地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

いつまで自分たちでモノづくりしますか?

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 相変わらず IT 業界は日に日に新しい話題が登場しています。Web 上に続々と登場するサービス、モバイル端末の進化によって脚光を浴びているハイブリッドアプリケーション。細かく言えばきりがないくらいに、多くの話題が現れてきています。個人的にも最近は、タブレットやスマートフォンでのアプリケーション開発について調査しているのですが、ネイティブ開発だけではなくハイブリッド開発によって一気に調べておくべき技術が増えたように感じます。  それらの中で共通しているように見える点の一つに、「全てを自前で用意しない」という思想が今までよりも開発者側に広がってきているのではないか、そのように思えてなりません。

 つい最近公開された Baas なサービスの「Kii」が日本でもサービスを開始し、ユーザー認証やプッシュ通知など、モバイル系で必要度が高い部分を提供しています。同様のサービスは「Windows Azure Mobile Services」や「Parse」というように、多くの企業が提供を行っています。サービスの質も高くかなりの安価にて提供が行われていますので、同様の機能を自前で作成・運用することはこれからますます割に合わない状況になっていくものと思います。

 提供されるのはSaas、Baas といったサービスだけにとどまらず、今では Web 上で実装から配布、またそれらプロジェクトの管理までもが提供されています。先のハイブリッドアプリ開発のケースですと、個人的に非常に気に入っている Monaca appMobi のようにブラウザ上でコードの実装から、ビルドしてデプロイまで行える環境が提供されています。Monaca ではつい先日 Baas の提供も開始するとの発表もあり、非常に期待度が高まっています。

 プロジェクトの管理・運用のために提供されているものといえば Team Foundation Serviceがあげられます。.NET だけではなく Java 等の他言語で行う開発案件であっても、プロジェクトの管理に有用なツールとして提供されているので使う側としても非常に有難いものです。

 このように何種類かのサービスを紹介しましたが、これらはどれも無償(もしくは非常に安価)にて提供されています。数年前であれば高価なツールを用いるか、時間をかけて自分たちで作成するか、といったようにあまり選択肢がなかった領域ですが、今現在では価格的な面においても運用的な面でも大変利用しやすくなっています。例えばモバイルサービスを自分たちで作成・運用するとして、果たして同程度の質を維持しながら運用し続けることが可能でしょうか。恐らくは殆どの企業においてそれは不可能と思います。そこから考えると、もはやその領域を自分たちで作成・運用する必要はない、というよりも自分たちで作成・運用する事は逆にリスクが高いとなるでしょう。

 この流れはもはや覆るとは思えません。なんだかんだ言われていてもクラウドの波は確実に広がってきているのを感じさせます。全てを自分たちで管理するのはもう現実的ではなくなってきているのです。

 その上でもまだ、自製を続けるとしたらそこにはどのようなメリットがあるのでしょうか。自分たちで作成するから全て理解できることでしょうか。好きに機能を追加したり調整することができるからでしょうか。確かにそのような面はあるかと思います。ですがその反面提供できるサービスの質は、よくて同等か大体は既存サービス以下になってしまうのは避けられない事だと思います。

 これからの時代に私たちエンジニアに求められるのは、ただ作ることができるだけではなく、使えるものを組み合わせて目的を達成するようにソリューションを構築する、そういった組み合わせる力なのではないでしょうか。ただ単にプログラムが組めるだけでは仕事が減る、そんな時代も徐々に近づいてきているように思えます。

 そのような流れを見据えて私たちも日々研鑽していきたいものです。

 余談ですが Monaca は個人的に非常に気に入っているサービスです。iPhone、Android、WIndows 8 ストアアプリを HTML5 + CSS + JavaScript で作成できる環境を提供しているのと、実機でのデバッグを行うためのアプリを配布しており非常に開発が行いやすい環境です。ハイブリッドアプリの弱点である、ハード固有の機能についても PhoneGap を使えることもありある程度までの機能を利用できまし、今後の改善も期待できます。Web 系の技術習得にもつながりますし、是非実際に触ってみてもらえると面白いのではないかな、と思います。

Comment(4)

コメント

仲澤@失業者

確かに、多くの一般的ユーザーを満足させるのが目的であれば
その通りかもしれませんねぇ。

しかし、自分は「ものづくり」はやめません。

現在の、特にWeb系のアプリケーションの作りを見ていると、
まるで、現在のPCの自作のようで面白みがまったく感じられません。
こう言ってはなんですが、小学生でもできるような簡単な作業には、
技術的な興味がわかないので、わくわく感が足らないわけです。

このまま発展すると、Web用コードの作成は、デザイナーの副業化した後、
コピー機のメンテナンス作業的位置づけになりかねません。
これは、個人的には好みの仕事とは言えません。

かつて最初の「ダイナデスク」を見たとき、ショックを受け、
それを作れなかった技術者しての自分にがっかりしました。
これは大変な意味的発明だと感じたのです。
そして、肝に銘じました。
自分はもこのような意味的発明を目指したいとね(笑)。

もちろん、使えるものの組み合わせで意義のある社会貢献は
できるのかもしれません。それは日々の作業で十分可能です。
ですから、あえてもっと先の課題についても考えていたいですね。

Ahf

仲澤さんコメントありがとうございます。

>しかし、自分は「ものづくり」はやめません。

はい、私もですw
それを仕事にもっていければ面白いので色々と企らんだりしています。
ですが企業によるところでしょうが、そこには多くの障害があり難しい点が多いなぁと感じたりもします。

技術者として「ものづくり」は続けていきますが、
サラリーマンとしては組み合わせにも注力していかないといけないかな、という考えです。

最後の方で Monaca を推していますが、これも仕事では使わないけど個人的には興味津々なので触り続けていたりします。その結果から仕事に結び付けられればいいなぁ、と思いつつ。

Glad I've fnially found something I agree with!

This atricle went ahead and made my day.

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