いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

ゴミに囲まれて仕事してると気が萎えるんだが。

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■まるでゴミだめの中で働いているようだ

 日本の会社のオフィスは汚ねぇ。まず、物を置き過ぎだ。いつも不思議に思うのだが、会社の倉庫に Windows NT 時代のソフトのパッケージが丁寧に保管されていたり、Pentium4世代のPCが保管されている。もう、絶対使わないだろ、それ。

 そして、机の中には大量の書類が保管してあり、本棚にはOffice2000のハウトゥー本が並んでいたりする。本の背中は日で焼けて、もう何年も開かれていないのが分かる。しかも、本棚はヨレヨレ。長年使われてか、ちょっと歪んでいて開きにくかったりする。

 マウスやらLANケーブルはもっと悲惨だ。誰かが使い込んで手垢がびっしりついたマウスやキーボードをダンボールに突っ込んで保管している。かつてガムテープで固定して使っていたのだろうか。グチャグチャに丸められたLANケーブルが滑っている。

 もう、絶対に使わねーだろ。これら。こんなものを渡されて「仕事しろ。」なんて言われたら、後ろ回し蹴りをかましたくなる。「これ、着れるだろ。」と、怪しいシミのついた古着を渡されるようなものだ。それ、もうゴミだよ。

■要らないなら捨てろ

 社内SEをやっていた時、こういうゴミの管理をよく任された。ゴミを整理していると、すごく気持ちが萎える。100年くらい保管して、アンティークとして売るつもりなんだろうか。もしそうなら、本気でアホだ。それよりも本業頑張れ。

 しかも、保管する割に全く手入れが行き届いていない。埃も積もりたい放題だ。整理をしていると、埃っぽくてむせる。保管したいなら定期的に掃除しろ。せめて埃くらい払え。何故に保管しているか、全く意図が見えない。

 ゴミとして処分するコストを惜しんで溜め込んでいるケースもあるらしい。しかし、こういう要らない物を管理するコストは馬鹿にならない。倉庫のスペースを圧迫して、必要な物を収納できない。管理する人件費だってかかる。

 捨てられないのは、必要なものと不要なものの区別がつかないからだろう。平たく言えば、決断力が無い。だから、仕事の内容まで無駄が増えるのだろう。ゴミの多い現場は無駄も多い。物を整理できない故か、仕事も整理できていない。

■物を捨てるということ

 日本人には物を大事に使うことを美徳とする考え方がある。この考え方は好きだ。しかし、物を大事にするのと捨てられないのは違う。物を所有する以上、管理が必要だ。所有しているものを適切に管理できて、初めて大切に使っていると言える。

 持っているだけで手入れをしないのは、ただの物惜みだ。そこに美徳は無い。物惜みをしていると心が貧乏になる。物の価値が分からなくなる。だから、手垢にまみれたネパネパのマウスを平気で人に差し出してしまう。

 内輪で使うマウスくらいならいいが、貧乏性が染み付いてしまうと、同じようなことをお客さんにやってしまったりする。こうなると致命的だ。ここまで酷い事例は少ないにしても、貧乏性のせいで現場の士気を著しく下げる事例は多く見てきた。

  物を適切に管理していると、管理の手間というのを知っている。なので、必要以上に物を持とうと思わなくなる。物を捨てられないというのは、物を粗末に使う裏返しだと思っている。

■ゴミの多さは曖昧さのバロメータ

 システムも同じだが、物は持っているだけでは利益を享受できない。適切な使い方を知っておく必要があるし、管理する方法も必要だ。単に長く使えば元を取れるという単純なものではないし、多く手元にあれば便利というものでもない。

 物を多く持っていれば、所有に対する自己満足も得られるだろう。それによって、安心感はあるかもしれない。もしくは、捨てる勇気がないだけかもしれない。ただ、共通して言えるのが、曖昧さがそこにあるということだ。

 物を溜め込んでいる人と話すと、使うか使わないかをはっきりさせていない。使うという返答があっても、「いつか」とか「もしかしたら」という言葉が多い。つまり、溜め込んでいる理由を明言できない。「とりあえず」という理由で溜め込んで、時間が経って判断がつかなくなっているケースが多い。

 このような曖昧さや問題の先延ばしは、エンジニアとしては致命的だ。物の状況を見れば、どれだけ情報が整理されているか一目瞭然でわかる。ゴミをゴミとして捨てるにも、判断とそれに対する責任が生じる。普段から判断と責任を避けてばかりな人とは、一緒に仕事をしたくないものだ。

Comment(2)

コメント

仲澤@失業者

自分のソースコードの内容が思い出されて、まだどきどきが止まりません。
みなさん、復活しそうなコードの断片って、どうなさってます(質問)。

夢夢

>復活しそうなコードの断片
適切なコメントを書いて、デザインパターンのように保存している。
プログラムに限らず、あらゆる仕事のノウハウや学習したことを全て記録している。
さらに、年に数回それらをリファクタリングして管理。
記録と管理が共わないと経験は何の役にも立たないからな。

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