地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

改めて勉強会に思う事

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 IT 業界における勉強会も、一時期の盛り上がりは過ぎ今では一般的なものとして定着した感があります。このコラムを書き始めたあたりでは、まだまだ特定のコミュニティや企業が行う勉強会が殆どだったのですが、今では有志で集まって行うタイプも増え、すっかり浸透している様相です。浸透してきたからなのかも知れませんが、今の勉強会周辺では昔と違う問題も見えてきているように思えます。
 
 元々私は地方在住の立場から、関東と比較すると圧倒的なまでに少ない機会や情報量のなさを何度かこのコラム上でも書いてきました。この問題は今も解決してはいないのですが、さらに新しく参加者側の意識や参加せずに見ている方たちの意識も変わってきたことがあげられると思います。当日になって連絡もなくドタキャンする人が増えてきたり、勉強会そのものに良いイメージを抱いていない人達からの意見も目にするようになってきました。

 私の中では勉強会は、エンジニアを続けていくうえで必要なもの、と感じています。仕事上だけであれば、参加しなくともやり続けることはそう難しくないのですが、純粋にエンジニアとして、となると外部からの刺激を受け続けなければどこかで腐って、もちろんこのあたりは人それぞれな部分ではありますが、エンジニアを続けることも難しくなってしまうのではないかと思えます。

 そのような中でここ @IT でも、仕事が「つまんない」ままでいいの?(2):「楽しかった」だけでいいの?――勉強会という名の居酒屋 (http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1502/18/news012.html)というコラムが掲載されたこともあり、改めて勉強会ってなんだろう、と考え直す機会がありました。
 コラムの中では、「勉強会に参加しているのだけども何か求めるものと違う」とか「仕事に生かせないのは何か違う」と考える人を扱った内容ですので、どこか現状の界隈な人たちには批判的に思われる内容だと感じた方も多いのではないでしょうか。

 件のコラムは「仕事」ありきなスタンスから考えられる主旨ですので、仕事に生かせないのならそれはあまり役立たせる事ができていない、と考えられるのも当然です。一番の目的を仕事に置いている人の考え方ですので、あのコラムの内容に違和感や憤りを感じられたのであれば、コラムの対象者と自分は異なる考え方だ、という事になります。
 自分は後者の側で、読んでいて「仕事仕事って、それが理由で勉強会に参加するのはなにか違うよな」と考える側にいます。そのため、あのコラムが伝えたいことは理解できるのですが、非常に納得がいきませんでした。

 ただしこのように賛成ばかりではなく反対を思う事も当然で、それは決して間違った事ではありません。コラムの主旨に賛同できるのもアリですし、私のように反感を覚えるのもアリです。唯一の正解が存在して、それを書くことが出来るような話題ではないのですから、それは至極当然の事です。それを理解されているのであればいいのですが、関わる人が多くなるとそうではない人もどうしても増えてしまいます。

 勉強会というものが広く浸透してきたこれからは、より多くの考え方を持った人たちと接することになると思います。どこぞの Blog にもありましたが、コミュニティの勉強会と企業が行うセミナーを同一視するような意見も出てくるでしょうし、地元の勉強会よりもより多くの人が集まる都市部の勉強会のみに参加するといった、取捨選択を重要視する人も増えるかも知れません。反対に少人数に拘って実施し続けるところも増えてくるでしょう。今まではどちらかというと企業やコミュニティが主体となっていましたが、今後は個人個人が主体となって細分化されていくのかも知れません。

 そのように今後の勉強会界隈が発展を見せたとしても、残念なことにこれは都心部のみの話です。地方においては未だもって参加者を集めるのも苦労しますし、新しい人に来てもらうことも難しい状況が続いています。勉強会の情報を上手く流通できていない面もあるかとは思いますが、都心部ほど精力的に参加してみようと思う人の割合が少ない、というのも否定できない現状です。
 大きなイベントとして開催される場合は別ですが、そうでない場合は10人集まるかどうか、という場面も多々あります。そのような差がありますので、先ほどのコラムに書かれていたように色々な勉強会に参加してみる、という方法も採れずただただ悶々と悩みだけがのしかかってくることの方が多いです。

 それでも個人的には、エンジニアに限らず外部で行われている勉強会には、都合がつく限り参加してみることをお勧めしています。知識を得られることや刺激を受けるといった面でもそうですし、仕事以外での繋がりを得られるというのも非常に大きなメリットだと思っています。この点は、先のコラムで扱われているタイプの人では得られないところでしょう。仕事は仕事で大切ですが、それが主目的になってしまうのは少しばかり勿体ないと私は思っています。

 別に勉強会に参加したからといって、それを役に立てなければならないなどという事はないと思うのです。役に立てられるなら立てればよいですが、仕事で利用できる技術ではなかったにせよ、それは全くの無駄にはなりません。もし勉強会で得たものは必ず仕事で役立てなければならない、などという制約があったのならば、私がずっと追いかけているある技術は、まっさきに不要なものとして認められないでしょう。ですが、それでも自分が気に入っているから、ただその一つの理由だけで使う機会がなくとも、日の目を見ることがないとわかっていても、今の自分の主軸はそこにある、と言い続けています。
 もっと気軽に、楽な気持ちで外部の勉強会には参加してみることをお勧めします。勉強会を運営している側としても、参加者としても、それ自体は仕事ではないのですからお互いにもっと気楽にやるのがいいのではないでしょうか。一度参加してみて肌に合わないようであれば、次回以降は参加しなくてもいいのですし、他に優先することがあればそちらを優先すればいいでしょう。あくまでもこれは、エンジニアとしての自分に何かプラスを与える、そういったものだと私は思うので、もっと多くの方に参加してもらえれば嬉しく思います。

Comment(1)

コメント

ばしくし

勉強会で得られるものって、仕事やら技術やらはほぼ関係ないんですよね。
たった数時間プレゼン聞いたり、ハンズオンでチョコッと触ったり、討論した程度じゃ、技術力なんて絶対アップしません。そんな甘っチョロいものじゃないですよ、技術って。
勉強会で得られるものは、同士というか、友達・仲間・恋人…場合によっちゃ、師匠・弟子…こういう人間関係ですよね。仕事なんか絡めたら台無しですよ…痛々しいw

そもそも、勉強会に出てる暇があんなら、自宅で環境構築なりプログラミングなりオープンソースにコミットするなりして
誰かに教え導かれることなく、自力で工夫して直接手と頭を動かしてデバッグ・トラブルシュート…等、試行錯誤して自主トレやってる方が
よっぽどエンジニアとしての地頭というか地力というか問題解決力が高まるし、スキルも向上するし、仕事にも活きます。

ですから、勉強会というのは、基本的には『勉強』を口実に
友達・恋人・メンター・トレーニー…といった、人間関係を作りにいくオフ会みたいな場という認識でいるのがいいんだと思いますね。

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