カンボジアにて、独学でWEB技術をもぐもぐしております。

文系新卒、「簡潔に答えろ」と言われる。

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問1:
昨日の出来事を簡単に書け。

誤: 
昨日は久しぶりに料理を作って食べた。料理と言ってもお粥だが、私にとっては待望の料理だ。最近は体調が優れず、バナナやゼリーばかりだったからだ。たかがお粥。味気なく、噛む食感すらない。しかし人の手を加えた食べ物はどこか違う美味しさがあると噛み締めた日だった。

正:
きのう おれ ごはん たべた
とても おいしかた かゆ うま




■あなたは何歳ですか?

「何歳ですか」と問われた場合、あなたはどう答えるだろうか。そんなの考えるまでもなく答えは一つだろ、と思ったあなた。もうウィンドウ閉じていいです。お疲れ様っしたー。

私の場合、単純に「22歳です」と言えない時がある。いらない情報を付けまくってややこしく答えてしまう悪癖があるのだ。相手が1の答えを求めているのに、勝手にテンパって3や6.7とか中途半端で不必要なものを加えてしまう。

分かりやすくすると
相手「あなたは何歳ですか?」
私(今現在は22。だけど今年で23になる。22と答えたら大学3年生と思われるかもしれない)
私(学年を間違われないためには? 西暦か和暦もくっ付けて言えば間違いがないな)
私(あ、そうだ。1991年生まれの大学4年生、今年23になるけど今は22です、って言えばいいんだ)
私「1991年生まれで、今は大学4年生の22歳です。今年で23歳です」
相手「…へ、へー…(なんだコイツ)」

相手が欲しいのは「今何歳なのか」という情報だけだ。つまり望ましいのは「22歳です」という答えである。これ以外には無いだろう。にも関わらず、相手にとって死ぬほどどうでいい情報をくっ付けて分かりにくく答えている。別に大学何年生とか生まれ年とか聞かれてもいないのに。


■簡単なようで難しい

相手が問うているポイントはどこか、望まれている答えは何なのか。これを把握する能力は、おそらく対人関係においては公私問わず重要なものであろう。努力せずとも身につけている人もいるとは思うが、出来ていない人もそれなりに多いのではないだろうか。

単純な問いにどう答えるか。それがどれほど難しいことか。試しに考えてみる。

  • 「あなたは今現在傘を持っているか?」

という問いに対する答え方はどうか。正解は「イエスorノー」だろう。字面でみれば簡単だが、現実の場合はそうはいかないかもしれない。

例えば、あなたが会社から出る直前に、にわか雨が降り始めたとする。その時、傘が必要だなと思うだろう。そして続けてこう悩んだ。「確か社用車の中に一本だけ傘があったな。しかし駐車場までは歩いて4、5分かかるし…。そういや会社のロッカーの中には折りたたみ傘があったような無かったような……。さて、どうしようか」そんな風に思案していると、後ろから同僚に声を掛けられる。「なぁ、今傘持ってる?」見たところ彼も傘が無くて困っている様子だ。さぁ、あなたはどう答える?

  • 「社用車の中にあるよ」
  • 「もしかしたらロッカーの中にあるかも」
  • 「社用車かロッカーの中にならあると思う」

という答えが浮かんだら要注意かもしれない。会話としては何らズレてはいないが、相手はシチュエーション的にも言い方的にも「今、手荷物として持っているか」を問うている。従って望ましいのは「いいや、持ってない」最初に答えることだろう。どこに傘があるのかは、相手がその後尋ねてきた場合に答えればよいのだから。


■1を聞かれて1だけ返す能力

余計な情報を足さない、イエスかノーで答えられる質問かどうかをまず判断する、質問の核は何なのか。これらが出来て初めて1を聞かれた場合に1だけ望まれた答えを返せる。それが出来ないと、きっと「めんどくせぇヤツ」とか「話が長い」とか、「どっかズレてるよね」とか言われるのだろう。つらい。

Comment(6)

コメント

まりも

文系といっていますが、
その辺は理系というか、プログラマーに向いた性格だと思います。

というか私も含めて、
プログラマーにはそういう性格の人が多いような。

人間相手だと、一言で以心伝心で分かり合えるような会話が好まれますが、
プログラムというものはそんなことはできません。

その場で適切に動くように書いたら、
その時はうまく動くかもしれませんが、
全然別の条件になると、まるでうまく動かなくなる。

なので、すべての場合について考えて、
すべての場合に矛盾がないように指示をする、
という能力が必要になります。


まあそういう能力だけ鍛えていると、
確かに人間を相手にするときは困るので、
直すのもよいですが。

人間には通じるけれどコンピュータには通じなくなった、
ということにならないように成長してくださいね。

TKFM

私も簡潔に答えないタイプなので、どんどんメールが長くなって後で大規模に削る、
というドラスティックな時間の無駄遣いをしてしまうタイプです……

育野

必要にして十分な回答を返す能力はとても重要だと思いますし
身に付ければ頭一つ抜けた優秀な人材になれるはずです(私もそうなりたい).

ただ,世間的には質問者の内心(暗黙の前提条件)を読み取る努力が
回答者側にだけ求められている気がしてなりません.
無駄のない有益な情報を欲しいなら,質問者からもヒントを出すべきじゃないかと.
検索エンジンの使い方と同じで
・キーワードを追加する
・除外するキーワードを指定する
これだけで得られる回答(情報)の精度はかなり上がるはず.

以上,簡潔に答えられない者の私見でした.

#考えてみると,質問の方法ってちゃんとトレーニングされた記憶がありませんね.
#学校で求められるのはとにかく質問に回答すること.
#たまに質問する機会があっても,相手は学生の事情をよく知る先生とかで
#ほぼ望み通りの答えが返ってくるし.

Anubis

問1:
昨日の出来事を簡単に書け。

答:
このコラムを読んで関心した。

6A1U

>>まりも 様
コメントありがとうございます。
会話してる相手が見えていないのかもしれないですね。対ヒトと対コンピュータでは、コミュニケーションの仕方が違いますし。必要に応じて両方の思考パターンを切り替えられたらと思います。

>>TKFM 様
コメントありがとうございます。
ドラスティックって何だ…と思ったら徹底的とか激烈とかそういう意味なんですね。知らなかった。その時「言うべきかな?」と思ったことって、後で思い返すと意外とどうでもよかったりすることが多いですよね。簡潔にスラッとまとめられる人が羨ましい。

>>育野 様
コメントありがとうございます。
自分が聞きたいことを相手に把握してもらう能力、相手が求める情報を察する能力。おそらく両方とも表裏一体なんじゃないかと思います。「自分が立場だったら○○が分からないはずだ」という相手視点で物事を考えられるかどうか重要なような…。こういう能力は教育じゃ身につかないような気がします。例えば討論であったり、質疑応答であったり。相手の考えを引き出す、理解する。「それってどういう意味?」「これはこうなんです」という『相手の所見を引き出す・自分の考えを伝える』という作業を経ませんでした。A=Bですか?と聞くだけなら、質問ではなくただの答え合わせですものね。

>>Anubis 様
非常に簡潔なコメントありがとうございます。
簡潔過ぎて、むしろ何て返せばいいのか困惑してます。我感謝於貴殿所感。

育野

お返事ありがとうございます.

こういう能力は教えてもらうだけで身に付く技能ではない,という点,私も同感です.
ただ,身に付けるための機会(=討論や質疑応答の場)がないのは今までの教育システムの問題だと思っています.
なので
>こういう能力は教育じゃ身につかないような気がします。(一部引用)

>>こういう能力は *これまでの* 教育じゃ身につかないような気がします。
じゃないかな,(であって欲しい),と思います.

#いきなり話が大きくなってアレですが.
#道徳に成績つけるくらいなら,サンデル先生の白熱教室みたいな取り組みをやる方が
#「グローバルな人材」育成には役立つと思うんですがねぇ.

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