地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

つながる改善

»

 業務のことは現場の人が一番知っている、これは事実だと思います。よくシステムを導入・構築する際に言われることです。ですがその現場の人の意見を取り入れてシステムを構築したとしても、結果として失敗に終わるプロジェクトというのは後を絶ちません。それは一体何が悪かったのでしょう。

 その1つには「現場の意見を取り入れすぎた」というのがあるのではないかと思います。

 現場の方々は業務に対してのエキスパートです。しかしその業務を改善することに関しては特に秀でているという訳ではなく、場合によってはわたしたちSIer側の方が適している事もあります。

 システムを導入するということは、ただ単純に導入した領域での現行業務を効率向上させることが目的ではありません。最大の目標は、会社として効率を向上させ、利益に繋げることです。そのためにシステムを導入することが手段となると考えます。

 現場の方々が改善に対して秀でているわけではない、というのはどこの企業でも同じです。極論すれば現場にいるから改善できないのです。

 そんなことはない、と思われるかも知れませんが、これはかなりの確率で事実だと思います。それというのも、わたしたちIT業界にいる者でさえ、自分たちの効率を向上させることは、なかなか成功することはありません。むしろ常に試行錯誤を繰り返しているような状態です。このような状態からも、自分たちのことほど改善するのは難しいのだと思います。

 そのようなこともあり、わたしがシステムを設計する際にできるだけ心掛けるのは、現場からは知識を学び、現場以外から知恵を見つける、という点です。ある程度の年数をこの業界で過ごしてきましたが、それが邪魔になることというのは意外に多いように感じています。まったくの素人な方が口にする意見や考えほど、知らないからこそ見える本質とでもいいますか、見るべき、学ぶべき点が増えているようにも思えます。いかに自分が固定観念に染まっているかと気付かされることも多いのです。

 しかしこれが非常に難しいのは、システムを構築している最中にはなかなか気付きにくい点です。個人的には、ある程度目処が立った後、もしくは実際に導入してから気付くことが多いのではないかと感じています。

 また、実際に改善を行おうとしても、それが本当に効果を発揮するかどうかというのも難しい点だと思います。「 ○○% もの効果が! 」と言ってみたところで、それはただの広告文句でしかありません。実際にどれほどの効果となるかは、残念ながらやってみなくては分からないのだと思います。そして勿論「やってみなくては分かりません」では、許されるはずもありません。

 ではどうすれば良いのでしょう。ここで1つ提案したいのは次の点です。

  • 小さな改善範囲
  • 費用がかからない(もしくは少額)

 この2点が、何かを改善していこうと始めるにあたり、非常に重要だとわたしは考えています。小さな範囲、例えば自分の環境のみに限定した状態であれば、色々とアイデアは出てくると思います。わたしは開発を生業とする側ですので、それに限った話ですが、気に入っているツールを導入するとか、同じような作業を繰り返さないためにマクロやバッチスクリプトを用意するとか、色々なことができると思います。

 そして本当に重要になるのが次の点、「費用がかからない(もしくは少額)」という点です。このご時世というのもありますが、たとえ導入すればかなりの効果があがるシステムであったとしても、費用があまりにもかかってしまうのであれば、会社としてはなかなか首を縦に振ることはできないと思います。ここで費用が発生しないのであれば、「周囲に迷惑をかけない範囲で」許される割合が非常に高まります。

 わたしの場合は次のようなことを実行してみました。

 特に Lightning は手放せなくなっています。メールからスケジュールやToDoタスクに変換できるというだけで、物忘れが多くなりつつあるわたしとしてはかなり助かっています。個人的なスケジュールをGoogleカレンダーに登録しておけば、Lightningを通して仕事のスケジュールと一緒に確認を取ることもできます。Search Server 2008 Express の導入も、ドキュメントの量が膨大になりつつあるプロジェクトにて行い、簡単にフルテキスト検索環境が構築できるというメリットをプロジェクトのメンバーにも体験してもらいました。結果は概ね好評で、やはり無償で提供されているという点がかなりプラスに働いたのだと感じます。Excel、Word、PowerPoint、VisioにPDF も検索対象にできてなおかつ無償、というのはポイントとして大きいです。

 話が逸れましたが、このような個々人での改善こそが全体を改善するための第一歩になるのではないか、と思います。言い換えると「個々人で改善できない環境を改善するのは非常に難しい」ということです。そのような環境を改善するには「超強力なトップダウン」しか方法はない、とわたしは思っています。それはそれで方法として有効ですが、大体にして今度は導入の際に問題となることが多いというのが悩ましいところです。

 最初から大きく動いて成功するケースはそうそう起こり得るものでもありません。ですが小さく行った場合、成功する確率は比較できないほど増大します。そしてその成功が、さらに大きな改善へと繋がっていくのではないでしょうか。

Comment(8)

コメント

みりゅ

ツールを使うことで、間違いが減ったり自動化できることで
良いこと、仕事のやり方が変わることもありますよね。
ちなみに
SVNとxdocdiff( http://freemind.s57.xrea.com/xdocdiff/ )
で、ExcelやPDFなどのファイルをテキストベースで有る程度までですが
バージョン差異を見ることができます。

Ahf

みりゅさんコメントありがとうございます。

xdocdiff、私も利用しています。それとWinMergeも。
ドキュメントもやはり差分が見たくなりますよね。

個人的に仕事のやり方というのも、常に少しずつ改善していくことが
後で大きな差を生み出すのではないかな、と思っています。

CMP

現場の声を無視して作っても・・・ねぇ。

>極論すれば現場にいるから改善できない
どちらかというと、現場は「その方法で最適化されている」からだと思います。
だから「自分たちのことほど改善するのは難しい」ではなく、自分達で改善してきた結果が今のやり方であって、これ以上はする必要がない(もしくはできない)のではないでしょうか?

ちなみに前述の考えは、「IT化を進めようとしている企業において」です。

ソフトウェア開発の現場では、最適化以前の問題が多く、なにやっても改善になるのが・・・だらしないですよね。

Ahf

CMPさんコメントありがとうございます。

現場の声を無視しても、というのはわかります。
ただそれも企業としての考え方というか、企業が改善を進めようとしている場合では不利益に働くことはあるのではないか、と考えています。

部門内システムとかであれば現場の声を優先するのもわかります。
全社規模など大きく行おうとした際には、極論すると現場の業務方法自体を考え直す必要も発生することがあると思います。そのために強力なトップダウン体制が必要ではないのか、というのが私の考えです。

開発現場は・・・もう言われる通りというところです。自分も含めだらしないところが多いのですよね。

CMP

Ahfさん、コメントありがとうございます。

>全社規模など大きく行おうとした際には、極論すると現場の業務方法自体を考え直す必要も発生することがあると思います。
でも、本文からはコメントのような記述は読み取れませんでした。

どちらにしても、私の主張は「「今までの業務方法で現場なりに改善してきた結果が今のやり方である」であって、いくらSIerといえど、その現場の声(自分達なりに改善してきた経験)を無視するのはどうだろうか?」です。

トップダウン体制が必要なのはわかりますが、我の強いトップほど、現場の声を無視しますからねぇ(汗。

Ahf

CMPさん重ねてのコメントありがとうございます。

本文からは読みとれませんでしたか・・・すみません、それは私の文章力のなさです。

現場の声を無視する、というのは確かにあまり良いものではないと思います。
ですがそれも時々といいますか場合場合によるのではないか、というのが私の考えです。毎回毎回トップダウン、というのはデメリットどころではないと思ってはいますよ。

それと最終的に判断を下すのは、SIerではなくその企業の経営陣だと思います。
勿論ケースとしては、営業トークに言いくるめられ、といった事もあるかとは思いますが、そのようなものを除いて。

三年寝太郎

こんばんは。

かなり遅すぎですが、コメントさせていただきます。
IT系の企業であっても、無駄な作業が結構多い職場はままありますね。
そして、その無駄な作業は大抵、
基本的に保身以外に役立ってないケースが圧倒的に多い。

もちろん、自分たちの評価を守るというのは、
おろそかにできないところではあるのですが、
結局、それで長い間身を固めて守ってきたが故に、
それが"殻"になってしまってそこから抜け出せない。
しかし、すでに環境が変わっているのだから、
いちど殻を脱ぎ捨てないとその環境に適応するのが難しくなる。
的なもの。

傍から見ると、最終的に必要なアウトプットの為に
無くてはならないものではなく、むしろ、
それがあるからアウトプットに必要なエネルギーがより大きくなる類の、
ほぼ「ボトルネック」と言って良い物だったりするのですが、
そのプロセスしか知らない人にとって、苦痛にならなければ、
環境の激変がない限りは切り捨てられないし変える必要もないもの。

しかし、環境が換わっていないと思い込んでるだけだったりすることも。。。

ちょっと抽象適するかもしれませんが、
意外と、自分たちの日々の作業の中にも、
そういうものが多かったりします。

悲しいかな、
ノーガードで攻めるだけで結果を出せるほどの攻撃力はない。

ということなのでしょうけど。

Ahf

三年寝太郎さん、こちらこそ遅くなりましたがコメントありがとうございます。

環境が変わっていないと思っている人、というのは多いと私も思います。
ただでさえ変化の激しい業界ですのでなおのことですよね。

度を過ぎた保身というのは、次に進むための大きな障壁なのだと感じています。
それを越えて厄介なのが、当の本人達は保身だと全く思っていない点ですね。

せめて自分はそうならないように日々注意していきたいものです。

コメントを投稿する