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我がエンジニアライフに悔いなし? -第1話(後編)

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第1話 後編 地位は人を作る

 前編の続きです。

■2か月後

(故 三春氏の独白)

 俺が育ててきた、通信監視システム・ミハルンジャー3はどうなったかなあ? きっとまだドタバタしているんだろうなあ。

「ミハルンジャー3のことはなんでも秋山さんに聞けば大丈夫ですね。さすが秋山さん」

「千夏さん、ありがとう。僕も以前はいつも故三春リーダーに頼ってばかりだった。最近ようやく解ってきたよ」

「三春さんに教えてもらったときは難しくてよく理解できないところもあったんですよねえ。秋山さんの説明の方が解りやすいですよ」

 あれっ、まだ2か月なのにずいぶん落ち着いたみたいだ。俺があれだけ苦労して支えてきたミハルンジャー3が。意外だなあ。あの秋山くんにしてはよくやったじゃないか。

■かけがえのない人だと思っていたけど

 俺は長年ミハルンジャーのシステムの中核を支えてきた。俺がいなければシステムのメンテナンスも追加開発も成り立たなかった。

 自分は「かけがえのない人」だ。自分がいないとこの仕事はまわらない。そう思っている人は俺以外にもたくさんいるはずだ。でも意外となんとかなるものなんだなあ。

 俺が今の会社、アイスティ―・メディアに入る前には磯樫システムズにいた。あの会社は忙しかった。人月計算システム・ニンニンジャーを俺1人で担当していたし。俺が辞めると決まってから、後任の冬木にニンニンジャーを引き継いだ。そのときは引継ぎが大変だろうと思ったけど、意外と1週間以内で終わって最後の何日かはすることがなくなった。そのときに、引継ぎって意外と簡単だなあと思ったんだった。

■地位は人を作る

 「地位は人を作る」と言われる。秋山くんの場合でも、自分がミハルンジャー3の責任者になったことで意識が変わってシステムの理解も進んだのだろう。

 スポーツ界でも似たようなことがある。大物の4番バッターが巨人に引き抜かれていなくなっても、チームが弱くなるとは限らない。ベテラン影に隠れていた若手選手が伸びてチームが活気づくこともある。

 2-6-2の法則というのもあった。集団では、2割の人が優秀で、6割の人が普通で、2割の人が劣るという比率になることが多いという法則だ。そして優秀な2割の人がいなくなると、普通の人の一部が優秀に育ってもとの比率に戻るという。誰かの下手なコラムにも書いてあった。

■集団社会ってこんなものか

 人間は、いや、アリやハチでも、リーダーであれ下っ端であれ、集団社会の中で与えられた役割をこなしているにすぎない。俺はミハルンジャーというシステムの責任者役を果たしてきたと自負していたけれど、誰だってその立場が与えられればそれなりに役目を果たすことはできるんだな。リーダーであっても所詮は集団社会の歯車の1つにすぎないということか。ちょっと寂しいな。俺のエンジニアライフがそんなものだったとは。

 でもまあいいや。なんかすっきりした。これで成仏できそうだ。

 (第1話 完)

 
■あとがき

 この話はフィクションです。実在する人物や幽霊とは関係ありません。

 エンジニアがエンジニアライフを終えるとき、いったいどう思うのでしょうか。第2話以降はまた別の立場のエンジニアを主人公にした話を書いてみます。

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