちろん、利用していないだけでどういったメリットがあるのか、どういったデメリットがあるのかはある程度聞いています。聞いたうえで、今の自分にはそれほど必要性を感じなかったので利用していないのです。

 このように、技術者の世界ではとかく格付けというか、無意識なランク分けといったものが往々にして見られることがありますが、それはあまり良くない事ではないでしょうか。

 仕事柄、色々な会社の人と共同で取り組むこともあるのですが、その中には表に出てこないだけで非常にスキルレベルの高い技術者もいます。反対に、表でよく見かけるのにそれほどレベルを兼ね備えていない人もいます。著名なサービスを利用しているわけでもなく、どちらかというと枯れた世界を得意としている人も大勢います。そのような方々も多く見てきましたが、最初に書いたようなものでは決してその人のレベルの高さは測ることができません。

 これが例えば、Github を利用しないと開発が行えないような状況であるならば、利用しようとしないのは罪にも等しい事だと思います。Slack を導入していなければ、チームが回らないという理由があるのならば、それを導入することは当然のことだと思いますが、現実の業務として、そこまでの理由が発生する状況はそれほど多くはありません。

 正直に言えば、もし先に書いたような事を言ってくる人と同じチームで取り組め、という事態になったとしたらあまりやる気が出てこないというか、できれば一緒に仕事をしたくはないという気持ちです。

 多くの現場で同じかどうかはわかりませんが、新しいツールの導入は非常に考えなくてはいけない点が多いと思います。極論で言えば、それを導入するコストに見合ったメリットが得られるかどうか、デメリットよりもメリットが上回るかどうか、にかかるかのではないでしょうか。

 どれほど優れたツールであったとしても、それを導入することのデメリットが上回ることも多くあります。メンバーのスキルが理由であったり、企業のポリシー的な部分であったりと、その理由も多岐にわたります。そこにはやはり、○○を導入すれば大丈夫、というような絶対的な解はないのです。

 最初に書いたような意見を言う人は、ツールの流行り廃りに振り回されているだけにも感じられます。開発業務はツールを使う仕事ではなく、ツールを用いてシステムを作り上げる仕事です。目的と手段が入れ替わっているようにも思えます。それは非常に残念な事です。

 目的を効率よく達成するためにツールが必要ならば、それは導入するのが適しています。慣れるまである程度の負荷は発生するけれども、そのツールを利用することで効率がかなり向上できるのであればそれも検討に値します。そして大切なのは、それが独りよがりの意見ではなく、メンバー内で同意が取れていることなのだとも思います。
 残念なのはメンバーの同意を取らずに、会社として導入を命令する場合です。この場合は、そのシチュエーションもあってかあまり効果は期待できません。上から単純に命令して導入するツールが、うまく運用できる事は殆ど望めないでしょう。

 ツールの利用や導入は、あくまでも手段である必要があります。そしてそれは、そこに関わるメンバーが賛成してこそ、はじめてその効果が発揮できるものだと思います。流行りだからといって導入しているようでは、最終的にうまくいくものもうまくいきません。そうならないように、私達としては日頃から意見を交わし、お互いにベストを尽くせる環境というものを考えていく必要があるのではないでしょうか。

Comment(2)

コメント

ハリコフ

技術者の端くれとして、日進月歩で技術革新が進むことは良いことだと思いますが、だからといって常に最新の動向を追う必要があるかというと、確かに違う気がします。

勤め先では資産管理にsubVersionを使っていますが、業務要件を満たしているし、その機能を前提とした業務運用があるので、コストを掛けてまでGithubに移行する必要性が無い。

私のような社内SEの立場だと、一つのシステムを10年以上に渡って維持しないといけなかったりするので、今のように5年程度で寿命(保守停止)を迎えるようでは困ってしまいます。

ksiroi

githubを仕事で、ってのは論外だけども。

利点を理解しない・できない・しようとしない自称エンジニアが多いのも事実よな。
subversionとgitの違いを説明できないのに「移行は必要ない」と断ずることが出来るのは危険だと思うがなぁ

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